絶妙なバランス
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今日は、私の要望で場地くんと海に来ている。まだ、夏前なので海開きもしていない為か人はまばらだ。最初、デートしたいと誘ったらお家デートになりそうだったので外に出たいと言ったら、面倒くさそうな顔をされた。マイキーたちとはフラフラとしょっちゅう外に出歩いている癖に私の時はめんどくさがるとはどういう事ですかね。なんて、口にすれば「今、来てるんだから文句言ってんじゃねぇ」と怒られてしまった。そんな事を言いつつ、お願いすれば、何だかんだ付き合ってくれる事を知っている。本当は優しいんだよね、場地くんって。ただ、一言多いだけで。そんな所も好きだと思うし、場地くんの全てが好きだ。ほら、面倒くさそうにしていた癖に、今は靴を脱いでズボンを膝までたくし上げて海に足を入れて遊んでいる。青い空、眩しい太陽、透き通る青が綺麗な海。それらに囲まれた場地くんは神々しい。何なら、世界で一番眩しい。サングラス欲しいな。場地くんが眩しくて直視できないや。なんて考えながら彼に見惚れていると、いきなり冷たいものが顔に掛かった。
「ぎゃあ!」
「可愛くねぇ声」
「場地くんのせいじゃん!」
「元からだろ」
「何それ!失敬な!」
怒る私にケラケラと笑いながら、頬をムニっと摘んで横に伸ばして来た。笑う場地くんの顔にときめいている間も彼は「すんげぇ顔」と更に失礼な発言して笑っていた。でも、場地くんの笑顔が見れるなら本望だ。私のすごい顔、ありがとう。変な感謝をしているうちにも場地くんはまた、足で海水を蹴って私に掛けてくる。私も負けじと掛け返そうと海の中に入って、足で海水を蹴りあげた。最初のうちは二人で笑い合いながら和気あいあいと掛け合いをしていたのだが、段々と場地くんは本気になり始めてきたようで本気で海水を蹴り上げた。バケツでも持ってるのか?と聞きたくなるような量の水が私の頭からバシャッとかかってしまった。
まさかの出来事に唖然としてしまい、無言で立ち尽くす私の髪と服からはポタポタと水が滴り落ちていた。さすがの場地くんもやりすぎたと思ったのか「悪ぃ」と謝りながら、私に近寄って来た。
「着替え、持って来てないんだけど」
「…マジで悪かった」
下着まで濡れるほどの水の量を被ってしまい、帰るまでに乾けば良いけど。天気も良くて気温も高いから何とかなるかもと考えながら、海から上がって浜辺に置いておいた自分たちの荷物の場所へ行き、持参したタオルで身体を拭いた。
「冬野、こっち向け」
「ん?」
名前を呼ばれ、振り返るとそこには焦りの色が見える表情を浮かべた場地くんが居た。何をそんなに焦っているのだろうと思っていれば、肩に掛けていたタオルを取って、そのタオルで私の頭を乱暴に拭き始めた。まるで犬を拭くくらいの勢いでワシャワシャとする場地くんに思わず笑ってしまった。すると、彼は「怒ってねぇの?」と聞いた。何故に怒る事があるのだろうか。ふざけていただけだから別に怒ってないけど…と思っていると、先程の自分の行動を思い出した。乾くかなとか考えていたせいで、場地くんが謝っているのを無視してしまった事に気が付いた。それを私が怒っていると勘違いしてしまったのか。すぐ様に怒っていないと伝えようとしたが、あまりにも、やってしまったと言わんばかりの顔をする場地くんが珍しいうえに可愛いかったので、もう少し堪能したくなってしまった。
「えー…じゃあ、私が機嫌直るような事して」
「あぁ?」
おっと、それは嫌らしい。眉を顰め、目を鋭くさせた彼の顔には思いっきり嫌だと書いてある。ですよねぇ、場地くんがそんな機嫌を摂るためにヘコヘコしないですよねぇ。半ば諦めつつもジッと彼の瞳を見詰めていると、場地くんは手にしていたタオルで私の目元を隠した。いきなり暗くなった視界に戸惑っていると、唇に何か柔らかくて温かいものが触れた。固まっているうちにスっと離れて行ったので、タオルを取って場地くんを見るともう既にそっぽを向いてしまっていた。
「場地くーん?」
「ンだよ」
「耳赤いよ?」
「はぁ?コレはアレだ。日焼けだ」
「日焼け…」
場地くんの隣に回って顔を覗き込めば、平然とした顔をしている癖に耳だけ赤くなっている彼と目が合った。日焼けをしたと変な言い訳している場地くんが可愛くて笑ってしまった。笑われてイラッとした場地くんは私の頭を軽く叩いて「風邪引くからもう帰るぞ」と言って、停めてあるバイクの方へ歩いて行ってしまった。慌てて彼の背中を追いかけて、バイクに跨って待つ彼の後ろに乗って海を後にした。
いつもより、バイクをかっ飛ばすのはきっと私が風邪を引かないようにと思ってくれているのだろう。そんな場地くんの優しさに私の頬は緩む。その背中に向かって「大好き」と呟くが、風の音で彼には届かなかった。
飛ばしたおかげで、行きより半分近くの時間で家に着いてしまった。バイクから降りると場地くんもバイクを停めて降りた。やっぱり、この時間が嫌いだ。場地くんとバイバイしなくてはいけないこの瞬間は本当に寂しくなってしまう。
「早く、家入れよ」
「まだ、帰りたくないなぁ~なんて思ってみたりして」
「あぁ?」
冗談っぽく言ってみるが呆れたような顔で見られてしまった。そんなに早く帰りたいか、この人は。
「だから、最初っから家で過ごせば良かったんだよ」
「えー?それとこれは別問題じゃん」
「うっせぇな。さっさと入れっての」
「はーい…」
結局、私のまだ一緒に居たいという願いは聞き入れては貰えなかった。しょぼくれながら「じゃあ、またね」と言って踵を返して一歩踏み出すと、突如首根っこを掴まれて止められた。
「ぐぇっ!」
「本っ当に可愛くねぇ声」
「毎度毎度、全部場地くんのせいだってば!」
「だから、元からだろ」
「酷いっ!」
そんな言い合いをしていると、場地くんは頭をガシガシと掻きながら目を泳がせて言いづらそうに口を開いた。
「さっさと、風呂入って着替えて来いよ」
「え?どういう事?」
「あぁ?テメェが帰りたくねぇっつったんだろーが」
「…秒速で戻って来ます!」
「別にゆっくりでいいけど」
「場地くん、優しい~!」
彼に抱きつこうとするが、頭をガシッと抑えられて「オレが濡れるだろーが」と拒否されてしまった。優しいのか酷いのかよく分からない彼に私の心はいつも掻き乱される。そんな、絶妙なバランスが大好きだ。
「ぎゃあ!」
「可愛くねぇ声」
「場地くんのせいじゃん!」
「元からだろ」
「何それ!失敬な!」
怒る私にケラケラと笑いながら、頬をムニっと摘んで横に伸ばして来た。笑う場地くんの顔にときめいている間も彼は「すんげぇ顔」と更に失礼な発言して笑っていた。でも、場地くんの笑顔が見れるなら本望だ。私のすごい顔、ありがとう。変な感謝をしているうちにも場地くんはまた、足で海水を蹴って私に掛けてくる。私も負けじと掛け返そうと海の中に入って、足で海水を蹴りあげた。最初のうちは二人で笑い合いながら和気あいあいと掛け合いをしていたのだが、段々と場地くんは本気になり始めてきたようで本気で海水を蹴り上げた。バケツでも持ってるのか?と聞きたくなるような量の水が私の頭からバシャッとかかってしまった。
まさかの出来事に唖然としてしまい、無言で立ち尽くす私の髪と服からはポタポタと水が滴り落ちていた。さすがの場地くんもやりすぎたと思ったのか「悪ぃ」と謝りながら、私に近寄って来た。
「着替え、持って来てないんだけど」
「…マジで悪かった」
下着まで濡れるほどの水の量を被ってしまい、帰るまでに乾けば良いけど。天気も良くて気温も高いから何とかなるかもと考えながら、海から上がって浜辺に置いておいた自分たちの荷物の場所へ行き、持参したタオルで身体を拭いた。
「冬野、こっち向け」
「ん?」
名前を呼ばれ、振り返るとそこには焦りの色が見える表情を浮かべた場地くんが居た。何をそんなに焦っているのだろうと思っていれば、肩に掛けていたタオルを取って、そのタオルで私の頭を乱暴に拭き始めた。まるで犬を拭くくらいの勢いでワシャワシャとする場地くんに思わず笑ってしまった。すると、彼は「怒ってねぇの?」と聞いた。何故に怒る事があるのだろうか。ふざけていただけだから別に怒ってないけど…と思っていると、先程の自分の行動を思い出した。乾くかなとか考えていたせいで、場地くんが謝っているのを無視してしまった事に気が付いた。それを私が怒っていると勘違いしてしまったのか。すぐ様に怒っていないと伝えようとしたが、あまりにも、やってしまったと言わんばかりの顔をする場地くんが珍しいうえに可愛いかったので、もう少し堪能したくなってしまった。
「えー…じゃあ、私が機嫌直るような事して」
「あぁ?」
おっと、それは嫌らしい。眉を顰め、目を鋭くさせた彼の顔には思いっきり嫌だと書いてある。ですよねぇ、場地くんがそんな機嫌を摂るためにヘコヘコしないですよねぇ。半ば諦めつつもジッと彼の瞳を見詰めていると、場地くんは手にしていたタオルで私の目元を隠した。いきなり暗くなった視界に戸惑っていると、唇に何か柔らかくて温かいものが触れた。固まっているうちにスっと離れて行ったので、タオルを取って場地くんを見るともう既にそっぽを向いてしまっていた。
「場地くーん?」
「ンだよ」
「耳赤いよ?」
「はぁ?コレはアレだ。日焼けだ」
「日焼け…」
場地くんの隣に回って顔を覗き込めば、平然とした顔をしている癖に耳だけ赤くなっている彼と目が合った。日焼けをしたと変な言い訳している場地くんが可愛くて笑ってしまった。笑われてイラッとした場地くんは私の頭を軽く叩いて「風邪引くからもう帰るぞ」と言って、停めてあるバイクの方へ歩いて行ってしまった。慌てて彼の背中を追いかけて、バイクに跨って待つ彼の後ろに乗って海を後にした。
いつもより、バイクをかっ飛ばすのはきっと私が風邪を引かないようにと思ってくれているのだろう。そんな場地くんの優しさに私の頬は緩む。その背中に向かって「大好き」と呟くが、風の音で彼には届かなかった。
飛ばしたおかげで、行きより半分近くの時間で家に着いてしまった。バイクから降りると場地くんもバイクを停めて降りた。やっぱり、この時間が嫌いだ。場地くんとバイバイしなくてはいけないこの瞬間は本当に寂しくなってしまう。
「早く、家入れよ」
「まだ、帰りたくないなぁ~なんて思ってみたりして」
「あぁ?」
冗談っぽく言ってみるが呆れたような顔で見られてしまった。そんなに早く帰りたいか、この人は。
「だから、最初っから家で過ごせば良かったんだよ」
「えー?それとこれは別問題じゃん」
「うっせぇな。さっさと入れっての」
「はーい…」
結局、私のまだ一緒に居たいという願いは聞き入れては貰えなかった。しょぼくれながら「じゃあ、またね」と言って踵を返して一歩踏み出すと、突如首根っこを掴まれて止められた。
「ぐぇっ!」
「本っ当に可愛くねぇ声」
「毎度毎度、全部場地くんのせいだってば!」
「だから、元からだろ」
「酷いっ!」
そんな言い合いをしていると、場地くんは頭をガシガシと掻きながら目を泳がせて言いづらそうに口を開いた。
「さっさと、風呂入って着替えて来いよ」
「え?どういう事?」
「あぁ?テメェが帰りたくねぇっつったんだろーが」
「…秒速で戻って来ます!」
「別にゆっくりでいいけど」
「場地くん、優しい~!」
彼に抱きつこうとするが、頭をガシッと抑えられて「オレが濡れるだろーが」と拒否されてしまった。優しいのか酷いのかよく分からない彼に私の心はいつも掻き乱される。そんな、絶妙なバランスが大好きだ。