Nikolaschka
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「そなたへの愛の証がやっと完成したぞ。これがあれば、死した後も我らは一つだ」
部屋に案内されたかと思えば、大きな箱の目の前に連れて来られて何かと思った。龐徳は魏の中でも一、二を争うほどの高身長の男である。そして私も一七〇はあるので女の中ではかなりの高さを持っていると言えた。その二人が収まる箱となるとかなりの大きさになる。部屋の半分を埋め尽くす黒塗りの箱、龐徳のお手製であろう周りには鎚や釘が転がっていた。
(気が早すぎ)
龐徳から『お慕い申し上げている』と告げられたのはほんの少し前のことだ。いきなりのことで訳が分からず、疑問すら呈する前に彼は目の前から居なくなっていた。そして何事も無かったのか、あれは夢だったのかと思って過ごしていればこれである。彼の前のめりな性分、一本気が過ぎるところがあると気づいたのもごく最近のことだった。
「貴方は死ぬ覚悟が既に出来ているのよね」
「然り。殿の御為魏の御為、何時でも我が命を捨つる心積もりでいる」
「でも、私は貴方と生きたいの」
ぴたりと表情が固まるので笑いそうになってしまった。龐徳は素直な人だ。武骨ながらも時々その感情が漏れ出てくるのだ。
「どんなに苦しくても、みすぼらしくても、恥ずかしくても、私のために生きて帰ってくる。今と反対の覚悟を決めてよ。そうじゃなきゃ、貴方と一緒になることなんて出来ないから」
「ぬ…」
困ってるなあ。囲おうとする手からすり抜けて、ひらりひらひら蝶のように舞う。名前はそういう女だった。そろそろ捕まってもいいかと思っていた頃にこうなるとは思わなかったのだが。
前回は呆然としていた名前だが、今回は龐徳を置いて行く側になり去った。
邸の次は花咲く森に呼び出された。この前の返事が貰えるのだろうと思って行くと、なんとその手に色とりどりの花を携えていた。
「殿に捧げるとお誓いしたこの身、その約定を違えることはできぬ」
断るんだ。貴方ならそうすると思った。女のために主への誓いは曲げられない。一度決めたことは最後まで貫き通すという武士の信念があった。
「だが生きているうちはそなたに全てを尽くそう。愛のため戦うも、士たる者の道。それがしの武、名前殿の為に捧げん」
花束の頭をこちらにずいと向けて返事を待っている。らしくないことをするものだ。普通こういうときには横抱きにして、手に持つ部分を相手に差し出すのが一般的だ。しかし触れたことなどないのだろう、折角の花はきつく持たれすぎて先が萎れている。それでも、想いを伝えようという姿勢が嬉しかった。
「これ、誰に聞いたの」
「何のことか」
「お花よ」
「郭嘉殿から、女子に想いを告げるときにはまず花だと」
思わず吹き出した。可愛い人。女性の機微を窺うなんて出来ないよね。合わせて軽い言葉を吐いて、弄ぶことなんて以ての外。だからこそ、この人を好きになったのだ。
「私が死んだ時は、棺桶をお花でいっぱいにしてね」
「無論だ。足りなければそれがしが合間を埋めよう」
「貴方がいれば隙間なんて出来っこないわね」
花を受け取ると、清涼な空気が広がった。甘い香りに包まれて、いつかこの人と天国へ逝く。そんな結末も悪くないと思った。
Nikolaschka・・・覚悟を決めて
部屋に案内されたかと思えば、大きな箱の目の前に連れて来られて何かと思った。龐徳は魏の中でも一、二を争うほどの高身長の男である。そして私も一七〇はあるので女の中ではかなりの高さを持っていると言えた。その二人が収まる箱となるとかなりの大きさになる。部屋の半分を埋め尽くす黒塗りの箱、龐徳のお手製であろう周りには鎚や釘が転がっていた。
(気が早すぎ)
龐徳から『お慕い申し上げている』と告げられたのはほんの少し前のことだ。いきなりのことで訳が分からず、疑問すら呈する前に彼は目の前から居なくなっていた。そして何事も無かったのか、あれは夢だったのかと思って過ごしていればこれである。彼の前のめりな性分、一本気が過ぎるところがあると気づいたのもごく最近のことだった。
「貴方は死ぬ覚悟が既に出来ているのよね」
「然り。殿の御為魏の御為、何時でも我が命を捨つる心積もりでいる」
「でも、私は貴方と生きたいの」
ぴたりと表情が固まるので笑いそうになってしまった。龐徳は素直な人だ。武骨ながらも時々その感情が漏れ出てくるのだ。
「どんなに苦しくても、みすぼらしくても、恥ずかしくても、私のために生きて帰ってくる。今と反対の覚悟を決めてよ。そうじゃなきゃ、貴方と一緒になることなんて出来ないから」
「ぬ…」
困ってるなあ。囲おうとする手からすり抜けて、ひらりひらひら蝶のように舞う。名前はそういう女だった。そろそろ捕まってもいいかと思っていた頃にこうなるとは思わなかったのだが。
前回は呆然としていた名前だが、今回は龐徳を置いて行く側になり去った。
邸の次は花咲く森に呼び出された。この前の返事が貰えるのだろうと思って行くと、なんとその手に色とりどりの花を携えていた。
「殿に捧げるとお誓いしたこの身、その約定を違えることはできぬ」
断るんだ。貴方ならそうすると思った。女のために主への誓いは曲げられない。一度決めたことは最後まで貫き通すという武士の信念があった。
「だが生きているうちはそなたに全てを尽くそう。愛のため戦うも、士たる者の道。それがしの武、名前殿の為に捧げん」
花束の頭をこちらにずいと向けて返事を待っている。らしくないことをするものだ。普通こういうときには横抱きにして、手に持つ部分を相手に差し出すのが一般的だ。しかし触れたことなどないのだろう、折角の花はきつく持たれすぎて先が萎れている。それでも、想いを伝えようという姿勢が嬉しかった。
「これ、誰に聞いたの」
「何のことか」
「お花よ」
「郭嘉殿から、女子に想いを告げるときにはまず花だと」
思わず吹き出した。可愛い人。女性の機微を窺うなんて出来ないよね。合わせて軽い言葉を吐いて、弄ぶことなんて以ての外。だからこそ、この人を好きになったのだ。
「私が死んだ時は、棺桶をお花でいっぱいにしてね」
「無論だ。足りなければそれがしが合間を埋めよう」
「貴方がいれば隙間なんて出来っこないわね」
花を受け取ると、清涼な空気が広がった。甘い香りに包まれて、いつかこの人と天国へ逝く。そんな結末も悪くないと思った。
Nikolaschka・・・覚悟を決めて
1/1ページ