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昔から人の欲しがる言葉が分かった。エスパーだとか、超能力だとか、特別な力があるわけじゃない。ただ人の顔を見ていると、その人が今何を不安に思っているか、何を肯定してほしいのか、何を恐れているのかが透けて見えた。目の動き、肩の力の入り方、声のトーン。言葉にならない部分に、人はいつも本音を滲ませている。私はそれを拾って、言葉に変換して、色良く包んで返すのが得意だった。
高校を卒業して、気付けば占い師になっていた。水晶玉と紫の布と、それらしい口上。お客さんが来る度に話を聞いて、その人が聞きたい言葉を探して、仰々しく広げて渡す。驚かれる。『当たった』と言われる。泣かれることもある。私はただ『星のお導きです』と答える。やがて『先生』と呼ばれるようになった。詐欺師と言われればそうかもしれない。でもそれで誰かの背中が押せるなら、まあいいかと思っていた。
そんな私が三国時代に落ちた。はじめは途方に暮れた。三国志の知識はあったから、時代背景もざっくりは分かる。金もなく、身寄りもなく、この時代の常識も殆ど分かっていない。手元にある商売道具の入ったバッグだけが頼りだった。
生き延びる道を考えた。私に出来ることは何か。料理は普通、武芸は論外、医術は知識がない。考えた果てに街角で板の上に布を敷き、水晶を置いた。そしていつも通りの、舌先三寸の口八丁。人の生き方は時代を超えても変わらない。私のご飯を食べる術といえば一つしかないのだから。通りがかった老人が面白そうに立ち止まってくれたので、そこから始まった。
息子が戦に行って帰ってくるか。作物が今年は実るか。病の夫は回復するか。私は話を聞いた。表情を読んだ。その人が欲しい言葉を探し、そして返した。
口コミというのは時代を問わず早い。気がつくと、連日長蛇の列ができるようになっていた。
高校を卒業して、気付けば占い師になっていた。水晶玉と紫の布と、それらしい口上。お客さんが来る度に話を聞いて、その人が聞きたい言葉を探して、仰々しく広げて渡す。驚かれる。『当たった』と言われる。泣かれることもある。私はただ『星のお導きです』と答える。やがて『先生』と呼ばれるようになった。詐欺師と言われればそうかもしれない。でもそれで誰かの背中が押せるなら、まあいいかと思っていた。
そんな私が三国時代に落ちた。はじめは途方に暮れた。三国志の知識はあったから、時代背景もざっくりは分かる。金もなく、身寄りもなく、この時代の常識も殆ど分かっていない。手元にある商売道具の入ったバッグだけが頼りだった。
生き延びる道を考えた。私に出来ることは何か。料理は普通、武芸は論外、医術は知識がない。考えた果てに街角で板の上に布を敷き、水晶を置いた。そしていつも通りの、舌先三寸の口八丁。人の生き方は時代を超えても変わらない。私のご飯を食べる術といえば一つしかないのだから。通りがかった老人が面白そうに立ち止まってくれたので、そこから始まった。
息子が戦に行って帰ってくるか。作物が今年は実るか。病の夫は回復するか。私は話を聞いた。表情を読んだ。その人が欲しい言葉を探し、そして返した。
口コミというのは時代を問わず早い。気がつくと、連日長蛇の列ができるようになっていた。
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