純愛センセーション
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今日は、8/3。そう、武蔵祭り当日だ。
約束の時間は夕方五時から。時間はまだまだあるので、慣れないメイクも念入りにして頑張ってみた。鏡を見てみれば、見慣れない自分の顔が映っていて少し違和感。
可愛くなったのかも失敗したのかも全く分からず、五つ上のお姉ちゃんに「メイクどう?」と違和感まみれの顔を見せに行けば、大爆笑をされてしまった。
「アンタ、似合ってない」とバッサリと切り捨てられ、メイク落としシートで時間をかけて施したメイクをいとも簡単に拭き取られてしまった。
「なに、いきなりそんな色気づいて」
「お祭り行くの。好きな人と」
お姉ちゃんは、いい事聞いたと嬉しそうに笑って「私に任せなさい!」と、自身のメイクポーチを部屋から持って来て慣れた手つきでメイクをしてくれた。
完成した顔を鏡で見てみれば、先程とはうってかわり、綺麗になった自分の顔が映っていた。
「凄い!さっきと全然違う!」
「あんな顔で行ったら、アウトだったよ。浴衣にも似合うようにメイクしたからバッチリよ」
「お姉ちゃん、ありがとう〜!」
嬉しくてお姉ちゃんに抱きつくと「暑い!」と引き剥がされてしまった。
チラッと時計を見てみれば、なんと既に3時を回っていた。こんなのんびりしている場合ではない。着付けもして、髪の毛もセットして、4時半には家を出なければ間に合わない。そう考えると時間が余りない。
最善の状態でお祭りに行きたいし、三ツ谷に可愛いと思ってもらいたいし、一番綺麗な私の時に告白もしたい。お姉ちゃんに手伝ってと泣き付いて、着付けもヘアアレンジも手伝って貰った。
浴衣は、紺地でアサガオの柄の落ち着いた雰囲気のを選んだ。三ツ谷が大人っぽいから、少しでも隣に並んで歩いていても恥ずかしくないような女の人になりたくて、少し背伸びをしてみた。浴衣と一緒に購入したダリアの髪飾りをアップにした髪に飾って完成した。
全身鏡でクルっと回って変な所がないかを念入りにチェックをして、お姉ちゃんにも見て貰って大丈夫な事を確認した。
ちょっと今日の自分は大人っぽいと自負出来るくらいの完成度で、これなら、三ツ谷と並んでても兄妹なんて言われる事はないかもしれないと、自信にも繋がった。
時計を再度確認すると、もう出る時間の4時半だった。巾着を掴んで、慌てて玄関に向かい、下駄を足に引っ掛けて外に飛び出した。
集合場所の武蔵神社には三十分もかからず着くので、浴衣が崩れないようにゆっくりと歩いて行ける時間に出られてホッと安堵のため息をついた。
*
集合場所に着くと、既に三ツ谷が来ていたので、小走りで彼の元に駆け寄った。
「ごめん!待たせちゃって」
「オレも今、来たところだよ」
そう言ってくれた三ツ谷を見れば、約束通り浴衣を着ていて膝から崩れ落ちそうになってしまった。三ツ谷は無地の紺色の浴衣を着こなしていて、制服とはまた違った印象で想像以上にカッコよかった。
心の中で、かっこよ過ぎませんか!?と何度も何度も繰り返し暴れていると、三ツ谷は私の顔を見て、フッと口元を緩めた。
「浴衣似合うじゃん」
キュン、そう胸が鳴った。
三ツ谷は、ズルい。いつもズルい男だけれど、今日は更にずるい。浴衣という、相乗効果も掛け合わされて、もう心臓が意味が分からないくらいにドクドクと暴れていた。
「三ツ谷も似合ってるよ!凄くカッコイイ」
「ははっ。ありがとう。てか、二人とも紺だし、お揃いみたいだな」
「あ、ほんとだ」
勇気を振り絞ってカッコイイと言ってみても、サラッとまたその上の言葉を返されてしまう。
二人で合わせた訳でもない、紺色の浴衣が急にお揃いのように見えてきて、恥ずかしさが湧き上がって来た。
「いいな、浴衣って。いつもの名前じゃねぇみたい」
「そ、そう?」
「あぁ。すっげぇ、綺麗」
「えっ…?」
一気に顔に熱が集中して顔が熱くなってきた。
心臓が本当に壊れてしまうんじゃないかと思うくらいに鳴っていて、自分の心臓の音で周りの人の声なんて聞こえないくらいだった。
三ツ谷を目の前にしたら、急に告白なんて出来る気がしなくなって来てしまった。
「お待たせしました」
「悪ぃ、遅れた」
後ろから、そんな声が聞こえ、振り返るとぺーやんと安田さんが立っていた。
「お?名前と三ツ谷、浴衣着てんの?」
「あぁ、名前が着るって言ってたからさ」
「へぇ。オマエら似合うな」
「部長、凄く似合ってます!」
「安田さん、ありがとう」
全員が揃った所で、花火が始まるまで、屋台を回ることになり、四人で歩き始めた。
だが、肝心の三ツ谷の隣には安田さんが常に居て、隣をキープしているものだから、私は三ツ谷に近づけない。
仲良く歩く二人を後ろから黙ってついて行くだけ。
「三ツ谷の隣行かなくていーのかよ」
「行きたいけど、アレじゃ行けないよ」
コソッと耳打ちをして来たぺーやんに私も耳打ちでそう答えれば、彼は微妙な顔をして二人を見た。
すると、三ツ谷が立ち止まって振り返り「なんか食う?」と聞いて来た。
「あっ、いちご飴食べたい!」
「女っぽいのチョイスすんじゃん」
「女子ですけど…?」
「あ、そうだった」
「ん?三ツ谷くん??」
「嘘嘘、そんな睨むなって」
三ツ谷がいつものような冗談を言ってくれたので、少しだけホッとした。浴衣姿の三ツ谷がいつも以上に大人っぽくて、照れくさくて、どう接していいのか戸惑いを感じていたので、いつものような雰囲気になれたので、少し安心した。
「部長、何か食べたいのありますか?」
「オレは皆が食べたいのでいいよ」
「いえ!折角、来てるので部長の食べたいものも食べましょう」
「じゃあ、かき氷食おうかな」
「あ、私も食べたいな。それに、ぺーやんにかき氷奢らなきゃだね!」
「は?なんで?」
「先週、約束したの。私、買ってくるよ!安田さんも食べる?」
「私は大丈夫です」
「じゃあ、三ツ谷とぺーやんの分も買ってくるね!」
かき氷の屋台に駆け出そうとすると、ぺーやんが「オレも行く」と言った。
「三つも一人で持てねぇだろ」
「あ、確かに」
「じゃあ、ちょっと行ってくるわ」
ぺーやんと二人でかき氷を買う為に屋台の列に並んでいると「今日、告白すんだろ?」と聞いてきた。
「うん。言うつもり」
「二人になるタイミング難しいな。今のうちに作戦会議でもしとこうぜ」
「そうだね。ありがとね、ぺーやん」
そんな会話をしているうちに列は進み、私たちの番となった。ブルーハワイとメロンとレモンのかき氷を三つ購入をして、二人の元へ戻ったが、そこには二人の姿はなかった。
「あれ、二人がいない」
「あ?マジだ」
辺りをキョロキョロと探してみるが、どこにも二人の姿は見当たらない。
「まさか、安田さんのヤツ、三ツ谷を連れ出して告白でもする気なんじゃ…?」
ぺーやんの言葉に一気に体が冷える感覚がした。私が言う前に安田さんの告白を受け入れてしまったらどうしよう。とか、そうなったら、私のこの想いはどこにぶつければいいの?とか、もう、遅いのかな。なんて、嫌な考えばかりがグルグルと頭の中を渦巻く。
不安が頭の大部分を占めて落ち込んでいると、ぺーやんはガッと私の肩を掴んで「まだ、遅くねぇ!」と叫んだ。
「諦めんな。三ツ谷、探すぞ」
「でも…」
「今日、伝えるって決めたんだろ!だったら、ゴチャゴチャ言う前に探せ!」
「ぺーやん…」
「三ツ谷なら名前の話、ちゃんと聞いてくれる。大丈夫だ」
ぺーやんの言葉で大事な約束を思い出した。
終業式の日の帰り道、三ツ谷と約束した。
三ツ谷は私の話ならちゃんと聞いてくれるってちゃんと言ってくれた。だったら、その言葉を信じて、ウジウジ考えるのはやめよう。
私の悪い癖だ。ここで変わらなくちゃ。
「ぺーやん、ありがとう!私、三ツ谷を探してちゃんと伝えてくる!!」
「あぁ。頑張れ」
ぺーやんは真剣な表情で深く頷いて拳を出して来たので、私も同じように深く頷いて、拳を突き合わせた。
大好きな人の元へ向かう為に、この気持ちを伝える為に、人混みを掻き分けながら、駆け出した。
約束の時間は夕方五時から。時間はまだまだあるので、慣れないメイクも念入りにして頑張ってみた。鏡を見てみれば、見慣れない自分の顔が映っていて少し違和感。
可愛くなったのかも失敗したのかも全く分からず、五つ上のお姉ちゃんに「メイクどう?」と違和感まみれの顔を見せに行けば、大爆笑をされてしまった。
「アンタ、似合ってない」とバッサリと切り捨てられ、メイク落としシートで時間をかけて施したメイクをいとも簡単に拭き取られてしまった。
「なに、いきなりそんな色気づいて」
「お祭り行くの。好きな人と」
お姉ちゃんは、いい事聞いたと嬉しそうに笑って「私に任せなさい!」と、自身のメイクポーチを部屋から持って来て慣れた手つきでメイクをしてくれた。
完成した顔を鏡で見てみれば、先程とはうってかわり、綺麗になった自分の顔が映っていた。
「凄い!さっきと全然違う!」
「あんな顔で行ったら、アウトだったよ。浴衣にも似合うようにメイクしたからバッチリよ」
「お姉ちゃん、ありがとう〜!」
嬉しくてお姉ちゃんに抱きつくと「暑い!」と引き剥がされてしまった。
チラッと時計を見てみれば、なんと既に3時を回っていた。こんなのんびりしている場合ではない。着付けもして、髪の毛もセットして、4時半には家を出なければ間に合わない。そう考えると時間が余りない。
最善の状態でお祭りに行きたいし、三ツ谷に可愛いと思ってもらいたいし、一番綺麗な私の時に告白もしたい。お姉ちゃんに手伝ってと泣き付いて、着付けもヘアアレンジも手伝って貰った。
浴衣は、紺地でアサガオの柄の落ち着いた雰囲気のを選んだ。三ツ谷が大人っぽいから、少しでも隣に並んで歩いていても恥ずかしくないような女の人になりたくて、少し背伸びをしてみた。浴衣と一緒に購入したダリアの髪飾りをアップにした髪に飾って完成した。
全身鏡でクルっと回って変な所がないかを念入りにチェックをして、お姉ちゃんにも見て貰って大丈夫な事を確認した。
ちょっと今日の自分は大人っぽいと自負出来るくらいの完成度で、これなら、三ツ谷と並んでても兄妹なんて言われる事はないかもしれないと、自信にも繋がった。
時計を再度確認すると、もう出る時間の4時半だった。巾着を掴んで、慌てて玄関に向かい、下駄を足に引っ掛けて外に飛び出した。
集合場所の武蔵神社には三十分もかからず着くので、浴衣が崩れないようにゆっくりと歩いて行ける時間に出られてホッと安堵のため息をついた。
*
集合場所に着くと、既に三ツ谷が来ていたので、小走りで彼の元に駆け寄った。
「ごめん!待たせちゃって」
「オレも今、来たところだよ」
そう言ってくれた三ツ谷を見れば、約束通り浴衣を着ていて膝から崩れ落ちそうになってしまった。三ツ谷は無地の紺色の浴衣を着こなしていて、制服とはまた違った印象で想像以上にカッコよかった。
心の中で、かっこよ過ぎませんか!?と何度も何度も繰り返し暴れていると、三ツ谷は私の顔を見て、フッと口元を緩めた。
「浴衣似合うじゃん」
キュン、そう胸が鳴った。
三ツ谷は、ズルい。いつもズルい男だけれど、今日は更にずるい。浴衣という、相乗効果も掛け合わされて、もう心臓が意味が分からないくらいにドクドクと暴れていた。
「三ツ谷も似合ってるよ!凄くカッコイイ」
「ははっ。ありがとう。てか、二人とも紺だし、お揃いみたいだな」
「あ、ほんとだ」
勇気を振り絞ってカッコイイと言ってみても、サラッとまたその上の言葉を返されてしまう。
二人で合わせた訳でもない、紺色の浴衣が急にお揃いのように見えてきて、恥ずかしさが湧き上がって来た。
「いいな、浴衣って。いつもの名前じゃねぇみたい」
「そ、そう?」
「あぁ。すっげぇ、綺麗」
「えっ…?」
一気に顔に熱が集中して顔が熱くなってきた。
心臓が本当に壊れてしまうんじゃないかと思うくらいに鳴っていて、自分の心臓の音で周りの人の声なんて聞こえないくらいだった。
三ツ谷を目の前にしたら、急に告白なんて出来る気がしなくなって来てしまった。
「お待たせしました」
「悪ぃ、遅れた」
後ろから、そんな声が聞こえ、振り返るとぺーやんと安田さんが立っていた。
「お?名前と三ツ谷、浴衣着てんの?」
「あぁ、名前が着るって言ってたからさ」
「へぇ。オマエら似合うな」
「部長、凄く似合ってます!」
「安田さん、ありがとう」
全員が揃った所で、花火が始まるまで、屋台を回ることになり、四人で歩き始めた。
だが、肝心の三ツ谷の隣には安田さんが常に居て、隣をキープしているものだから、私は三ツ谷に近づけない。
仲良く歩く二人を後ろから黙ってついて行くだけ。
「三ツ谷の隣行かなくていーのかよ」
「行きたいけど、アレじゃ行けないよ」
コソッと耳打ちをして来たぺーやんに私も耳打ちでそう答えれば、彼は微妙な顔をして二人を見た。
すると、三ツ谷が立ち止まって振り返り「なんか食う?」と聞いて来た。
「あっ、いちご飴食べたい!」
「女っぽいのチョイスすんじゃん」
「女子ですけど…?」
「あ、そうだった」
「ん?三ツ谷くん??」
「嘘嘘、そんな睨むなって」
三ツ谷がいつものような冗談を言ってくれたので、少しだけホッとした。浴衣姿の三ツ谷がいつも以上に大人っぽくて、照れくさくて、どう接していいのか戸惑いを感じていたので、いつものような雰囲気になれたので、少し安心した。
「部長、何か食べたいのありますか?」
「オレは皆が食べたいのでいいよ」
「いえ!折角、来てるので部長の食べたいものも食べましょう」
「じゃあ、かき氷食おうかな」
「あ、私も食べたいな。それに、ぺーやんにかき氷奢らなきゃだね!」
「は?なんで?」
「先週、約束したの。私、買ってくるよ!安田さんも食べる?」
「私は大丈夫です」
「じゃあ、三ツ谷とぺーやんの分も買ってくるね!」
かき氷の屋台に駆け出そうとすると、ぺーやんが「オレも行く」と言った。
「三つも一人で持てねぇだろ」
「あ、確かに」
「じゃあ、ちょっと行ってくるわ」
ぺーやんと二人でかき氷を買う為に屋台の列に並んでいると「今日、告白すんだろ?」と聞いてきた。
「うん。言うつもり」
「二人になるタイミング難しいな。今のうちに作戦会議でもしとこうぜ」
「そうだね。ありがとね、ぺーやん」
そんな会話をしているうちに列は進み、私たちの番となった。ブルーハワイとメロンとレモンのかき氷を三つ購入をして、二人の元へ戻ったが、そこには二人の姿はなかった。
「あれ、二人がいない」
「あ?マジだ」
辺りをキョロキョロと探してみるが、どこにも二人の姿は見当たらない。
「まさか、安田さんのヤツ、三ツ谷を連れ出して告白でもする気なんじゃ…?」
ぺーやんの言葉に一気に体が冷える感覚がした。私が言う前に安田さんの告白を受け入れてしまったらどうしよう。とか、そうなったら、私のこの想いはどこにぶつければいいの?とか、もう、遅いのかな。なんて、嫌な考えばかりがグルグルと頭の中を渦巻く。
不安が頭の大部分を占めて落ち込んでいると、ぺーやんはガッと私の肩を掴んで「まだ、遅くねぇ!」と叫んだ。
「諦めんな。三ツ谷、探すぞ」
「でも…」
「今日、伝えるって決めたんだろ!だったら、ゴチャゴチャ言う前に探せ!」
「ぺーやん…」
「三ツ谷なら名前の話、ちゃんと聞いてくれる。大丈夫だ」
ぺーやんの言葉で大事な約束を思い出した。
終業式の日の帰り道、三ツ谷と約束した。
三ツ谷は私の話ならちゃんと聞いてくれるってちゃんと言ってくれた。だったら、その言葉を信じて、ウジウジ考えるのはやめよう。
私の悪い癖だ。ここで変わらなくちゃ。
「ぺーやん、ありがとう!私、三ツ谷を探してちゃんと伝えてくる!!」
「あぁ。頑張れ」
ぺーやんは真剣な表情で深く頷いて拳を出して来たので、私も同じように深く頷いて、拳を突き合わせた。
大好きな人の元へ向かう為に、この気持ちを伝える為に、人混みを掻き分けながら、駆け出した。