恋花火
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私の好きな人は暴走族。金の辮髪、こめかみに龍の刺青。東京卍會副総長、龍宮寺 堅。通称ドラケン。
身長も大きいし、中学生とは思えないその風貌に周りは近寄らない。私もその1人だったのだけれど、ある事から親しくなった。それは私の親友、エマだ。エマは、東京卍會の総長のマイキーさんの妹でドラケンさんとも仲が良い。エマに誘われて、4人でご飯に行った事があった。
その時に、完全に落ちてしまった。だって、ずっと怖いと思っていた人が、凄く可愛い笑顔で笑ったのを見てしまったの。その笑顔を見た瞬間に胸を鷲掴みされたような感覚がした。ドラケンさんってこんな風に笑うんだと思ったのと同時にそれがエマに向けられているのが、どうしようもなく羨ましくなった。エマから聞いた話によれば、2人は付き合ってないらしい。私にもまだチャンスはあるかな?なんて考えてみたけど、エマもドラケンさんが好きって聞いてしまった。エマは「鈍感だから、ウチの気持ちに全く気付いてない!まず、ウチに興味ないし」と散々愚痴っていた。だけど、私の目にはエマは特別のように思える。理由は明確には言えないけど、きっと、ドラケンさんも大切に思っているんだろうなって事は分かるんだ。
それから、4人でよくご飯に行くようになったのだけれど、これが結構辛い。ドラケンさんに会えるのは嬉しいけど、仲良しの2人を目の前で見るのは堪える。あぁ…、気付いた時には既に失恋している私の初恋ってなんなんだ。友達の好きな人を横から奪う様なヤツにはなりたくない。そもそも、エマから奪える気は全くないのだが。
「名前ちゃん?」
「え?あ、ドラケンさん!?」
「よっ。久しぶり」
一人でモヤモヤと考え込みながら渋谷の繁華街を練り歩いていると、まさかのここでご本人登場してしまった訳だが…。
「お久しぶりです。何故、ここに?」
「だって、ここオレん家だから。コレの4階」
「え、ファッションヘルスって何ですか?」
「あー、まぁ、気にすんな」
困ったようにそう言うドラケンに首を傾げる。
ファッションヘルスとは何だろう。後で調べてみようかな。好きな人の事は何でも知りたいと思うのは当たり前の事だ。
「今から、帰んのか?」
「はい。そのつもりだったんですけど、ボーッとして歩いてたら、いつの間にこんな所に」
そう言えば、彼は私の大好きな笑顔を浮かべ「何してんだよ」と笑った。あぁ、好きだな。この表情。いつもは、エマとマイキーさんだけなのに今日は私に向けられている。これからは、私だけに向けられないかなと欲張りな自分が出てきてしまい、グッと中に押し込める。
「危ねぇから家まで送ってくぜ?」
「いえ!そんな、悪いですし…」
「気にすんなって。エマの大事なダチに何かあったらマズいだろ」
エマの友達…か。そうだよね。舞い上がってしまった自分が恥ずかしい。結局は、エマの友達。そのポジションからは抜け出せない。そんな事は分かっていたクセに胸がズキズキしてしまう。
その後、ドラケンさんと2人で歩いて家の前まで送って貰った。2人で並んで歩けるなんて、それだけで十分じゃない?それ以上欲張りになったってどうしようもないのに。溢れる感情にしまい込んで、鍵でも掛けられたら良いのに。幾分か楽になるだろうな。
「じゃ、またな」
と、ニッと笑いながら私の頭をポンポンとして、帰ろうとするドラケンさんの服の裾を掴んで引き止めた。
「ん?どうした?」
「え、あ、いや、その…」
無意識に引き止めてしまって、話す事も何も考えてなかった為に挙動不審になってしまう。どうしようかと必死に頭の中で考える。
「何かあったのか?」
そう優しく問い掛けてくれる、ドラケンさんを好きだと感じたその瞬間に、息をするようにたった2文字の言葉がこぼれ落ちてしまった。数秒の無言が痛い。突然の事に彼も驚いているのだろうか。少しして、私の名が呼ばれて恐る恐る顔をあげると、悲しそうな顔をしている彼と目が合った。本当にそんな表情をしているのかは分からないけど、私にはそう見えてしまった。
「ありがとな。でも、悪ぃ」
ハッキリとした声が私の耳に届いた。その言葉を理解したと同時にもう、彼の姿は滲んでしまった。
「じゃあな」と去っていくぼんやりとしか見えない彼の後ろ姿を見つめていると、再度私の名が呼ばれた。振り向かなくたって、声で分かる。
「エマ…」
「名前、ごめん。盗み聞きするつもりはなかったんだけど、名前の家行こうと思ってたら、2人が居て…」
「私の方こそごめんね、エマ。言い訳にしか聞こえないかもしれないけど…」
泣きながらそう言えば、エマは私をギュッと抱き締めた。
「分かってる」
「私、ね…」
「分かってるから、もう何も言わなくて良いよ」
エマの優しさに更に涙が溢れてしまった。私がエマから奪おうとかそんなつもりで告ってしまった訳じゃないのを分かってくれた事が嬉しく感じた。好きと聞いてて、私も好きだなんて一言も言ってないのに勝手に告白して、友達として最低なのに許してくれるエマが優しくて、温かった。
「ウチこそごめんね。気付かないうちに名前の事、傷付けてたかなぁ?」
必死に横に首を振って否定する。エマは全く悪くないのに。エマの優しさがこんなにも私とは違うのだと思わせた。
最初から勝ち目なんてないの分かってたじゃん?だから、自分の気持ちにケリを付けられて丁度良かったじゃん。と自分に言い聞かせた。
そっと、落ちてゆく悲しみたちはいつかのチカラになるから、今日だけは涙を流す事を許して欲しい。涙を全部流したら、笑顔になれる希望をちゃんと見つけるから。そしたら、ちゃんとエマに「頑張って」って言えるから。
そして、2人がもしも付き合う事になったら、笑顔で「おめでとう」と言えるように。
身長も大きいし、中学生とは思えないその風貌に周りは近寄らない。私もその1人だったのだけれど、ある事から親しくなった。それは私の親友、エマだ。エマは、東京卍會の総長のマイキーさんの妹でドラケンさんとも仲が良い。エマに誘われて、4人でご飯に行った事があった。
その時に、完全に落ちてしまった。だって、ずっと怖いと思っていた人が、凄く可愛い笑顔で笑ったのを見てしまったの。その笑顔を見た瞬間に胸を鷲掴みされたような感覚がした。ドラケンさんってこんな風に笑うんだと思ったのと同時にそれがエマに向けられているのが、どうしようもなく羨ましくなった。エマから聞いた話によれば、2人は付き合ってないらしい。私にもまだチャンスはあるかな?なんて考えてみたけど、エマもドラケンさんが好きって聞いてしまった。エマは「鈍感だから、ウチの気持ちに全く気付いてない!まず、ウチに興味ないし」と散々愚痴っていた。だけど、私の目にはエマは特別のように思える。理由は明確には言えないけど、きっと、ドラケンさんも大切に思っているんだろうなって事は分かるんだ。
それから、4人でよくご飯に行くようになったのだけれど、これが結構辛い。ドラケンさんに会えるのは嬉しいけど、仲良しの2人を目の前で見るのは堪える。あぁ…、気付いた時には既に失恋している私の初恋ってなんなんだ。友達の好きな人を横から奪う様なヤツにはなりたくない。そもそも、エマから奪える気は全くないのだが。
「名前ちゃん?」
「え?あ、ドラケンさん!?」
「よっ。久しぶり」
一人でモヤモヤと考え込みながら渋谷の繁華街を練り歩いていると、まさかのここでご本人登場してしまった訳だが…。
「お久しぶりです。何故、ここに?」
「だって、ここオレん家だから。コレの4階」
「え、ファッションヘルスって何ですか?」
「あー、まぁ、気にすんな」
困ったようにそう言うドラケンに首を傾げる。
ファッションヘルスとは何だろう。後で調べてみようかな。好きな人の事は何でも知りたいと思うのは当たり前の事だ。
「今から、帰んのか?」
「はい。そのつもりだったんですけど、ボーッとして歩いてたら、いつの間にこんな所に」
そう言えば、彼は私の大好きな笑顔を浮かべ「何してんだよ」と笑った。あぁ、好きだな。この表情。いつもは、エマとマイキーさんだけなのに今日は私に向けられている。これからは、私だけに向けられないかなと欲張りな自分が出てきてしまい、グッと中に押し込める。
「危ねぇから家まで送ってくぜ?」
「いえ!そんな、悪いですし…」
「気にすんなって。エマの大事なダチに何かあったらマズいだろ」
エマの友達…か。そうだよね。舞い上がってしまった自分が恥ずかしい。結局は、エマの友達。そのポジションからは抜け出せない。そんな事は分かっていたクセに胸がズキズキしてしまう。
その後、ドラケンさんと2人で歩いて家の前まで送って貰った。2人で並んで歩けるなんて、それだけで十分じゃない?それ以上欲張りになったってどうしようもないのに。溢れる感情にしまい込んで、鍵でも掛けられたら良いのに。幾分か楽になるだろうな。
「じゃ、またな」
と、ニッと笑いながら私の頭をポンポンとして、帰ろうとするドラケンさんの服の裾を掴んで引き止めた。
「ん?どうした?」
「え、あ、いや、その…」
無意識に引き止めてしまって、話す事も何も考えてなかった為に挙動不審になってしまう。どうしようかと必死に頭の中で考える。
「何かあったのか?」
そう優しく問い掛けてくれる、ドラケンさんを好きだと感じたその瞬間に、息をするようにたった2文字の言葉がこぼれ落ちてしまった。数秒の無言が痛い。突然の事に彼も驚いているのだろうか。少しして、私の名が呼ばれて恐る恐る顔をあげると、悲しそうな顔をしている彼と目が合った。本当にそんな表情をしているのかは分からないけど、私にはそう見えてしまった。
「ありがとな。でも、悪ぃ」
ハッキリとした声が私の耳に届いた。その言葉を理解したと同時にもう、彼の姿は滲んでしまった。
「じゃあな」と去っていくぼんやりとしか見えない彼の後ろ姿を見つめていると、再度私の名が呼ばれた。振り向かなくたって、声で分かる。
「エマ…」
「名前、ごめん。盗み聞きするつもりはなかったんだけど、名前の家行こうと思ってたら、2人が居て…」
「私の方こそごめんね、エマ。言い訳にしか聞こえないかもしれないけど…」
泣きながらそう言えば、エマは私をギュッと抱き締めた。
「分かってる」
「私、ね…」
「分かってるから、もう何も言わなくて良いよ」
エマの優しさに更に涙が溢れてしまった。私がエマから奪おうとかそんなつもりで告ってしまった訳じゃないのを分かってくれた事が嬉しく感じた。好きと聞いてて、私も好きだなんて一言も言ってないのに勝手に告白して、友達として最低なのに許してくれるエマが優しくて、温かった。
「ウチこそごめんね。気付かないうちに名前の事、傷付けてたかなぁ?」
必死に横に首を振って否定する。エマは全く悪くないのに。エマの優しさがこんなにも私とは違うのだと思わせた。
最初から勝ち目なんてないの分かってたじゃん?だから、自分の気持ちにケリを付けられて丁度良かったじゃん。と自分に言い聞かせた。
そっと、落ちてゆく悲しみたちはいつかのチカラになるから、今日だけは涙を流す事を許して欲しい。涙を全部流したら、笑顔になれる希望をちゃんと見つけるから。そしたら、ちゃんとエマに「頑張って」って言えるから。
そして、2人がもしも付き合う事になったら、笑顔で「おめでとう」と言えるように。