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𝚅𝚒𝚎𝚗𝚗𝚊
「何作ってるの?」
「旅のしおりだ」
「しおり」
何それ可愛い。
吹き出さなかった私は偉い。旅に行くときにしおりを作るなんて小学生以来だ。最近何やらパソコンに向かって真剣に打ち込んでいると思ったら、新婚旅行のパンフレットを作っているようだった。
覗いてみると、旅行先とその移動手段、金額、時間が事細かに記入されている。タイムスケジュールなんて分刻みで入力されていた。しおりというよりは旅程計画表と呼んだほうが近い。名前はひとまず深呼吸をした。男がどれだけのエネルギーを割いて旅行を"成功"に導こうとしているか、痛いほど分かっているからだ。しかし現代は家父長制など無い、二人平等に負担を分け合う時代だ。
「作ってくれてありがとうね。私も作成に参加してもいい?」
「何か不満か」
「不満とかじゃなくて。私の意見も取り入れて欲しいなって」
「懸念事項があるなら言え」
「例えばね、こことか」
指でタイムスケジュールを示す。
「カフェの時間だけど、もう少し欲しいな。確かに飲食だけならこのままでいいけど、のんびりして雰囲気を楽しみたいの」
「では滞在時間を変更しよう」
「あとここも。移動手段はバスが手っ取り早いんだけど、お庭が綺麗だから歩くのもおすすめらしいんだよ。早さより体験を取りたいなって」
パソコンを覗く後ろから、首に手を回して肩に顔を置く。
「効率も大事だけど、経験も重視できたらいいなって。二人の良いところを取り合って、楽しい旅行にしよう?」
私達は前世で旅行など行ったことがない。そもそもそんな文化が無かったし、生涯を通して忙しく、長期で休みを取ることすらままならなかった。今世で出会って、お付合いから結婚まですぐに至ってしまったので、こうして二人の時間をゆっくりと取れるのは初めてのことだ。
人知れず緊張していたのだろう、夫の肩の力が緩んだのを感じて微笑ましくなった。
「すまん」
「謝らないで。貴方が一生懸命考えてくれたこと、嬉しいから」
画面に表示されている、オーストリア行きの航空券。私達の新婚旅行は、もう既に始まっているのだ。
「旅のしおりだ」
「しおり」
何それ可愛い。
吹き出さなかった私は偉い。旅に行くときにしおりを作るなんて小学生以来だ。最近何やらパソコンに向かって真剣に打ち込んでいると思ったら、新婚旅行のパンフレットを作っているようだった。
覗いてみると、旅行先とその移動手段、金額、時間が事細かに記入されている。タイムスケジュールなんて分刻みで入力されていた。しおりというよりは旅程計画表と呼んだほうが近い。名前はひとまず深呼吸をした。男がどれだけのエネルギーを割いて旅行を"成功"に導こうとしているか、痛いほど分かっているからだ。しかし現代は家父長制など無い、二人平等に負担を分け合う時代だ。
「作ってくれてありがとうね。私も作成に参加してもいい?」
「何か不満か」
「不満とかじゃなくて。私の意見も取り入れて欲しいなって」
「懸念事項があるなら言え」
「例えばね、こことか」
指でタイムスケジュールを示す。
「カフェの時間だけど、もう少し欲しいな。確かに飲食だけならこのままでいいけど、のんびりして雰囲気を楽しみたいの」
「では滞在時間を変更しよう」
「あとここも。移動手段はバスが手っ取り早いんだけど、お庭が綺麗だから歩くのもおすすめらしいんだよ。早さより体験を取りたいなって」
パソコンを覗く後ろから、首に手を回して肩に顔を置く。
「効率も大事だけど、経験も重視できたらいいなって。二人の良いところを取り合って、楽しい旅行にしよう?」
私達は前世で旅行など行ったことがない。そもそもそんな文化が無かったし、生涯を通して忙しく、長期で休みを取ることすらままならなかった。今世で出会って、お付合いから結婚まですぐに至ってしまったので、こうして二人の時間をゆっくりと取れるのは初めてのことだ。
人知れず緊張していたのだろう、夫の肩の力が緩んだのを感じて微笑ましくなった。
「すまん」
「謝らないで。貴方が一生懸命考えてくれたこと、嬉しいから」
画面に表示されている、オーストリア行きの航空券。私達の新婚旅行は、もう既に始まっているのだ。
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