Asymmetry
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𝐀𝐬𝐲𝐦𝐦𝐞𝐭𝐫𝐲
烏が鳴く頃、台所から香ばしい煙が漂ってきた。
「もしかしてまた焦げちゃった?」
「中々難しいものだ」
茶色に煤けた野菜を屑籠に捨てようとする袁紹を止める。
「前よりは上手くなってるよ。今日のは食べられる。私に頂戴」
「無理をするでない」
「無理なんかじゃないよ。嬉しいの」
雑穀米、干し肉、漬物、野菜炒めを机に並べる。二人向かい合って手を合わせ、いただきますをする。穏やかな日常。二人で過ごす日々。何よりも欲しかった幸せが今もたらされていた。
壁に掛けてある、銀色の鏡。夕陽が反射して、白い光が部屋に差し掛かっている。横にはニ枚の写真が飾られている。父と母の写真、そして祖母の写真。色の飛んだ古い写真は、私の宝物だ。
私と袁紹はいつも非対称だ。地味好きな私と派手好きな袁紹。片方が拠り所を失うとき、もう片方は温かな家族に囲まれている。人生の苦難を味わう時、鏡の向こうでは幸せに包まれた春が繰り広げられている。しかし今ここで、正反対だった私と袁紹が一つの像を結ぶことになった。私達は質素な衣服に身を包み、しかし最高級の華やかな風呂敷を用いる。畑を耕し細々と籠を編む毎日を繰り返しておきながら、大きな邸に顔を出して豪奢な宴会を楽しむ夜もある。鏡合わせの非対称、それでも二人手を取り合って生きていく。
丸い鏡を覗く。白髪混じりになった髪を梳かすと、同じく白髪の袁紹が後ろから私の肩を抱いた。
祖母と袁紹、私の三人だけが知っている、秘密の鏡。『誰にも話さない』、約束を守った子供にはエンディング前にご褒美が待っていた。世の荒波は人生からあらゆる希望を奪っていこうとしたが、魔女が最期に唱えた呪文が孫を守った。掛けられた魔法が悠久の時を超えて、私に唯一残してくれたもの。
「鏡よ鏡よ鏡さん、この世で一番美しいのは誰?」
鏡の中の男が微笑んで答える。
「我が妻、名前に決まっておろう」
了
「もしかしてまた焦げちゃった?」
「中々難しいものだ」
茶色に煤けた野菜を屑籠に捨てようとする袁紹を止める。
「前よりは上手くなってるよ。今日のは食べられる。私に頂戴」
「無理をするでない」
「無理なんかじゃないよ。嬉しいの」
雑穀米、干し肉、漬物、野菜炒めを机に並べる。二人向かい合って手を合わせ、いただきますをする。穏やかな日常。二人で過ごす日々。何よりも欲しかった幸せが今もたらされていた。
壁に掛けてある、銀色の鏡。夕陽が反射して、白い光が部屋に差し掛かっている。横にはニ枚の写真が飾られている。父と母の写真、そして祖母の写真。色の飛んだ古い写真は、私の宝物だ。
私と袁紹はいつも非対称だ。地味好きな私と派手好きな袁紹。片方が拠り所を失うとき、もう片方は温かな家族に囲まれている。人生の苦難を味わう時、鏡の向こうでは幸せに包まれた春が繰り広げられている。しかし今ここで、正反対だった私と袁紹が一つの像を結ぶことになった。私達は質素な衣服に身を包み、しかし最高級の華やかな風呂敷を用いる。畑を耕し細々と籠を編む毎日を繰り返しておきながら、大きな邸に顔を出して豪奢な宴会を楽しむ夜もある。鏡合わせの非対称、それでも二人手を取り合って生きていく。
丸い鏡を覗く。白髪混じりになった髪を梳かすと、同じく白髪の袁紹が後ろから私の肩を抱いた。
祖母と袁紹、私の三人だけが知っている、秘密の鏡。『誰にも話さない』、約束を守った子供にはエンディング前にご褒美が待っていた。世の荒波は人生からあらゆる希望を奪っていこうとしたが、魔女が最期に唱えた呪文が孫を守った。掛けられた魔法が悠久の時を超えて、私に唯一残してくれたもの。
「鏡よ鏡よ鏡さん、この世で一番美しいのは誰?」
鏡の中の男が微笑んで答える。
「我が妻、名前に決まっておろう」
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