あんた方何処さ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
結局記憶は完全には戻らなかった。断片的に蘇ってきたものの、それきり。詫びると、彼には『これから積み重ねていけばいい』と言われた。『共にいられる時間は山の如くあるのだ』と。私達の関係は捩れて拗れて絡まっていたけれど、やっと同じ将来を思い描くことができた。喪ったものは戻らない。だけど私達には未来がある。これから二人で思い描いていく未来が。
あれから彼は遠征に出向くようになった。どこかの主に仕えているわけではなく、時と場合によって参加する軍勢を変えている。それでも恨み言は言われていないようだった。今回こそ太平の要に選ばれたと将達は彼を歓迎し、宴を開き、貢物を送ってきた。戦勝の会には私も呼ばれて、皆でお酒を注ぎ、歌を歌い、笑い合って楽しく過ごす。大好きなキャラクター達と触れ合えて、温かく歓迎されて、嬉しさの涙を何度も流した。時は移り変わり、乱は盛り上がりと切り下がりを繰り返し、歴史は私の知っている通りの流れを辿った。もしかしたら彼が異なる道を選び取れば、私はタイムパラドックスの輪廻の中に消えていたのかもしれない。しかし彼は私との約束を守り、私の生まれ育った未来を守った。それは私の家族、友達、過ごしてきた場所そのものの守護に他ならなかった。
扉が壊れたこともあって、私達は住処を変更することにした。勿論、元化くんも一緒だ。あらゆる土地の中間地点に住んでみたり、市街地の集合住宅に居を構えたり、宿屋に長く滞在したり。季節の巡りと共に、私達は何度も引っ越した。行く先々で出身がどこなのか尋ねられる度に、自分の魂の在り処がどこなのか考えた。最初は間違いなく令和の日本にあっただろう。だけど段々と二人の最初の家になり、元化くんの庵でもあり、街の片隅や仲良しのおばちゃんのいる食堂、歓びを分かち合った将達の間と認識するようになった。人生の大半を過ごしてきた未来よりも、私の居場所は増えていった。引っ越す度にその場所は増えて、私の中で大切なものの一つとなっていった。だけどどこか一番を選べと言われたら、もうそれは私の中で決まっている。彼の隣。それこそが私の居場所。永遠なる安寧の地が私にはもたらされたのだ。
私達は若かった。互いの青さのせいで、心に境界線を引いていた。それは過去と未来、現実と理想、孤独と融和の間に引かれた境界線だった。記憶の喪失という大事件で致命的なまでにその谷は深まってしまったけれど、夜が朝に移ろいでいくように、海に空が溶けていくように和らいで消えていった。これから何度苦楽を越えていくのか、山なのか谷なのか、大局の中の二人は不確かだ。だけど、もう私は怖くない。暗闇に取り残された私の手を掴み、光の中に引っ張り上げてくれる、天の使いがいる。ずっとその隣で生きていくと、心に決めたからだ。
あれから彼は遠征に出向くようになった。どこかの主に仕えているわけではなく、時と場合によって参加する軍勢を変えている。それでも恨み言は言われていないようだった。今回こそ太平の要に選ばれたと将達は彼を歓迎し、宴を開き、貢物を送ってきた。戦勝の会には私も呼ばれて、皆でお酒を注ぎ、歌を歌い、笑い合って楽しく過ごす。大好きなキャラクター達と触れ合えて、温かく歓迎されて、嬉しさの涙を何度も流した。時は移り変わり、乱は盛り上がりと切り下がりを繰り返し、歴史は私の知っている通りの流れを辿った。もしかしたら彼が異なる道を選び取れば、私はタイムパラドックスの輪廻の中に消えていたのかもしれない。しかし彼は私との約束を守り、私の生まれ育った未来を守った。それは私の家族、友達、過ごしてきた場所そのものの守護に他ならなかった。
扉が壊れたこともあって、私達は住処を変更することにした。勿論、元化くんも一緒だ。あらゆる土地の中間地点に住んでみたり、市街地の集合住宅に居を構えたり、宿屋に長く滞在したり。季節の巡りと共に、私達は何度も引っ越した。行く先々で出身がどこなのか尋ねられる度に、自分の魂の在り処がどこなのか考えた。最初は間違いなく令和の日本にあっただろう。だけど段々と二人の最初の家になり、元化くんの庵でもあり、街の片隅や仲良しのおばちゃんのいる食堂、歓びを分かち合った将達の間と認識するようになった。人生の大半を過ごしてきた未来よりも、私の居場所は増えていった。引っ越す度にその場所は増えて、私の中で大切なものの一つとなっていった。だけどどこか一番を選べと言われたら、もうそれは私の中で決まっている。彼の隣。それこそが私の居場所。永遠なる安寧の地が私にはもたらされたのだ。
私達は若かった。互いの青さのせいで、心に境界線を引いていた。それは過去と未来、現実と理想、孤独と融和の間に引かれた境界線だった。記憶の喪失という大事件で致命的なまでにその谷は深まってしまったけれど、夜が朝に移ろいでいくように、海に空が溶けていくように和らいで消えていった。これから何度苦楽を越えていくのか、山なのか谷なのか、大局の中の二人は不確かだ。だけど、もう私は怖くない。暗闇に取り残された私の手を掴み、光の中に引っ張り上げてくれる、天の使いがいる。ずっとその隣で生きていくと、心に決めたからだ。
1/2ページ