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小学校と中学校での大きな違いは部活動。小学校とは違って、様々な種類の部活動が増え、本格的な活動になる。今日は、その部活動紹介が行われた。
殆どの生徒は部活動に所属して、3年間、部活に明け暮れる。そして、中学生活で1番印象に残るのは部活動と答える生徒が大半だと言う。
そんな、青春と呼べる部活動選択は1番迷うものとなるだろう。新入生達は、ソワソワしていた。
まぁ、私には関係ないけど。そう思いながら、各部がパフォーマンスを加えて紹介しているのを見ていた。部活動紹介が終わり、教室へ戻って席に着くとクラス中は部活動の話で持ちきりだった。
「ンだよ、軽音部ねぇのかよ」
「オマエ、軽音入るつもりだったのかよ?」
「どんなモンか気になってたんだよなー」
残念そうにそう言う、ぺーやんに三ツ谷君は苦笑いをしていた。そして、小さな声で似合わねぇと呟いたのが聞こえてしまったらしく、ペーやんと揉めていた。
「泉さんは気になるのなんかあった?」
「いえ、特には…」
「やってみたいとかねーの?」
「うーん…、テニスとかどうでしょうか」
「似合わねぇ~」
またサラッと失礼な事を言ってくるぺーやんに三ツ谷君は脇腹をど突いていた。確かに、私にはテニスなんて爽やかなスポーツ似合わないのは自覚していますけども。自分とは真逆の物を言ってみただけです。
「でも、真顔で豪速球サーブ打ちそうじゃね?」
「パーちん、それもあんま女の子に向かって言うセリフじゃねぇって」
「オレは褒めてるけど」
苦笑いを浮かべた三ツ谷君は私の方を見て、「仮入部とか行ったらどう?」と聞いた。
今日から、1週間は仮入部期間で好きな部活の体験が出来る。でも、テニスと言ったのはキラキラしている女の子達が入部するイメージがあったから、少しだけ憧れがあっただけ。本気でテニスがやりたい訳じゃない。
「いえ、行く予定はないです」
「じゃあさ、一緒に手芸部の仮入部行こうよ」
「手芸部はちょっと…」
「何で?」
「裁縫は苦手です」
「泉にも苦手な事あんだな」
「苦手な事だらけですよ」
「その方が人間らしくていいじゃん」
彼はニッと笑った。常に両親には完璧でいなさいと言われて育ったから、初めてそんな風に言われて驚いてしまう。人と付き合う事が苦手だし、裁縫も出来ないなんて欠落している部分なのに良いなんて言ってくれる人がいるなんて思っていなかった。
「大丈夫、オレがちゃんと教えるからさ。行ってみようぜ」
「…ハイ、お願いします」
優しく笑ってくれる三ツ谷君の誘いを何となく断れなくなってしまった私は、ペコッと頭を下げてお願いしますなんて言ってしまった。
顔を上げると、三ツ谷くんは私の頭にポンっと手を乗せた。突然の事にぽかんとしていると、三ツ谷くんも不思議そうに私を見た。ペーやんとぱーちんがからかうように口笛を吹いた事に三ツ谷くんは自分の行動の意味を知り、慌てて「そう言うんじゃねーって!」と否定していた。私もそんな深い意味があるとは思ってはいないけど、頭に触れた手があまりにも優しくて暖かかったのが嬉しかった。今度は、無理にとかじゃなくて自然に口角がキュッと上がったような気がした。そんな私の顔を見て、三ツ谷君は一瞬驚いたような表情を見せた。
「お、いつもよりマシじゃん。能面からおかめ納豆に昇格だな」
ペーやんの一言で驚きの表情をしていた三ツ谷君もすぐに真顔に戻っていた。脳内におかめ納豆を浮かべてみるが、あまり喜べるような事じゃないような気もするがペーやんは満足気に頷いていた。これは、褒められているのだろうか…。
「おかめ納豆は初めて言われました」
「そっくりだったぜ」
「それは複雑です」
「能面より良くねぇ?なぁ、三ツ谷ぁ?パーちん?」
「おかめ納豆の方が美味そうだ」
「いや、そうじゃねぇだろ…」
パーちんは納豆という単語だけ拾ってしまったのだろうか。天然なのか食い意地が張っているだけなのか、いつも自分で公言している馬鹿なのか、果たしてどれが正解なのか。1人で考えていると、さっきまで黙っていた三ツ谷君が声をあげた。
「オレは可愛いと思ったよ」
「はい…?」
「さっきの笑った顔、オレは可愛いと思った」
その発言には私だけじゃなく、パーちんとペーやんも呆気にとられ、3人が間抜けな顔をしていた。そして、三ツ谷君はハッとして「ヤベェ、今のナシ!」と顔を右手で隠し、左の掌を突き出して慌てた様子だった。
三ツ谷君はおかめ納豆が可愛いと思うのか。好みは人それぞれだもんね。別におかしい事じゃないのになにをそんなに慌てているのだろうか。
「三ツ谷君ってストライクゾーンが広いんですね」
「は?」
「おかめ納豆が好みのタイプでも良いと思います。平安時代は美人と言われていましたし」
「いや、そういう意味じゃなくて」
「何も恥じらう事ありませんよ」
「…通じてねぇなぁ」
三ツ谷君がボソッと呟いた瞬間にペーやんとパーちんの笑い声が教室中に響いた。笑ったら失礼ですよと注意したら余計に笑われてしまう。
「泉はもう喋んな…!腹痛ぇ…」
呼吸がままならない程、笑い転げているペーやんとパーちんに三ツ谷君の怒声が飛んだのは言うまでもない。一発、頭を殴られて痛がっている2人に、人の趣味を笑ってはいけませんよ。と心の中で呟くのだった。
殆どの生徒は部活動に所属して、3年間、部活に明け暮れる。そして、中学生活で1番印象に残るのは部活動と答える生徒が大半だと言う。
そんな、青春と呼べる部活動選択は1番迷うものとなるだろう。新入生達は、ソワソワしていた。
まぁ、私には関係ないけど。そう思いながら、各部がパフォーマンスを加えて紹介しているのを見ていた。部活動紹介が終わり、教室へ戻って席に着くとクラス中は部活動の話で持ちきりだった。
「ンだよ、軽音部ねぇのかよ」
「オマエ、軽音入るつもりだったのかよ?」
「どんなモンか気になってたんだよなー」
残念そうにそう言う、ぺーやんに三ツ谷君は苦笑いをしていた。そして、小さな声で似合わねぇと呟いたのが聞こえてしまったらしく、ペーやんと揉めていた。
「泉さんは気になるのなんかあった?」
「いえ、特には…」
「やってみたいとかねーの?」
「うーん…、テニスとかどうでしょうか」
「似合わねぇ~」
またサラッと失礼な事を言ってくるぺーやんに三ツ谷君は脇腹をど突いていた。確かに、私にはテニスなんて爽やかなスポーツ似合わないのは自覚していますけども。自分とは真逆の物を言ってみただけです。
「でも、真顔で豪速球サーブ打ちそうじゃね?」
「パーちん、それもあんま女の子に向かって言うセリフじゃねぇって」
「オレは褒めてるけど」
苦笑いを浮かべた三ツ谷君は私の方を見て、「仮入部とか行ったらどう?」と聞いた。
今日から、1週間は仮入部期間で好きな部活の体験が出来る。でも、テニスと言ったのはキラキラしている女の子達が入部するイメージがあったから、少しだけ憧れがあっただけ。本気でテニスがやりたい訳じゃない。
「いえ、行く予定はないです」
「じゃあさ、一緒に手芸部の仮入部行こうよ」
「手芸部はちょっと…」
「何で?」
「裁縫は苦手です」
「泉にも苦手な事あんだな」
「苦手な事だらけですよ」
「その方が人間らしくていいじゃん」
彼はニッと笑った。常に両親には完璧でいなさいと言われて育ったから、初めてそんな風に言われて驚いてしまう。人と付き合う事が苦手だし、裁縫も出来ないなんて欠落している部分なのに良いなんて言ってくれる人がいるなんて思っていなかった。
「大丈夫、オレがちゃんと教えるからさ。行ってみようぜ」
「…ハイ、お願いします」
優しく笑ってくれる三ツ谷君の誘いを何となく断れなくなってしまった私は、ペコッと頭を下げてお願いしますなんて言ってしまった。
顔を上げると、三ツ谷くんは私の頭にポンっと手を乗せた。突然の事にぽかんとしていると、三ツ谷くんも不思議そうに私を見た。ペーやんとぱーちんがからかうように口笛を吹いた事に三ツ谷くんは自分の行動の意味を知り、慌てて「そう言うんじゃねーって!」と否定していた。私もそんな深い意味があるとは思ってはいないけど、頭に触れた手があまりにも優しくて暖かかったのが嬉しかった。今度は、無理にとかじゃなくて自然に口角がキュッと上がったような気がした。そんな私の顔を見て、三ツ谷君は一瞬驚いたような表情を見せた。
「お、いつもよりマシじゃん。能面からおかめ納豆に昇格だな」
ペーやんの一言で驚きの表情をしていた三ツ谷君もすぐに真顔に戻っていた。脳内におかめ納豆を浮かべてみるが、あまり喜べるような事じゃないような気もするがペーやんは満足気に頷いていた。これは、褒められているのだろうか…。
「おかめ納豆は初めて言われました」
「そっくりだったぜ」
「それは複雑です」
「能面より良くねぇ?なぁ、三ツ谷ぁ?パーちん?」
「おかめ納豆の方が美味そうだ」
「いや、そうじゃねぇだろ…」
パーちんは納豆という単語だけ拾ってしまったのだろうか。天然なのか食い意地が張っているだけなのか、いつも自分で公言している馬鹿なのか、果たしてどれが正解なのか。1人で考えていると、さっきまで黙っていた三ツ谷君が声をあげた。
「オレは可愛いと思ったよ」
「はい…?」
「さっきの笑った顔、オレは可愛いと思った」
その発言には私だけじゃなく、パーちんとペーやんも呆気にとられ、3人が間抜けな顔をしていた。そして、三ツ谷君はハッとして「ヤベェ、今のナシ!」と顔を右手で隠し、左の掌を突き出して慌てた様子だった。
三ツ谷君はおかめ納豆が可愛いと思うのか。好みは人それぞれだもんね。別におかしい事じゃないのになにをそんなに慌てているのだろうか。
「三ツ谷君ってストライクゾーンが広いんですね」
「は?」
「おかめ納豆が好みのタイプでも良いと思います。平安時代は美人と言われていましたし」
「いや、そういう意味じゃなくて」
「何も恥じらう事ありませんよ」
「…通じてねぇなぁ」
三ツ谷君がボソッと呟いた瞬間にペーやんとパーちんの笑い声が教室中に響いた。笑ったら失礼ですよと注意したら余計に笑われてしまう。
「泉はもう喋んな…!腹痛ぇ…」
呼吸がままならない程、笑い転げているペーやんとパーちんに三ツ谷君の怒声が飛んだのは言うまでもない。一発、頭を殴られて痛がっている2人に、人の趣味を笑ってはいけませんよ。と心の中で呟くのだった。