Nikolaschka続き
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私が三国の歴史に詳しかったら。もっと勉強をしていたら。悔やんでも悔やみきれない。ただ今は絶望が胸に占めるだけだった。
邸に私を置いて、龐徳は樊城の戦いへ赴いた。彼は私の頬に手を添えて、『いってくる』と一言だけ告げた。それが『行ってくる』なのか、『逝ってくる』だったのか、今となっては誰も分からない。帰りを待つ私に届いたのは訃報だった。彼は覚悟の通り関羽と戦い、捕縛された後も忠義を重んじ斬られたそうだ。首は劉備軍に持ち帰られ、体は返って来なかった。恐らく戦場に打ち捨てられているのだろう。雨と風が彼に吹き付けて、いつか土に還るのか。
私に残されたのは空っぽの棺だけだった。もうとっくの昔に枯れてしまった花はまだ花瓶に刺さっている。虹色の彩りを持っていたそれは茶色に煤け、私と彼の思い出を表しているようだ。意地を張らずに、彼を早く受け入れていれば良かった。もっと二人で色んなところへ出掛けたり、美味しいものを沢山食べたり、人生の歓びを分かち合いたかった。だがそれも今となっては叶わぬ願いだ。
「于将軍、曹仁殿、龐徳殿。この命に換えても、私が彼等をお守り致します」
軍に加わる友人が一兵卒の姿となり、私に誓った言葉だ。拱手して述べる彼女の心には誇りと忠義があった。戦いから帰って来た彼女は、自分も悲しんで止まないだろうに私を慰めてくれた。二人で失った欠片を埋め合うように涙を流した。
彼を失ってからも私は気丈に生きた方だと思う。後を追うなど考えられなかった。彼の知らない歴史を追って、魏の行く末をこの目で見て、もし会えたときには自慢してやろうと思ったのだ。私は存分に生を謳歌した。彼を愛するが故に、生きて、彼の生き様を後世に語り継ぐことを選んだ。
私の命が燃え尽きたその後、体はどうなったのだろうか。一兵卒殿は確かにあの古びた棺に、花と共に収めて燃やしてくれただろうか。私も彼女も、いつかどこかで敬愛する彼等にまた巡り合う。そしてその時私はあの大きな図体に思い切り抱き着いて告げてやろうと思うのだ、愛していると。
邸に私を置いて、龐徳は樊城の戦いへ赴いた。彼は私の頬に手を添えて、『いってくる』と一言だけ告げた。それが『行ってくる』なのか、『逝ってくる』だったのか、今となっては誰も分からない。帰りを待つ私に届いたのは訃報だった。彼は覚悟の通り関羽と戦い、捕縛された後も忠義を重んじ斬られたそうだ。首は劉備軍に持ち帰られ、体は返って来なかった。恐らく戦場に打ち捨てられているのだろう。雨と風が彼に吹き付けて、いつか土に還るのか。
私に残されたのは空っぽの棺だけだった。もうとっくの昔に枯れてしまった花はまだ花瓶に刺さっている。虹色の彩りを持っていたそれは茶色に煤け、私と彼の思い出を表しているようだ。意地を張らずに、彼を早く受け入れていれば良かった。もっと二人で色んなところへ出掛けたり、美味しいものを沢山食べたり、人生の歓びを分かち合いたかった。だがそれも今となっては叶わぬ願いだ。
「于将軍、曹仁殿、龐徳殿。この命に換えても、私が彼等をお守り致します」
軍に加わる友人が一兵卒の姿となり、私に誓った言葉だ。拱手して述べる彼女の心には誇りと忠義があった。戦いから帰って来た彼女は、自分も悲しんで止まないだろうに私を慰めてくれた。二人で失った欠片を埋め合うように涙を流した。
彼を失ってからも私は気丈に生きた方だと思う。後を追うなど考えられなかった。彼の知らない歴史を追って、魏の行く末をこの目で見て、もし会えたときには自慢してやろうと思ったのだ。私は存分に生を謳歌した。彼を愛するが故に、生きて、彼の生き様を後世に語り継ぐことを選んだ。
私の命が燃え尽きたその後、体はどうなったのだろうか。一兵卒殿は確かにあの古びた棺に、花と共に収めて燃やしてくれただろうか。私も彼女も、いつかどこかで敬愛する彼等にまた巡り合う。そしてその時私はあの大きな図体に思い切り抱き着いて告げてやろうと思うのだ、愛していると。
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