Rusty Nail
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廊下の隅でしゃがみこんで名前は唸っていた。お腹が痛い。貧血で目眩がする。とても歩けそうになかった。かれこれ一刻程そのままでいるのだが、誰も通り掛かる気配がなく、助けを求めようにもその相手がいない状況が続いていた。
現代にいるときは、煩わしさを軽減する薬を飲んでいた。ただ三国時代に来てからはそんなものが存在するかどうかも分からず、毎月のこの時期には苦しい思いをすることが続いていた。名前の周りには将ばかりなのもあって男性ばかり、相談できる人などいようはずもなかった。
そろそろ足が痺れて限界だと思う頃、足音が此方へ向かって来た。
「名前、こんなところでどうしたんだ?大丈夫かい?」
優しい声掛けに顔を上げると、徐庶だった。その顔を見てほっとしていると、慌てるように言葉が続いた。
「顔が青いよ、何処か具合が悪いのかい?」
「ちょっと目眩がして」
「大変だ、典医のところに連れて行こう」
『誰か人を呼んでもらえるかな』、そう言う前に抱えられて驚いた。お姫様抱っこなんて恥ずかし過ぎる。人に見られたらどうしようというのか。
「徐庶、徐庶、有り難いんだけど、おんぶにしてもらえないかな」
「お腹が痛いんだろう?おぶさると負担がかかるよ、大人しくしていて」
目眩と言ったはずなのだが、何故分かったのだろうか。疑問になりつつももう二の句を次ぐことも難しくて、されるがままになっていた。
「&♯X7600;血と言うのですよ」
典医のところで暫し休ませてもらい、症状の説明を受けた。なんでも漢方医学の中でも月経困難症は病の一つであるらしく、治療法があるのだそうな。薬を貰い、継続的に通うことを推奨された。完璧には治らないかもしれないが、軽減はするだろうとのことで安心した。
帰ろうとして簾を上げると、そこに徐庶がいて驚いた。まさかまだいるとは思わなかった。送り届けて役目は済んだとばかり思っていたのに、心配で待ってくれていたというのだろうか。名前は胸がいっぱいになった。
「良かったよ。少しは改善しそうなんだね」
聞かれていたのか。つい頬が熱くなってしまう。症状のことを知っているということは、原因の部分についても耳にしたのだろうか。恥ずかしがっていると、徐庶が胸の前で両手を振った。
「ごめんよ、盗み聞きするつもりはなかったんだ。このことは誰にも言わないから」
徐庶に知られているのがまず問題なのだが、これ以上は責められない。
「苛々したり、動けなくなりそうだったら言ってくれ。いつでも駆け付けるから」
「そんな、迷惑は掛けられないよ。病気でもないんだから、大丈夫」
デモデモダッテ合戦が始まる。徐庶と名前は度々このやり取りを繰り広げることがあった。
「君が心配なんだ。良ければ、頼ってもらえると嬉しいな」
はにかんで言われると、こちらも何も言えなくなってしまう。自分でも言っていて恥ずかしいのだろう。徐庶の頬もほんのり色づいて染まっていた。
「ありがとう」
ただ真っ直ぐに感謝だけを述べると、ぱあっと音がするほどに笑顔が咲き乱れる。こういうところが憎めないのだ。徐庶は優しくて、温かい人だ。諸葛亮が『騙されてはいけませんよ』などと忠告してくる意味が分からない。こんなに優しい人だと言うのに。
二人の間には木漏れ日のようなほんわかとした空気が漂っていた。徐庶の目に仄暗い闇が浮かんでいることに、名前は気付かない。
「辛くなったら俺が止めてあげるからね」
ん?
Rusty Nail・・・私の苦痛を和らげる
現代にいるときは、煩わしさを軽減する薬を飲んでいた。ただ三国時代に来てからはそんなものが存在するかどうかも分からず、毎月のこの時期には苦しい思いをすることが続いていた。名前の周りには将ばかりなのもあって男性ばかり、相談できる人などいようはずもなかった。
そろそろ足が痺れて限界だと思う頃、足音が此方へ向かって来た。
「名前、こんなところでどうしたんだ?大丈夫かい?」
優しい声掛けに顔を上げると、徐庶だった。その顔を見てほっとしていると、慌てるように言葉が続いた。
「顔が青いよ、何処か具合が悪いのかい?」
「ちょっと目眩がして」
「大変だ、典医のところに連れて行こう」
『誰か人を呼んでもらえるかな』、そう言う前に抱えられて驚いた。お姫様抱っこなんて恥ずかし過ぎる。人に見られたらどうしようというのか。
「徐庶、徐庶、有り難いんだけど、おんぶにしてもらえないかな」
「お腹が痛いんだろう?おぶさると負担がかかるよ、大人しくしていて」
目眩と言ったはずなのだが、何故分かったのだろうか。疑問になりつつももう二の句を次ぐことも難しくて、されるがままになっていた。
「&♯X7600;血と言うのですよ」
典医のところで暫し休ませてもらい、症状の説明を受けた。なんでも漢方医学の中でも月経困難症は病の一つであるらしく、治療法があるのだそうな。薬を貰い、継続的に通うことを推奨された。完璧には治らないかもしれないが、軽減はするだろうとのことで安心した。
帰ろうとして簾を上げると、そこに徐庶がいて驚いた。まさかまだいるとは思わなかった。送り届けて役目は済んだとばかり思っていたのに、心配で待ってくれていたというのだろうか。名前は胸がいっぱいになった。
「良かったよ。少しは改善しそうなんだね」
聞かれていたのか。つい頬が熱くなってしまう。症状のことを知っているということは、原因の部分についても耳にしたのだろうか。恥ずかしがっていると、徐庶が胸の前で両手を振った。
「ごめんよ、盗み聞きするつもりはなかったんだ。このことは誰にも言わないから」
徐庶に知られているのがまず問題なのだが、これ以上は責められない。
「苛々したり、動けなくなりそうだったら言ってくれ。いつでも駆け付けるから」
「そんな、迷惑は掛けられないよ。病気でもないんだから、大丈夫」
デモデモダッテ合戦が始まる。徐庶と名前は度々このやり取りを繰り広げることがあった。
「君が心配なんだ。良ければ、頼ってもらえると嬉しいな」
はにかんで言われると、こちらも何も言えなくなってしまう。自分でも言っていて恥ずかしいのだろう。徐庶の頬もほんのり色づいて染まっていた。
「ありがとう」
ただ真っ直ぐに感謝だけを述べると、ぱあっと音がするほどに笑顔が咲き乱れる。こういうところが憎めないのだ。徐庶は優しくて、温かい人だ。諸葛亮が『騙されてはいけませんよ』などと忠告してくる意味が分からない。こんなに優しい人だと言うのに。
二人の間には木漏れ日のようなほんわかとした空気が漂っていた。徐庶の目に仄暗い闇が浮かんでいることに、名前は気付かない。
「辛くなったら俺が止めてあげるからね」
ん?
Rusty Nail・・・私の苦痛を和らげる
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