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第二章 紅花栄 —べにばなさかう—

「ンンンンン〜〜〜〜〜‼︎ 神曲! 神曲だわこれぇ〜‼︎‼︎‼︎」
 審神者は、鋼音の公式SNSにUPされた、新曲の練習風景が撮影された三十秒ほどの動画を、狂ったようにリピート再生していた。
「早く全部聴きたい〜〜〜! ンヒィ〜! 神曲ゥ〜‼︎」
 ベッドの上でゴロンゴロン転がりながら、「もう一度見る」ボタンを鬼連打する審神者。
 聴かなくても、三十秒の旋律が脳内で無限ループするようになった後は、HIKARIの手元が映し出される場面で一時停止し、まじまじと観察する。
「あぁぁぁぁ〜、この、細身に見えてゴリラな腕! 繊細かと思いきや全然そんな事ないゴッツい手! 最高! 最高すぎる! ベースになりたい! ベースお前ちょっとそこ代われっ!」
 再びゴロンゴロンを始めた審神者はある段階でピタリと止まり
「……でも、ベースがなければ、HIKARIさんのあの美しい旋律が聴けない……!」
 真顔になる。
「うっ、うわぁぁぁぁぁ〜! ベース様すみませんでしたぁ〜! ごめんなさい〜! 謝るのでHIKARIさんの成分が染み込んだネックをぺろぺろさせて下さい〜! うわぁ〜!」
 大変気持ち悪い事を言っているが、本人すら訳が分かっていないのである。現在の彼女の知能指数は、3だ。
「ハァッ、ハァッ、最……最っ高だった。あまりにも尊い。尊すぎるッ! これ以上はまずい、推しの過剰摂取で死に至る……。」
 そんな事を言いながら、ベッドの枕元に這いずって、省電力モードになったスマホを充電ケーブルに繋げる。
「あ〜、勉強しよ……」
 スマホの充電がなくなり、少し冷静さを取り戻した審神者は、リュックから不承不承に専門科目の教科書を引っ張り出す。
 これが終わったら今日買った本! これが終わったら今日買った本! と自分に発破をかけつつ、習った用語の暗記を始めた。
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