夫婦漫才
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嗚呼、神様。私は無知そのものでした。ずっと貴方に祈り続けてきました。天の光差し込むその雲の向こうに、貴方がいると信じ続けてきたからです。この運命は貴方の掌のまにまに、踊らされていると誤解していたからです。だけど、そうではない。天命など無かった。空の果てには、人間を操る存在などいないのです。私達は貴方に頼りきりでした。ですがとうとう、人間一人一人が超人となって、その足で大地に立たなければならない時がやってきました。昼に太陽が無ければ、道など見えません。夜に星が無ければ、希望など在りません。善悪を他人から教示されなければ、どうやって判断できるというのでしょう。ニーチェは言いました、『汝自身の道を見つけよ。人々から離れよ。汝に知られている善も悪も忘却せよ』。神の敵と信じてきた悪魔がもし邪な存在でなかったとしたら、私が今まで忌避してきたこの感情はどうなるのでしょう。愛は与えることである。愛は自己超越である。そして愛は、最も孤独な者に隣人を授ける。私の悠久の寂寞を癒やしたのは、嘗て魔物と断じてきたその隣人でした!『汝の勇気と好奇心で、汝自身の海を航海せよ』。私は今、嵐の中に小舟で漕ぎ出そうとしています。導きのない世に身を任せる恐怖に怯え震えています。だけど、その櫂を共に持つ者がありました。浅黒い肌、濡羽色の瞳、揃いの首飾り、香りを纏うその男こそ、荒波を共に乗り越えてゆく隣人に他ならないのです。『自身の太陽となれ』『踊る星を産むためには、人は自分の内に混沌を持たねばならぬ』。体に相反する宇宙を抱えながら、私は歩んでいきます。そう、気付いてしまいました。神よ、貴方は死んだのですね。そして殺したのは私達自身。だけどもう覚悟を決めました。この男といられるなら、愛も恐怖も孤独も何もかも、この胸に抱えて生きていく。人の決めた善悪など関係ありません。私自身が太陽であり、星であり、この世にたった一つの希望なのです。
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