恋時雨
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自分の事を誰も知らない土地で一からやり直したいと思って、ここに来た。ここに来て、彼と出会って強くなりたいって思えた。小さな事からでも良いから、自分が出来る事を少しずつ始めていこうと思った。
「松野くん、おはよう」
「…え?お、おう?」
驚いた顔をして見せた松野くん。昨日はあの後、私は4限目の授業はちゃんと戻り、松野くんはそのまま屋上に残った。教室に戻れば、クラスメイトからは大丈夫だったのかと心配の嵐だったが、何も無かったと宥めて、その日はいつも通りに放課後まで過ごした。松野くんは1回も教室に戻ってこなかったが。そして、今日だ。いきなり、教室で私が挨拶をするものだから、驚いているのだろう。なんたって、この前までは教室では絶対に話し掛けるなと言っていた私が自分から、皆のいる教室で挨拶をしたからだ。
「そんなびっくりした顔しないでよ」
「教室で話し掛けるなって言ってたじゃん」
「松野くんは友達だもん。挨拶くらいするでしょう?」
そう問いかければ、ポカンと口を開けた後に深い溜息をついた。
「友達って…オマエ、完全にオレの告白無かった事にしてんだろ?」
「松野くんの言う好きって、場地さんを好きってのと同じだと思うの」
「は?場地さんとオマエを一緒にすんじゃねーよ」
「仮にも好きって言った癖にその言い草…」
「場地さんはな、「カッケェでしょ?」…おう」
彼が言おうとしている事が分かったので、言葉を被せて先に言ってみれば、本当に当たったようだ。
松野くんは嬉しそうに「平野は本当に分かるやつだな~」と笑った。場地さんの事を褒めると自分の事のように喜んでいる彼は、超絶場地さん至上主義なのだろう。
「場地さんは憧れで、平野は別。オレ、オマエに憧れてねぇもん」
「うわ、直球で失礼な男」
「場地さんに対しては、付いて行きたいって思うけど、オマエは何だろうな…。あ、平野は隣が良いな」
「…隣にいますけど?」
「今の位置の話してんじゃねぇよ!バッカじゃねぇの!?」
大きな瞳を鋭くさせ、私を睨んでくる松野くん。でも、全然怖くなんてなくって、むしろ、笑ってしまう。クスクスと笑っていれば、舌打ちが聞こえて来た。松野くんは「チョーシに乗んな!」と私の右頬を掴んで横に引っ張った。そして、私の顔を見て、プッと吹き出してケラケラと笑い始めた。何を笑っているのだろうと不思議に思っていれば、もう片方の頬も横に伸ばして、更に笑った。
「カレーパンマンみてぇ」
「はぁ?最低!普通に最っ低!」
「え?可愛くね?カレーパンマン」
「口からカレー噴き出すアイツのどこが良いのよ!嬉しくない!」
「オマエ…子供に謝れよ。好きな奴だっているんだぞ」
「知らないっ!」
プイッと顔を背け、横を向いていた体を前に向けて「松野くんを好きになるのは100%ないわ」と言えば、焦ったような声が聞こえてきた。「マジ?」と言っている彼が面白くて、笑いを堪える。
笑いを堪えているせいでプルプルと震えてしまい、それが怒っているように見えたのか、恐る恐る、怒ってんのか…?と私の様子を伺ってきた。
松野くんの方へ顔を向け、舌をベッと出して「嘘」と言えば、目に見えて肩の力を抜いて安心していた。そんな、松野くんを見て笑うと彼も同じように笑った。
「そう言えば、昨日言おうと思ったんだけどさ、来月のテストで留年回避したら、どっか行かねぇ?」
「どこかって?」
「んー、平野の行きたいとこ」
「え、何で?留年回避のお祝いでしょ?」
「違ぇよ。勉強教えて貰った礼だよ」
「あ、そっち?」
「自分でお祝いしようぜなんて言わねぇよ」
「それもそっか…」
「オマエ、本当にアホ」
ため息をつきながらそう言う彼に「アホにアホって言われたくない」と言い返そうとしたが、グッと言葉を飲み込んだ。
「でも、お礼なんかしなくて良いよ?気にしないで」
「嫌だ」
「何で?そんな大したことしてないし」
嫌だ、どうして?のやり取りを数回繰り返した後に、松野くんは言いずらそうに口を開いた。
「そんなん、口実に決まってんだろ。気付け、バーカ」
口元を掌で覆っているが、頬が赤く染まっているのが見えて、照れている事がわかった。言葉を発する事が出来なくて、ただただ松野くんを見ていれば、視線だけを私に寄越し、私の顔を見た瞬間に目を見開いた。
「オマエまで顔赤くしてんじゃねーよ」
「いや、だって…。そんな恥ずかしい事よく言えるよね…」
「そっちで赤くしてんのかよっ!?」
「むず痒くなっちゃった」
2人して真っ赤になっているなんて、変なの。
何だこれ、こんな感覚知らない。胸の奥がむず痒くて、妙に落ち着かなくて、でも、ほわほわする。
「で?行ってくれんの?」
「…行く」
何かを考える前に、咄嗟にそう口にしてしまっていた。
「松野くん、おはよう」
「…え?お、おう?」
驚いた顔をして見せた松野くん。昨日はあの後、私は4限目の授業はちゃんと戻り、松野くんはそのまま屋上に残った。教室に戻れば、クラスメイトからは大丈夫だったのかと心配の嵐だったが、何も無かったと宥めて、その日はいつも通りに放課後まで過ごした。松野くんは1回も教室に戻ってこなかったが。そして、今日だ。いきなり、教室で私が挨拶をするものだから、驚いているのだろう。なんたって、この前までは教室では絶対に話し掛けるなと言っていた私が自分から、皆のいる教室で挨拶をしたからだ。
「そんなびっくりした顔しないでよ」
「教室で話し掛けるなって言ってたじゃん」
「松野くんは友達だもん。挨拶くらいするでしょう?」
そう問いかければ、ポカンと口を開けた後に深い溜息をついた。
「友達って…オマエ、完全にオレの告白無かった事にしてんだろ?」
「松野くんの言う好きって、場地さんを好きってのと同じだと思うの」
「は?場地さんとオマエを一緒にすんじゃねーよ」
「仮にも好きって言った癖にその言い草…」
「場地さんはな、「カッケェでしょ?」…おう」
彼が言おうとしている事が分かったので、言葉を被せて先に言ってみれば、本当に当たったようだ。
松野くんは嬉しそうに「平野は本当に分かるやつだな~」と笑った。場地さんの事を褒めると自分の事のように喜んでいる彼は、超絶場地さん至上主義なのだろう。
「場地さんは憧れで、平野は別。オレ、オマエに憧れてねぇもん」
「うわ、直球で失礼な男」
「場地さんに対しては、付いて行きたいって思うけど、オマエは何だろうな…。あ、平野は隣が良いな」
「…隣にいますけど?」
「今の位置の話してんじゃねぇよ!バッカじゃねぇの!?」
大きな瞳を鋭くさせ、私を睨んでくる松野くん。でも、全然怖くなんてなくって、むしろ、笑ってしまう。クスクスと笑っていれば、舌打ちが聞こえて来た。松野くんは「チョーシに乗んな!」と私の右頬を掴んで横に引っ張った。そして、私の顔を見て、プッと吹き出してケラケラと笑い始めた。何を笑っているのだろうと不思議に思っていれば、もう片方の頬も横に伸ばして、更に笑った。
「カレーパンマンみてぇ」
「はぁ?最低!普通に最っ低!」
「え?可愛くね?カレーパンマン」
「口からカレー噴き出すアイツのどこが良いのよ!嬉しくない!」
「オマエ…子供に謝れよ。好きな奴だっているんだぞ」
「知らないっ!」
プイッと顔を背け、横を向いていた体を前に向けて「松野くんを好きになるのは100%ないわ」と言えば、焦ったような声が聞こえてきた。「マジ?」と言っている彼が面白くて、笑いを堪える。
笑いを堪えているせいでプルプルと震えてしまい、それが怒っているように見えたのか、恐る恐る、怒ってんのか…?と私の様子を伺ってきた。
松野くんの方へ顔を向け、舌をベッと出して「嘘」と言えば、目に見えて肩の力を抜いて安心していた。そんな、松野くんを見て笑うと彼も同じように笑った。
「そう言えば、昨日言おうと思ったんだけどさ、来月のテストで留年回避したら、どっか行かねぇ?」
「どこかって?」
「んー、平野の行きたいとこ」
「え、何で?留年回避のお祝いでしょ?」
「違ぇよ。勉強教えて貰った礼だよ」
「あ、そっち?」
「自分でお祝いしようぜなんて言わねぇよ」
「それもそっか…」
「オマエ、本当にアホ」
ため息をつきながらそう言う彼に「アホにアホって言われたくない」と言い返そうとしたが、グッと言葉を飲み込んだ。
「でも、お礼なんかしなくて良いよ?気にしないで」
「嫌だ」
「何で?そんな大したことしてないし」
嫌だ、どうして?のやり取りを数回繰り返した後に、松野くんは言いずらそうに口を開いた。
「そんなん、口実に決まってんだろ。気付け、バーカ」
口元を掌で覆っているが、頬が赤く染まっているのが見えて、照れている事がわかった。言葉を発する事が出来なくて、ただただ松野くんを見ていれば、視線だけを私に寄越し、私の顔を見た瞬間に目を見開いた。
「オマエまで顔赤くしてんじゃねーよ」
「いや、だって…。そんな恥ずかしい事よく言えるよね…」
「そっちで赤くしてんのかよっ!?」
「むず痒くなっちゃった」
2人して真っ赤になっているなんて、変なの。
何だこれ、こんな感覚知らない。胸の奥がむず痒くて、妙に落ち着かなくて、でも、ほわほわする。
「で?行ってくれんの?」
「…行く」
何かを考える前に、咄嗟にそう口にしてしまっていた。