恋時雨
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松野くんの家庭教師をやる羽目になってしまった私。何故私なのだろう。と思いながら、松野くんと一緒に帰路についている。
「ねぇ、勉強ってどこでやるの?学校は嫌だよ。平凡ライフなくなるから」
「めんどくせぇな。その平凡ライフっての」
「大事なの!図書館は松野くんがうるさくしそうだから無理でしょ?そうなると、松野くんのお家とか?」
「オレん家に教科書あると思ってんのか?」
「…どこにあるの教科書」
「さぁ?」
「やる気ないでしょ」
「やる気はある」
この会話もバカ丸出しでため息しか出ない。教科書が何処にあるかすら分からないって絶望的。まず、土俵にすら立っていない。なんなの、この人は。
「平野ん家は?」
「私の家は遠いよ?」
「どこにあんの?」
「私の家は神奈川の藤沢」
「はぁ!?県外に住んでんのに何でわざわざ渋谷の学校に来てんだよ」
「誰も私を知らない所で一からやり直したかった」
「…ふーん。別に遠くてもオレはいーけど」
「往復約二時間、約二千円かかりますけど?」
「…別にいーけど!!」
あ、ちょっと嫌だなって思ったな。顔が引き攣った。本当に顔に出やすいなと思い、少し笑ってしまった。笑われた事がムカついたのか、若干イラついた表情で見て来た。コロコロと表情が変わる彼がなんだか可愛く見えてしまった。
「じゃあ、2週間に1回、家でやろう」
「え、月2でオレの留年回避出来んの?」
「それ以外はちゃんと自分の家でやってよ」
「はぁ?教科書ねぇのにどうやってやれってんだよ」
「私が問題集作ってあげる。まぁその前に松野くんの場合、分からない所を見つける所から始める段階な気がするから、コレ貸してあげるから家で分からない所絞ってきて」
カバンの中に入っていた自分の教科書を松野くんに押し付けると、受け取って中身をペラペラと捲った瞬間に顔を歪めた。
「全部分かんねぇと思う」
「理解する努力はして来てよね!明後日の日曜までの課題ね」
「めんどくせぇ。明日は相棒とひとっ走りする約束あんだよ」
「相棒だかなんだか知らないけど、私に勉強教えてって頼んで来たのは松野くんだからね?私の言う事は聞いてもらうから」
「…ウッス」
嫌そうな顔しながらも一応、返事はしてくれたので、数学と英語の教科書を松野くんに押し付けた。
そして、渋谷駅に着いたので、日曜日に連絡取る為にメールアドレスをお互いに交換した。
「松野くん何線?私、湘南新宿ラインだからあっちなんだ」
「いや、オレは渋谷住みだから電車乗んねーよ?」
「は?じゃあ、なんで駅来たの?」
「バーカ。いくら人通り多いって言ったって、もう薄暗ぇんだぞ。女一人で帰すかよ」
「え…じゃあ、送ってくれたの?」
「ンだよ、その顔」
「いや、だって、ねぇ?」
「はぁ?なんだよ?まぁ、いーや。向こう着く頃には真っ暗だろうから気ぃ付けて帰れよ」
「うん。ありがとう」
「おう」
松野くんは踵を返し、今来た道を戻って行った。
その後ろ姿を呆然と眺めていると、もうすぐ電車が来る時間になる事に気付き、慌てて改札を通った。
*************
無事に家に着き、制服から部屋着に着替えてから、自室のベッドへダイブした。今日あった事を色々思い返す。ポケットの中からケータイを取り出して、電話帳を開いてみる。ま行に新たに追加された松野 千冬の文字をジッと見つめた。
なんか、不思議な人。不良なのに誰よりも優しいなんて。今の不良ってみんな心優しいのかな。それとも、彼だけなのだろうか。
そう思っていると、メールが届いた事を知らせる着信音が鳴り響いた。メールボックスを見てみると、そこには松野 千冬の文字。慌てて、開いてみると、"無事家着いたか"と絵文字も何も使われていない、質素な文。思わず笑みが溢れる。句読点や疑問符くらい使いなよと思いながらも、松野くんらしいかもと思ってしまう。
"着いたよ。ありがとう"と私も質素な文で返してみると、すぐ様返信が来た。今度は、親指を立てた手の絵文字だけが送られて来た。それには、声に出して笑ってしまった。
「なんで、グッドポーズなの」
思わず一人で呟いてしまった自分にも何だか笑えてきてしまう。理由は分からないけど、そのメールを保護してしまった。別に大事な内容でもないのに、なんでだろうと思うけど、何故か消えて欲しくないって思ってしまったんだ。
「松野 千冬…か。変な人!」
ケータイをそっと閉じて、松野くん用の問題集を作ろうと勉強机に向かった。
「ねぇ、勉強ってどこでやるの?学校は嫌だよ。平凡ライフなくなるから」
「めんどくせぇな。その平凡ライフっての」
「大事なの!図書館は松野くんがうるさくしそうだから無理でしょ?そうなると、松野くんのお家とか?」
「オレん家に教科書あると思ってんのか?」
「…どこにあるの教科書」
「さぁ?」
「やる気ないでしょ」
「やる気はある」
この会話もバカ丸出しでため息しか出ない。教科書が何処にあるかすら分からないって絶望的。まず、土俵にすら立っていない。なんなの、この人は。
「平野ん家は?」
「私の家は遠いよ?」
「どこにあんの?」
「私の家は神奈川の藤沢」
「はぁ!?県外に住んでんのに何でわざわざ渋谷の学校に来てんだよ」
「誰も私を知らない所で一からやり直したかった」
「…ふーん。別に遠くてもオレはいーけど」
「往復約二時間、約二千円かかりますけど?」
「…別にいーけど!!」
あ、ちょっと嫌だなって思ったな。顔が引き攣った。本当に顔に出やすいなと思い、少し笑ってしまった。笑われた事がムカついたのか、若干イラついた表情で見て来た。コロコロと表情が変わる彼がなんだか可愛く見えてしまった。
「じゃあ、2週間に1回、家でやろう」
「え、月2でオレの留年回避出来んの?」
「それ以外はちゃんと自分の家でやってよ」
「はぁ?教科書ねぇのにどうやってやれってんだよ」
「私が問題集作ってあげる。まぁその前に松野くんの場合、分からない所を見つける所から始める段階な気がするから、コレ貸してあげるから家で分からない所絞ってきて」
カバンの中に入っていた自分の教科書を松野くんに押し付けると、受け取って中身をペラペラと捲った瞬間に顔を歪めた。
「全部分かんねぇと思う」
「理解する努力はして来てよね!明後日の日曜までの課題ね」
「めんどくせぇ。明日は相棒とひとっ走りする約束あんだよ」
「相棒だかなんだか知らないけど、私に勉強教えてって頼んで来たのは松野くんだからね?私の言う事は聞いてもらうから」
「…ウッス」
嫌そうな顔しながらも一応、返事はしてくれたので、数学と英語の教科書を松野くんに押し付けた。
そして、渋谷駅に着いたので、日曜日に連絡取る為にメールアドレスをお互いに交換した。
「松野くん何線?私、湘南新宿ラインだからあっちなんだ」
「いや、オレは渋谷住みだから電車乗んねーよ?」
「は?じゃあ、なんで駅来たの?」
「バーカ。いくら人通り多いって言ったって、もう薄暗ぇんだぞ。女一人で帰すかよ」
「え…じゃあ、送ってくれたの?」
「ンだよ、その顔」
「いや、だって、ねぇ?」
「はぁ?なんだよ?まぁ、いーや。向こう着く頃には真っ暗だろうから気ぃ付けて帰れよ」
「うん。ありがとう」
「おう」
松野くんは踵を返し、今来た道を戻って行った。
その後ろ姿を呆然と眺めていると、もうすぐ電車が来る時間になる事に気付き、慌てて改札を通った。
*************
無事に家に着き、制服から部屋着に着替えてから、自室のベッドへダイブした。今日あった事を色々思い返す。ポケットの中からケータイを取り出して、電話帳を開いてみる。ま行に新たに追加された松野 千冬の文字をジッと見つめた。
なんか、不思議な人。不良なのに誰よりも優しいなんて。今の不良ってみんな心優しいのかな。それとも、彼だけなのだろうか。
そう思っていると、メールが届いた事を知らせる着信音が鳴り響いた。メールボックスを見てみると、そこには松野 千冬の文字。慌てて、開いてみると、"無事家着いたか"と絵文字も何も使われていない、質素な文。思わず笑みが溢れる。句読点や疑問符くらい使いなよと思いながらも、松野くんらしいかもと思ってしまう。
"着いたよ。ありがとう"と私も質素な文で返してみると、すぐ様返信が来た。今度は、親指を立てた手の絵文字だけが送られて来た。それには、声に出して笑ってしまった。
「なんで、グッドポーズなの」
思わず一人で呟いてしまった自分にも何だか笑えてきてしまう。理由は分からないけど、そのメールを保護してしまった。別に大事な内容でもないのに、なんでだろうと思うけど、何故か消えて欲しくないって思ってしまったんだ。
「松野 千冬…か。変な人!」
ケータイをそっと閉じて、松野くん用の問題集を作ろうと勉強机に向かった。