Pink Lady
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机に果物や野菜が並ぶ。薄切りにした瓜を顔の右半分に貼った二人が、滑稽な姿、真剣な顔で向き合っている。
「一刻経ちましたか」
「経ちましたね」
「それでは披露といきましょう!」
「いざ参る!」
瓜を剥がして鏡の前。半顔パックを終えた二人が左右を見比べる。
「ご覧なさい!水分を含んだ柔らかさ!」
「もっちもち!」
「そしてこの白さ!」
「まるで卸したての絹のよう!」
「お悩みの毛穴も小さくなったでしょう?」
「きゃー!本当です!」
きゃっきゃとはしゃぐ声が部屋に響いた。名前と張郃は所謂美容仲間だ。現代でデパコスからプチプラまでを揃え拘ってきた名前が、美を旨とする張郃に懐くのも当然のことだった。休みの日にはどちらかの部屋に集まって、互いの知識を披露するのが恒例となっていた。
「それでは次に化粧水を塗っていきましょう」
「化粧水なんてどこに?」
「ここですよ、ここ」
張郃が野菜を取り出す。茎を切ると断面から水分が染み出した。
「へちま水みたいです」
「貴方のところにもあるのですか?」
「ええ、似たようなものが」
顔に塗ると爽やかな香りがした。名前はお返しとばかりに朱塗りの入れ物を取り出す。
「今回は米糠で美容液を作ってみました」
「ほう。効果は如何ほど?」
「右手が一週間塗った方、左手が塗っていない方です」
張郃の手が名前の手の甲をするりと撫でた。
「確かに滑らかさが違いますね」
既に普段から何か塗っているのかいないのか、武人であるはずの張郃の手は名前よりも小綺麗で、白魚のようだ。しかし落ち込むことはない、名前は張郃を美の化身だと信じて疑わなかった。人間が神に嫉妬しないように、張郃を推しとして敬い、崇め、奉っていた。同じ目線で話ができるだけで、心から嬉しかった。
「張郃さんの手、美容液なんて必要ないくらいの美しさですね」
「何を仰いますか。美への探求は果てることなどありませんよ!」
「私ったら愚かなことを。仰る通りですね!」
顔を見合わせて笑い合う。ただそれだけで、名前にとってかけがえの無い時間だったのだ。
「一刻経ちましたか」
「経ちましたね」
「それでは披露といきましょう!」
「いざ参る!」
瓜を剥がして鏡の前。半顔パックを終えた二人が左右を見比べる。
「ご覧なさい!水分を含んだ柔らかさ!」
「もっちもち!」
「そしてこの白さ!」
「まるで卸したての絹のよう!」
「お悩みの毛穴も小さくなったでしょう?」
「きゃー!本当です!」
きゃっきゃとはしゃぐ声が部屋に響いた。名前と張郃は所謂美容仲間だ。現代でデパコスからプチプラまでを揃え拘ってきた名前が、美を旨とする張郃に懐くのも当然のことだった。休みの日にはどちらかの部屋に集まって、互いの知識を披露するのが恒例となっていた。
「それでは次に化粧水を塗っていきましょう」
「化粧水なんてどこに?」
「ここですよ、ここ」
張郃が野菜を取り出す。茎を切ると断面から水分が染み出した。
「へちま水みたいです」
「貴方のところにもあるのですか?」
「ええ、似たようなものが」
顔に塗ると爽やかな香りがした。名前はお返しとばかりに朱塗りの入れ物を取り出す。
「今回は米糠で美容液を作ってみました」
「ほう。効果は如何ほど?」
「右手が一週間塗った方、左手が塗っていない方です」
張郃の手が名前の手の甲をするりと撫でた。
「確かに滑らかさが違いますね」
既に普段から何か塗っているのかいないのか、武人であるはずの張郃の手は名前よりも小綺麗で、白魚のようだ。しかし落ち込むことはない、名前は張郃を美の化身だと信じて疑わなかった。人間が神に嫉妬しないように、張郃を推しとして敬い、崇め、奉っていた。同じ目線で話ができるだけで、心から嬉しかった。
「張郃さんの手、美容液なんて必要ないくらいの美しさですね」
「何を仰いますか。美への探求は果てることなどありませんよ!」
「私ったら愚かなことを。仰る通りですね!」
顔を見合わせて笑い合う。ただそれだけで、名前にとってかけがえの無い時間だったのだ。
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