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kmt / 贈 物


隠されるたくさんの愛



お風呂上がりの濡れた髪をそのままに
端末とにらめっこを続けていると
殺気に似た何かを感じ思わず身震いした
勢い任せに振り返ると
そこには般若のような形相の彼がいて
首根っこを掴まれ引きずられていく
座れと促す圧力が凄まじい
逆らうこともできず大人しく言うことを聞いた

自然と背筋を伸ばし固まったままでいると
ガシリと頭を掴まれた
ひっ、と短い声が漏れる
こ、殺される…?!と冷や汗が背中を伝った時
温かい風が頭をふわりと撫でた
掴んでいた手は髪を梳くように動く

「風邪ひいて困んのはお前だろ」

「ん…すみません、ありがとうございます…」

さきほどまでの圧はどこへ消えたのか
声色も手つきもとても優しい
髪を梳き、頭を撫でる感覚が心地よい
安心感からか眠気も襲ってきた
こくりこくりと船を漕ぎはじめた頃ドライヤーが止まる
程よい眠気はこのまま眠るには丁度いい
このまま眠ってしまおうか、なんて呑気に考えていると
温かくなった手のひらが私の頬に触れた

「随分と短くなったなァ…」

「ふふ…いめーじちぇんじ、ですかね…」

「まァ、悪くねぇ…似合ってる」

その言葉の後に「ただ、」と続く
すると彼の指が私のうなじをそっとなぞり
口づけを落とすとそこへ強く吸い付いた
チクリとした痛みに意識が一気に覚醒する
首元を押え彼を見遣れば
口元を楽しそうに歪ませていた

「痕付けりゃ丸見えだなァ?」

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