Bloody Mary
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正月。箱根の山を駆け、歓声の中振られる旗。前を行く走者を追い抜けば、目の前に広がるのは勝者の景色。誰も私の前を行くことなど出来ない。四年間ランナーとして駅伝に参加することが、小さな頃からの夢だった。しかしもうそれは叶わない。叶わないなら、何か代わりに人生の礎になる勝利が欲しかった。
「お前さん、また着いてきたのかよ」
関羽の従者である周倉のそのまた従者、それが三国の世で見つけた生き方だった。周倉は指示を最後まで聞かずに出発してしまうことがよくある。補填の伝令要員が私というわけだ。無論短距離走では彼に敵わない。しかし長距離となれば話は別だ。距離が延びれば延びるほど、彼に追いつく確率は上がる。彼が人間離れしているとは言え、私のスタミナも捨てたものではない。大抵の場合目的地に同時に着くのがルーチンとなっていた。
「貴方がちゃんと話を聞いていたら、私が来なくても良かったのよ」
「わりいわりい、つい突っ走っちまって」
彼に勝ちたい。追いついて、そして抜き去って私が先頭に。闘志を隠しながら隣に立っても、彼はいつも笑って労うのみだ。
「お前さんには感謝してるんだぜ。せっかちな俺を補ってくれてよ」
直截な感謝が気恥ずかしい。いつも真っ直ぐに私に相対してくれる彼を前にして、心中で打ち負かしたいと考えてしまう自分。私の密かな勝負は、勝ちで幕引きをできたことがなかった。彼に追いつくとその輝く笑顔に絆されて、足が止まってしまう。振り返らず、顧みず、その場を後にしてしまえればいいのに。私にはどうにもそれができないでいた。
「お前さん、また着いてきたのかよ」
関羽の従者である周倉のそのまた従者、それが三国の世で見つけた生き方だった。周倉は指示を最後まで聞かずに出発してしまうことがよくある。補填の伝令要員が私というわけだ。無論短距離走では彼に敵わない。しかし長距離となれば話は別だ。距離が延びれば延びるほど、彼に追いつく確率は上がる。彼が人間離れしているとは言え、私のスタミナも捨てたものではない。大抵の場合目的地に同時に着くのがルーチンとなっていた。
「貴方がちゃんと話を聞いていたら、私が来なくても良かったのよ」
「わりいわりい、つい突っ走っちまって」
彼に勝ちたい。追いついて、そして抜き去って私が先頭に。闘志を隠しながら隣に立っても、彼はいつも笑って労うのみだ。
「お前さんには感謝してるんだぜ。せっかちな俺を補ってくれてよ」
直截な感謝が気恥ずかしい。いつも真っ直ぐに私に相対してくれる彼を前にして、心中で打ち負かしたいと考えてしまう自分。私の密かな勝負は、勝ちで幕引きをできたことがなかった。彼に追いつくとその輝く笑顔に絆されて、足が止まってしまう。振り返らず、顧みず、その場を後にしてしまえればいいのに。私にはどうにもそれができないでいた。
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