振袖始
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あの&♯X301c;神様。すみませんが、私の願いは貴方に届いているんでしょうか。確かに嫌がらせは止みました。その事が貴方の見えざる手によるものだとしたら、心から感謝しています。ただ、その後の変貌ぶりはどういうことなのでしょうか。彼奴の思考回路はどうなっているんでしょうか。全く奇々怪々のミステリー、理解が追い付かなくて困っています。私は平和に過ごせれば何でもいいのです。最大多数の最大幸福、それが実現されているなら満足なのです。ただ、私の心の中心に彼奴の姿を思い描いたことはありませんでした。何故なら私の悠久の平穏を壊す存在がいるとしたら、その悪魔は正にあんな顔をしているだろうと思っていたからです。ええ、そう思っていた。その筈なのに、なんだか最近おかしいのです。優しくされると、悪魔の顔がぼやけて消えていくのです。皆が笑い、花が咲き誇る、天使がラッパを吹いて春の風が吹く楽園の庭に、彼奴がいてもいいかと納得してしまう自分がいるのです。考えてもみて下さい。純粋な魂の持ち主が合唱する天国で、彼奴が爽やかに笑って肩を組み、愛の歌を共に奏でるでしょうか。絶対に有り得ないことと分かっています。嗚呼、神様。これは悪魔の誘惑なのでしょうか。私は罠に嵌っているのでしょうか。それならばどうか、地獄に一筋の光明を垂らし、私を救って下さい。きっとまだ間に合います。今ならまだ。
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