Nap Frappe
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「名前殿、いらっしゃいますか」
「呼んだ?」
「うわ!」
声に応えて飛び降りると、背後を取られた関平が肩を跳ねさせた。甘いよ。これくらいで驚いていたら将なんて務まらないって。
「今日も相談事?」
僅かに頬を染めながら関平が頷く。彼の四方山話を聞くようになったのはいつからだっただろう。私は傭兵として戦に出ているが、暇なときは大抵木の上で昼寝をして過ごしている。午後の日差しに微睡んでいたある日、彼が寝床の下で悩んでいたところに声を掛けたのがきっかけだった。かなり思い詰めていたようで、普段はそんなことなどしないだろうに花占いなどしていた。一枚一枚花弁を抜きながら俯く関平。枝にぶら下がったまま覗き込むと、今日と同じく素っ頓狂な声を出したものだ。
「食事に誘ったのですが」
「うん、どうだった?」
「他の兄弟も共にと言われてしまい」
完全に脈無しだ。星彩はまだそういう目で関平を見ていないようだ。肩を落とす姿がいじらしい。
「まだ貴方を男性として意識していないんだと思うよ。何か贈り物をするのはどう?」
「何がいいのでしょう。簪か、櫛か」
「重い重い。花とかでいいんだよ」
生真面目な彼は突っつくとすぐに面白い方向に向かってしまう。軌道修正して見守るのが私の日課になっていた。
ある戦。関平が敵陣に取り残されて孤立していると伝令が入った。馬に飛び乗る私を諸葛亮が止める。アーアー聞こえなーい。堅い敵陣を突破して駆けつけると、彼が孤軍奮闘して援軍を待っていた。
「名前殿!此処へはどうやって」
「ちょっくら飛ばしてきたよ」
「幾重にも包囲網が敷かれていたはず」
「そうだね。今からまた突破しなくちゃいけないかな」
手を差し出すと、私を見た。彼はまだ若い。迷いがある。そしてそれを導くのが、私の役目だ。
「行こう、関平。私を信じて」
手と手が合わさり、二人馬に乗る。分厚い壁を乗り越えたとき、汗と血に塗れた頬を綻ばせて関平が笑っていた。
「名前殿は私の危機にいつも駆けつけて下さるのですね」
そうだよ。それが私の役割だからね。見つめると、彼の目の奥に仄かな温度が宿ったのを感じた。
「信じています、名前殿。貴方を、この世の誰よりも」
絶対零度の冷気が私を覆った。それは聞きたくなかった言葉だ。
「呼んだ?」
「うわ!」
声に応えて飛び降りると、背後を取られた関平が肩を跳ねさせた。甘いよ。これくらいで驚いていたら将なんて務まらないって。
「今日も相談事?」
僅かに頬を染めながら関平が頷く。彼の四方山話を聞くようになったのはいつからだっただろう。私は傭兵として戦に出ているが、暇なときは大抵木の上で昼寝をして過ごしている。午後の日差しに微睡んでいたある日、彼が寝床の下で悩んでいたところに声を掛けたのがきっかけだった。かなり思い詰めていたようで、普段はそんなことなどしないだろうに花占いなどしていた。一枚一枚花弁を抜きながら俯く関平。枝にぶら下がったまま覗き込むと、今日と同じく素っ頓狂な声を出したものだ。
「食事に誘ったのですが」
「うん、どうだった?」
「他の兄弟も共にと言われてしまい」
完全に脈無しだ。星彩はまだそういう目で関平を見ていないようだ。肩を落とす姿がいじらしい。
「まだ貴方を男性として意識していないんだと思うよ。何か贈り物をするのはどう?」
「何がいいのでしょう。簪か、櫛か」
「重い重い。花とかでいいんだよ」
生真面目な彼は突っつくとすぐに面白い方向に向かってしまう。軌道修正して見守るのが私の日課になっていた。
ある戦。関平が敵陣に取り残されて孤立していると伝令が入った。馬に飛び乗る私を諸葛亮が止める。アーアー聞こえなーい。堅い敵陣を突破して駆けつけると、彼が孤軍奮闘して援軍を待っていた。
「名前殿!此処へはどうやって」
「ちょっくら飛ばしてきたよ」
「幾重にも包囲網が敷かれていたはず」
「そうだね。今からまた突破しなくちゃいけないかな」
手を差し出すと、私を見た。彼はまだ若い。迷いがある。そしてそれを導くのが、私の役目だ。
「行こう、関平。私を信じて」
手と手が合わさり、二人馬に乗る。分厚い壁を乗り越えたとき、汗と血に塗れた頬を綻ばせて関平が笑っていた。
「名前殿は私の危機にいつも駆けつけて下さるのですね」
そうだよ。それが私の役割だからね。見つめると、彼の目の奥に仄かな温度が宿ったのを感じた。
「信じています、名前殿。貴方を、この世の誰よりも」
絶対零度の冷気が私を覆った。それは聞きたくなかった言葉だ。
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