場地さん
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花が大好きな私は、園芸部に所属している。毎朝、育てているお花に水をあげるのが日課だ。
8:10までに登校しなければならない決まりなので、いつも7:30に学校へ来て、水をあげ、手入れをして、8:00に教室へ向かうのがルーティンだ。
そんなある日、いつもの様に学校に着くと何やら中庭が騒がしい。
なんだ…?こんな時間に人がいる事自体が珍しいのに複数の声が聞こえる。
何事だと中庭をソッと覗いて見ると4人の男子生徒が1人の男子生徒を囲んで喧嘩になっていた。
えぇ!?1対4とか最低!多勢に無勢は卑怯だよ!
どうにかしたいけど、私が出て行った所で逆にお荷物になるのは目に見えているし、どうしよう!?
あ、先生呼びに行く!?
1人でそんな事を考えながら、アワアワしているうちに1人、また、1人と地面に沈んでいくのが見えた。
え、あの人強いんじゃん。てか、隣のクラスの場地くんじゃん!そりゃ、強いか。だって、噂で聞くには暴走族で隊長だとかって言われてたはず。
本当に強いんだなぁ。だなんて感心していれば、最後の1人の頭を掴み、そのまま傍にあった花壇に男の顔面を埋め込んだ。
それを見た瞬間に私の中で何かがキレる音が聞こえた。場地くんの元に近寄り「ちょっと!」と声をかける。すると「あ?」と鋭い目付きでこちらを向く場地くん。その視線に一瞬怯むが、やはり文句を言わずにはいられなかったので、私も睨み返す。
「なんて事をしてくれるのよ!信じらんない!」
「なにが?」
「花壇よ!!」
花壇を指さしてそう言うと、チラッと私が指す指の先を見て「あぁ、綺麗な花が咲いたろ?」と悪い笑みを浮かべた。
「はぁ!?どこがキレイなのよ!こんな小汚い男を埋めるなんてありえない!」
「オマエ、さりげなくヒデェな」
「酷いのはアナタでしょ?まだ蕾でこれからって時なのに潰すなんて!」
「あぁ、悪かったよ」
「悪かったで済むわけないでしょ!?花にだって命があるんだから」
少しでも心配した私が馬鹿だったみたい。こんな男最低でしかないし、なんなら場地くんも埋まれば良かったのに。とすら思ってしまった。
「いつまでそこに突っ立ってんのよ。早くあっち行って」
「怖ぇ女」
そう呟きながら、その場を立ち去ろうとする場地くんの背中に向かって大きな声で言い返した。
「はぁ!?ちょっと待ちなさいよ!怖いってなによ!」
「あぁ?あっち行けっつったり、待てっつったり、忙しい女だな」
「一体誰のせいだと…」
「オレのせいじゃねーのは確かだな」
「場地くんのせいだよっ!」
そう言うと、場地くんは「へーへー、すみませんでしたぁ」と適当な返事をして私を残しその場から姿を消した。
すると、8:10のチャイムが中庭にも鳴り響いた。
「やっば!!最悪!」
大慌てで教室に走って向かうが、もちろん遅刻。
もう、これも全部場地くんのせいだっ!!
ぜっっったいに許さないんだから!
そう思いながら、担任の先生に遅刻した事でこっぴどく叱られるのだった。
***********************
次の日もいつもの様に7:30に学校へ向かった。
折れてしまった花に「ごめんね」と言ってから手入れをした。この子はキレイに咲けるかな。
「一緒に頑張ろうね」ともう一度花に語りかけると後ろから、ぶふっ。と吹き出すような声が聞こえた。その声に振り返ってみると、そこには……
「げっ。場地圭介…」
「お、オレのフルネーム知ってんのか?オマエ」
「まぁ、あれだけ悪目立ちしてたら、嫌でも知ってますけど」
「そういうもんかぁ?」
「てか、何しにここへ?」
「ほらよ」
そう言いながら、て場地くんは手に持っていたデッカイ袋を私に手渡した。
「何これ?」
「昨日、アレだけ怒ってたから弁償してやろうと思ってよぉ」
へぇ、いいとこあるじゃない。ちょっとだけ見直したかも…。そう思って袋の中を覗いてみる。
んん!?なんだこれ!?
「ちょっと!これ盆栽じゃん!」
「どれも一緒だろ?」
「ンなわけないでしょーが!」
「オマエ、休日にチマチマやってそうじゃねーか、盆栽」
ニヤニヤしながら、そう言う場地くん。この顔は絶対にわざとだな…?前言撤回。全っ然良い奴じゃない!!
「もう絶対に許さない!!」
「じゃあ、どうしたらいーんだよ、オレは」
「そうねぇ。では、このお花が元気になるまで毎朝水やりして下さい」
「やだ。めんどくせぇ」
「じゃあ、許しません」
そう言うと、場地くんは盛大に舌打ちをして「わーったよ!」と言った。
意外とすんなりと承諾した事に少し驚いたが、毎日来る訳ない事は分かっている。1日来たら良い方か。そう思っていた。
しかし、場地くんは毎朝ずっと7:30に中庭に来て私と一緒にお花に水やりをしている。この一週間皆勤賞だ。なんだ?この人。「花なんて知らねぇ」とか言いそうなのに。不思議な人だなぁ。
「おい、まだ元気になんねぇの?この花」
「んー、もう少しじゃないかなぁ」
「つーか、この花なんつーの?」
「ポピーだよ」
「ふぅん、知らねーや」
「あっそう」
まぁ、知ってるとは思ってませんでしたけど。
「あ、そうだ!これ今日から使って」
「なんだぁ?これ」
「ぞうさんジョーロ」
青色のぞうさんジョーロを手渡すと心底嫌そうな顔をした。
「1つしかないから、私がこのピンクのぞうさんジョーロ使ってる間は場地くん水やり出来ないでしょ」
「だからって、ぞうさんはねーわ」
「私、お気に入りなんだもん。このぞうさん」
「あぁ、オマエにそっくりだからか?このアホ面とか激似だもんな」
そう言って、ケタケタ笑う場地くんの腕を思いっきり引っぱたいてやった。すると「痛てぇな」と睨んできたが、そんな事知らない。
「本当に場地くんって最低だよね!?」
私がそう言うと、声を上げて笑った。
本当にこの人は意味わからない人だわ。
でも、口では「ねーわ」とか言いつつも私の手からぞうさんジョーロを受け取り水やりを始めた。最初から素直にそうやってやればいいのに。いちいち、一言余計なんだよね、場地くんは。
2人で1週間水やりをして、少しだけポピーの蕾は回復して来ているように思えた。
そして、週が明けて月曜日の朝、中庭に来て水やりをしていると、足音が聞こえたので、場地くんかな?と思って振り向くと、そこにはこの間場地くんに顔面を埋め込まれた男だった。
「今日は場地はいねぇの?」
「いないですけど」
「あの場地が毎日花に水やりをしてるって聞いたからよ」
「そうですか。生憎今日はいませんので」
そう答えて、また花に水やりを再開すると今度はその男は私の持っていたジョーロを奪って投げ飛ばした。
「……何するんですか?」
「これが場地が大事にしてる花か?」
「別に大事にはしてないと思いますけど」
「こんなチンケな花なんて踏み潰してやるよ」
男はニヤッと気持ちの悪い笑みを浮かべ、花壇に近付いた。
「ちょ、やめてくださいよ!花は関係ないでしょ!?」
折角、回復して花を咲かせようとしているのにまた踏み潰されるなんてそんな事させない…!
必死に男の前に立ち、花を庇おうとすると「邪魔だ」と言って肩を思いっきり突き飛ばされた。
そのまま後ろに転びそうになり、そのうち来るであろう衝撃に備え、目をぎゅっと瞑って奥歯を噛み締めた。しかし、衝撃は来ず、フワリと肩を抱かれた気がしたので目を恐る恐る開けてみると、後ろには私を支えてくれている場地くんの姿があった。
「場地くん、なんで?」
「ちょっと、寝坊しちまったらよぉ、こんな事になってっから驚いたわ」
「やっと来たか、場地。この間のお返しだ」
男は場地くんに殴り掛かろうとして来たので、場地くんは「下がってろ」と私を背中に隠してから向かってきた男の顎を蹴り上げた。後ろに2、3歩よろめいた男の腹にもう1発蹴りを入れて倒した。
「すっごい…」
圧倒的な強さに思わず本音が零れてしまった。
場地くんはグルンとこちらを向いて「無事か?」と聞いてきた。
「あぁ、うん。花壇には入られてないから大丈夫だと思うけど…」
「花じゃなくて、オマエだよ」
「あ、私?私は大丈夫。場地くん、ありがとう」
「別に」
「花も無事なハズだよ」
場地くんと2人で花の方を見ると、昨日まで折れていたポピーの花が綺麗に上を向いているのが見えた。
「「あ、咲いた」」
そして、私たちの声が重なった。
8:10までに登校しなければならない決まりなので、いつも7:30に学校へ来て、水をあげ、手入れをして、8:00に教室へ向かうのがルーティンだ。
そんなある日、いつもの様に学校に着くと何やら中庭が騒がしい。
なんだ…?こんな時間に人がいる事自体が珍しいのに複数の声が聞こえる。
何事だと中庭をソッと覗いて見ると4人の男子生徒が1人の男子生徒を囲んで喧嘩になっていた。
えぇ!?1対4とか最低!多勢に無勢は卑怯だよ!
どうにかしたいけど、私が出て行った所で逆にお荷物になるのは目に見えているし、どうしよう!?
あ、先生呼びに行く!?
1人でそんな事を考えながら、アワアワしているうちに1人、また、1人と地面に沈んでいくのが見えた。
え、あの人強いんじゃん。てか、隣のクラスの場地くんじゃん!そりゃ、強いか。だって、噂で聞くには暴走族で隊長だとかって言われてたはず。
本当に強いんだなぁ。だなんて感心していれば、最後の1人の頭を掴み、そのまま傍にあった花壇に男の顔面を埋め込んだ。
それを見た瞬間に私の中で何かがキレる音が聞こえた。場地くんの元に近寄り「ちょっと!」と声をかける。すると「あ?」と鋭い目付きでこちらを向く場地くん。その視線に一瞬怯むが、やはり文句を言わずにはいられなかったので、私も睨み返す。
「なんて事をしてくれるのよ!信じらんない!」
「なにが?」
「花壇よ!!」
花壇を指さしてそう言うと、チラッと私が指す指の先を見て「あぁ、綺麗な花が咲いたろ?」と悪い笑みを浮かべた。
「はぁ!?どこがキレイなのよ!こんな小汚い男を埋めるなんてありえない!」
「オマエ、さりげなくヒデェな」
「酷いのはアナタでしょ?まだ蕾でこれからって時なのに潰すなんて!」
「あぁ、悪かったよ」
「悪かったで済むわけないでしょ!?花にだって命があるんだから」
少しでも心配した私が馬鹿だったみたい。こんな男最低でしかないし、なんなら場地くんも埋まれば良かったのに。とすら思ってしまった。
「いつまでそこに突っ立ってんのよ。早くあっち行って」
「怖ぇ女」
そう呟きながら、その場を立ち去ろうとする場地くんの背中に向かって大きな声で言い返した。
「はぁ!?ちょっと待ちなさいよ!怖いってなによ!」
「あぁ?あっち行けっつったり、待てっつったり、忙しい女だな」
「一体誰のせいだと…」
「オレのせいじゃねーのは確かだな」
「場地くんのせいだよっ!」
そう言うと、場地くんは「へーへー、すみませんでしたぁ」と適当な返事をして私を残しその場から姿を消した。
すると、8:10のチャイムが中庭にも鳴り響いた。
「やっば!!最悪!」
大慌てで教室に走って向かうが、もちろん遅刻。
もう、これも全部場地くんのせいだっ!!
ぜっっったいに許さないんだから!
そう思いながら、担任の先生に遅刻した事でこっぴどく叱られるのだった。
***********************
次の日もいつもの様に7:30に学校へ向かった。
折れてしまった花に「ごめんね」と言ってから手入れをした。この子はキレイに咲けるかな。
「一緒に頑張ろうね」ともう一度花に語りかけると後ろから、ぶふっ。と吹き出すような声が聞こえた。その声に振り返ってみると、そこには……
「げっ。場地圭介…」
「お、オレのフルネーム知ってんのか?オマエ」
「まぁ、あれだけ悪目立ちしてたら、嫌でも知ってますけど」
「そういうもんかぁ?」
「てか、何しにここへ?」
「ほらよ」
そう言いながら、て場地くんは手に持っていたデッカイ袋を私に手渡した。
「何これ?」
「昨日、アレだけ怒ってたから弁償してやろうと思ってよぉ」
へぇ、いいとこあるじゃない。ちょっとだけ見直したかも…。そう思って袋の中を覗いてみる。
んん!?なんだこれ!?
「ちょっと!これ盆栽じゃん!」
「どれも一緒だろ?」
「ンなわけないでしょーが!」
「オマエ、休日にチマチマやってそうじゃねーか、盆栽」
ニヤニヤしながら、そう言う場地くん。この顔は絶対にわざとだな…?前言撤回。全っ然良い奴じゃない!!
「もう絶対に許さない!!」
「じゃあ、どうしたらいーんだよ、オレは」
「そうねぇ。では、このお花が元気になるまで毎朝水やりして下さい」
「やだ。めんどくせぇ」
「じゃあ、許しません」
そう言うと、場地くんは盛大に舌打ちをして「わーったよ!」と言った。
意外とすんなりと承諾した事に少し驚いたが、毎日来る訳ない事は分かっている。1日来たら良い方か。そう思っていた。
しかし、場地くんは毎朝ずっと7:30に中庭に来て私と一緒にお花に水やりをしている。この一週間皆勤賞だ。なんだ?この人。「花なんて知らねぇ」とか言いそうなのに。不思議な人だなぁ。
「おい、まだ元気になんねぇの?この花」
「んー、もう少しじゃないかなぁ」
「つーか、この花なんつーの?」
「ポピーだよ」
「ふぅん、知らねーや」
「あっそう」
まぁ、知ってるとは思ってませんでしたけど。
「あ、そうだ!これ今日から使って」
「なんだぁ?これ」
「ぞうさんジョーロ」
青色のぞうさんジョーロを手渡すと心底嫌そうな顔をした。
「1つしかないから、私がこのピンクのぞうさんジョーロ使ってる間は場地くん水やり出来ないでしょ」
「だからって、ぞうさんはねーわ」
「私、お気に入りなんだもん。このぞうさん」
「あぁ、オマエにそっくりだからか?このアホ面とか激似だもんな」
そう言って、ケタケタ笑う場地くんの腕を思いっきり引っぱたいてやった。すると「痛てぇな」と睨んできたが、そんな事知らない。
「本当に場地くんって最低だよね!?」
私がそう言うと、声を上げて笑った。
本当にこの人は意味わからない人だわ。
でも、口では「ねーわ」とか言いつつも私の手からぞうさんジョーロを受け取り水やりを始めた。最初から素直にそうやってやればいいのに。いちいち、一言余計なんだよね、場地くんは。
2人で1週間水やりをして、少しだけポピーの蕾は回復して来ているように思えた。
そして、週が明けて月曜日の朝、中庭に来て水やりをしていると、足音が聞こえたので、場地くんかな?と思って振り向くと、そこにはこの間場地くんに顔面を埋め込まれた男だった。
「今日は場地はいねぇの?」
「いないですけど」
「あの場地が毎日花に水やりをしてるって聞いたからよ」
「そうですか。生憎今日はいませんので」
そう答えて、また花に水やりを再開すると今度はその男は私の持っていたジョーロを奪って投げ飛ばした。
「……何するんですか?」
「これが場地が大事にしてる花か?」
「別に大事にはしてないと思いますけど」
「こんなチンケな花なんて踏み潰してやるよ」
男はニヤッと気持ちの悪い笑みを浮かべ、花壇に近付いた。
「ちょ、やめてくださいよ!花は関係ないでしょ!?」
折角、回復して花を咲かせようとしているのにまた踏み潰されるなんてそんな事させない…!
必死に男の前に立ち、花を庇おうとすると「邪魔だ」と言って肩を思いっきり突き飛ばされた。
そのまま後ろに転びそうになり、そのうち来るであろう衝撃に備え、目をぎゅっと瞑って奥歯を噛み締めた。しかし、衝撃は来ず、フワリと肩を抱かれた気がしたので目を恐る恐る開けてみると、後ろには私を支えてくれている場地くんの姿があった。
「場地くん、なんで?」
「ちょっと、寝坊しちまったらよぉ、こんな事になってっから驚いたわ」
「やっと来たか、場地。この間のお返しだ」
男は場地くんに殴り掛かろうとして来たので、場地くんは「下がってろ」と私を背中に隠してから向かってきた男の顎を蹴り上げた。後ろに2、3歩よろめいた男の腹にもう1発蹴りを入れて倒した。
「すっごい…」
圧倒的な強さに思わず本音が零れてしまった。
場地くんはグルンとこちらを向いて「無事か?」と聞いてきた。
「あぁ、うん。花壇には入られてないから大丈夫だと思うけど…」
「花じゃなくて、オマエだよ」
「あ、私?私は大丈夫。場地くん、ありがとう」
「別に」
「花も無事なハズだよ」
場地くんと2人で花の方を見ると、昨日まで折れていたポピーの花が綺麗に上を向いているのが見えた。
「「あ、咲いた」」
そして、私たちの声が重なった。
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