用語解説
今回は連載中の『高卒参謀長と《白鯨殺し》の少女』第4・5話に登場した「通商破壊」についてです。
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・つうしょう - はかい【通商破壊】
1. 敵国の軍需品の調達妨害や戦力削減のために敵商船を襲撃する戦術。
2. 主に劣勢側が行使する作戦行動。
3. 優勢側が敵の艦隊を港から引っ張り出すために行うこともある。
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通商破壊とは、文字通り敵国の通商路を破壊して、相手の軍需品の調達を妨害したり、戦力を削いだりする戦術です。主に、戦力的に劣勢な側が行使しました。
ただ、戦力的に優勢な側も相手の通商を破壊することがありました。その狙いは「港にこもりっぱなしの敵艦隊を引っ張り出すため」です。
戦力的に劣勢な側は、わざわざ敵艦隊の前に出ていきません。出ていっても負けることがわかっているからです。そのため、優勢側が劣勢側の艦隊を潰すためには、港から出てもらう必要があります。
そこで取られた作戦行動が、通商破壊です。
商船が襲撃され続ければ、軍需品が手に入りません。よって戦争を継続できなくなります。そのため敵国の艦隊は自国の通商路を守るために、港から出なければなりません。
⚓
なお、イギリスの海軍史家であるコーベットは、制海権の特性から鑑みるに「通商阻止戦」と呼ぶのが適切と言っています(コーベット『海軍戦略の諸原則』参照)。
コーベットは、通商破壊の実態は暴力による「破壊」ではなく、非暴力的による(たとえば法的な力による)「阻止」だったと述べています。そのため従来の「通商破壊」というネガティブな言い回しは、実態に即していないと述べています。
⚓
ちなみに、ジャンヌの言う「輸送船団を壊滅させるだけなら、相手が倍程度の護送戦隊を伴っていても問題ない」がそう言える理屈は、輸送船団が足手まといになってしまうからです。
守るものがある戦隊と攻めるだけの戦隊が衝突した場合、前者より後者が有利ということです。なお「倍程度」という程度については、双方の戦隊の戦力差にどれほど開きがあるのかに依存するので、一概には言えません。
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・つうしょう - はかい【通商破壊】
1. 敵国の軍需品の調達妨害や戦力削減のために敵商船を襲撃する戦術。
2. 主に劣勢側が行使する作戦行動。
3. 優勢側が敵の艦隊を港から引っ張り出すために行うこともある。
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通商破壊とは、文字通り敵国の通商路を破壊して、相手の軍需品の調達を妨害したり、戦力を削いだりする戦術です。主に、戦力的に劣勢な側が行使しました。
ただ、戦力的に優勢な側も相手の通商を破壊することがありました。その狙いは「港にこもりっぱなしの敵艦隊を引っ張り出すため」です。
戦力的に劣勢な側は、わざわざ敵艦隊の前に出ていきません。出ていっても負けることがわかっているからです。そのため、優勢側が劣勢側の艦隊を潰すためには、港から出てもらう必要があります。
そこで取られた作戦行動が、通商破壊です。
商船が襲撃され続ければ、軍需品が手に入りません。よって戦争を継続できなくなります。そのため敵国の艦隊は自国の通商路を守るために、港から出なければなりません。
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なお、イギリスの海軍史家であるコーベットは、制海権の特性から鑑みるに「通商阻止戦」と呼ぶのが適切と言っています(コーベット『海軍戦略の諸原則』参照)。
コーベットは、通商破壊の実態は暴力による「破壊」ではなく、非暴力的による(たとえば法的な力による)「阻止」だったと述べています。そのため従来の「通商破壊」というネガティブな言い回しは、実態に即していないと述べています。
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ちなみに、ジャンヌの言う「輸送船団を壊滅させるだけなら、相手が倍程度の護送戦隊を伴っていても問題ない」がそう言える理屈は、輸送船団が足手まといになってしまうからです。
守るものがある戦隊と攻めるだけの戦隊が衝突した場合、前者より後者が有利ということです。なお「倍程度」という程度については、双方の戦隊の戦力差にどれほど開きがあるのかに依存するので、一概には言えません。