欺瞞の藤袴
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「もう嫌、宴会には金輪際出ませんからね」
来客用の机に身を投げ出して嘆く。出してもらった茶が美味しい。でも嫌なものは嫌だ。それに変わりはない。
「まあまあ、あんたも彼奴の違う一面が拝めて良かっただろう?」
賈詡が笑う。今回の宴会もこの男に誘われて参加したものだ。
『結婚しろ結婚しろ五月蝿いので、嫌なんです。もしかしたら曹操様に誰かとくっつけって命令されちゃう可能性もあるし』
『そんときゃ俺が何とかするさ。あんたも酔った彼奴がどうなるか、見てみたくないか?』
口車に乗せられて行ったはいいものの、宴会での席が遠くて彼とは碌に喋れなかった。変に周囲に責め立てられて立場を危うくしただけだったのである。
「確かに酔ったところは可愛かったですけど。でも私はいつもの凛々しい姿の方が好き」
「いやはや、女心は複雑怪奇だね」
賈詡が肩を竦める。うんざりという顔だ。それなのに名前の長話にいつも乗ってくれる、不思議な男だった。彼に恋して悩める名前に、賈詡が手を差し伸べたのはいつの事だったか。
『あんた、何かお悩みだね。どうだ、一つこの俺に相談してみるってのは』
成程賈詡のアドバイスは的確だった。名前は憧れの彼との距離をこの数ヶ月で着実に縮めつつあった。それもこれも目の前の軽薄そうな男のお陰ではあるのだが、その代わりに名前にも交換条件があった。
「じゃあこれ、今回も頼むよ」
名前は主に軍師連中に仕えてはいるが、定まった主はいない。あらゆる場を転々としながら知識を活かせる場がないか探っていたが、最近は依頼を受けて専ら賈詡の専属となっていた。
「!!!!!!!」
一つ目の竹簡が何か緩いと思って開けてみると、中から小さな蛙が飛び出してきた。声にならない悲鳴を上げると、賈詡が腹を抱えて笑い出す。
「あははあ、あんたも古典的な手に引っ掛かるね」
「もう!賈詡さん!今度こそは許しませんから!」
執務室の中をどたばたと追いかけっ子をする。机をひょいひょいと飛び越えて逃げる賈詡に暴れる名前が迫る。あまりに諦めないでいるとスピードを緩めて賈詡はわざと捕まる。そして名前が背中にばちんと一発平手打ちを食らわせるまでが一つの流れだった。書簡を持ってきた荀彧がその姿を見て笑った。
「お二人とも、今日も仲がよろしいことで」
「「どこが!」」
賈詡と名前の声が重なった。二人の漫才が城の中で恒例になりつつあった。
来客用の机に身を投げ出して嘆く。出してもらった茶が美味しい。でも嫌なものは嫌だ。それに変わりはない。
「まあまあ、あんたも彼奴の違う一面が拝めて良かっただろう?」
賈詡が笑う。今回の宴会もこの男に誘われて参加したものだ。
『結婚しろ結婚しろ五月蝿いので、嫌なんです。もしかしたら曹操様に誰かとくっつけって命令されちゃう可能性もあるし』
『そんときゃ俺が何とかするさ。あんたも酔った彼奴がどうなるか、見てみたくないか?』
口車に乗せられて行ったはいいものの、宴会での席が遠くて彼とは碌に喋れなかった。変に周囲に責め立てられて立場を危うくしただけだったのである。
「確かに酔ったところは可愛かったですけど。でも私はいつもの凛々しい姿の方が好き」
「いやはや、女心は複雑怪奇だね」
賈詡が肩を竦める。うんざりという顔だ。それなのに名前の長話にいつも乗ってくれる、不思議な男だった。彼に恋して悩める名前に、賈詡が手を差し伸べたのはいつの事だったか。
『あんた、何かお悩みだね。どうだ、一つこの俺に相談してみるってのは』
成程賈詡のアドバイスは的確だった。名前は憧れの彼との距離をこの数ヶ月で着実に縮めつつあった。それもこれも目の前の軽薄そうな男のお陰ではあるのだが、その代わりに名前にも交換条件があった。
「じゃあこれ、今回も頼むよ」
名前は主に軍師連中に仕えてはいるが、定まった主はいない。あらゆる場を転々としながら知識を活かせる場がないか探っていたが、最近は依頼を受けて専ら賈詡の専属となっていた。
「!!!!!!!」
一つ目の竹簡が何か緩いと思って開けてみると、中から小さな蛙が飛び出してきた。声にならない悲鳴を上げると、賈詡が腹を抱えて笑い出す。
「あははあ、あんたも古典的な手に引っ掛かるね」
「もう!賈詡さん!今度こそは許しませんから!」
執務室の中をどたばたと追いかけっ子をする。机をひょいひょいと飛び越えて逃げる賈詡に暴れる名前が迫る。あまりに諦めないでいるとスピードを緩めて賈詡はわざと捕まる。そして名前が背中にばちんと一発平手打ちを食らわせるまでが一つの流れだった。書簡を持ってきた荀彧がその姿を見て笑った。
「お二人とも、今日も仲がよろしいことで」
「「どこが!」」
賈詡と名前の声が重なった。二人の漫才が城の中で恒例になりつつあった。
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