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当たり前のように居た兄貴が居なくなってしまった。ひたすら、追い続けていた背中が見えなくなってしまった。それだけで、右も左もわからなくなって、自分が自分で居られなくなってしまう。
それでも、何とか立っていられたのは仲間が居たから。ケンチン、三ツ谷、パー、そして場地。コイツらとなら、世間からハミ出したまま生きていけると思っていたんだ。
不良の時代を創る、6人で誓って夢に向かって突き進んで来たハズだった。兄貴のようになりたかった。キラキラと輝いていた大きな背中に憧れた。憧れという玩具の羽根で羽ばたける気がしていた。
いつからだろうか。一人、また一人と自分の傍から居なくなっていった。自らの手で消した癖に独りが辛かった。辛い時、苦しい時は必ず夢を見る。
そう、あの日の夢を。
*************
「おい!マイキー!すぐ寝んのやめろよな。ガキじゃあるまいし」
そう遠くで場地の声が聞こえる。目を開けて、辺りを見渡せば、そこはいつもの喫茶店だった。
まだボーッとする頭を懸命に働かせ、さっきまで何をしていたか思い返す。
「オマエが今後の事を考えようっつったんだろーが」
そうだ。自分が場地をいつもの喫茶店に呼び出して、今後の東卍について考えようと持ち掛けたのだ。オムライスとチョコレートパフェを食べたら、お腹も膨れて睡魔に襲われ、そのまま目を閉じてしまったらしい。
「そうだった。で、どこまで話したっけ?」
「東卍の組織図考えてた所だろ」
「そうそう。オレらも大きくなって来た事だし、隊を作ろうかと思ってさ」
「隊?」
「壱番隊、弐番隊ってやつ」
「カッケェじゃん!いいな、それ!オレ、壱番隊な!」
キラキラと目を輝かして、ああしたい、こうなりたいと場地と2人で夢の欠片をかき集めて宝箱に収めていった。オレらの夢を詰め込んだのが東卍だった。いつだって、胸張って前だけを見て走り抜けたあの日々は紛れもなく、オレらの青春だった。
しかし、宝石のようなあの日々は輝きだけを胸に残して、終わりを告げた。
10/31に場地と二度と会えなくなった。
オレは、場地が大好きだった。特別仲が良いって訳じゃなかった。いつも喧嘩していたし、その度にボコボコにしてやるけど、何度も立ち向かって来る根性を素直にカッケェと思っていた。そんな場地と肩を並べて闘える事が嬉しかった。楽しかった。
だけど、それも二度と叶わなくなった。
何度後悔して来ただろうか。いつもくだらないモノに名前付けて、宝物と呼んでいた。今となっては、それが何よりも大切であの日のままに生きていけたら…そう感じる事が増えた。
過去に戻れたら、どこをやり直そうか。そんな事ばかり考えてしまう。間違いだらけだった人生を一度、まっさらにしたかった。だけど、まっさらになんてなりやしなかった。
真っ白にしたかっただけなのに、黒く、そして深く沈んで行く気がした。もう、何も分からない。深く深く沈んで、そのまま息が止まれば良いなんて思うんだ。
********
いつもはこんな風に目を覚ます。だけど、今日は違った。今日は場地が笑ってた。手にはあの日のお守りを持って幸せそうに笑っていた。
その笑顔を見て「ありふれた大人になんてなりたくねぇ。オレらはオレらのままで居ようぜ」と場地が言っていたのを思い出した。
そんな事を思い出したら何故だか、場地が「まだ大丈夫」って背中を押してくれたような気がした。
まだ、やり直せるだろうか。
やり直せるなら、今度こそ自分のままで生きたい。
朝日が昇り、薄暗い自室をカーテンの隙間から光が差し込んできた。その光があの日へ導いてくれている気がした。そんなはずもないが、それすら救いのように思えてしまう。
その暖かな光に包まれながら、再度目を閉じた。
それでも、何とか立っていられたのは仲間が居たから。ケンチン、三ツ谷、パー、そして場地。コイツらとなら、世間からハミ出したまま生きていけると思っていたんだ。
不良の時代を創る、6人で誓って夢に向かって突き進んで来たハズだった。兄貴のようになりたかった。キラキラと輝いていた大きな背中に憧れた。憧れという玩具の羽根で羽ばたける気がしていた。
いつからだろうか。一人、また一人と自分の傍から居なくなっていった。自らの手で消した癖に独りが辛かった。辛い時、苦しい時は必ず夢を見る。
そう、あの日の夢を。
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「おい!マイキー!すぐ寝んのやめろよな。ガキじゃあるまいし」
そう遠くで場地の声が聞こえる。目を開けて、辺りを見渡せば、そこはいつもの喫茶店だった。
まだボーッとする頭を懸命に働かせ、さっきまで何をしていたか思い返す。
「オマエが今後の事を考えようっつったんだろーが」
そうだ。自分が場地をいつもの喫茶店に呼び出して、今後の東卍について考えようと持ち掛けたのだ。オムライスとチョコレートパフェを食べたら、お腹も膨れて睡魔に襲われ、そのまま目を閉じてしまったらしい。
「そうだった。で、どこまで話したっけ?」
「東卍の組織図考えてた所だろ」
「そうそう。オレらも大きくなって来た事だし、隊を作ろうかと思ってさ」
「隊?」
「壱番隊、弐番隊ってやつ」
「カッケェじゃん!いいな、それ!オレ、壱番隊な!」
キラキラと目を輝かして、ああしたい、こうなりたいと場地と2人で夢の欠片をかき集めて宝箱に収めていった。オレらの夢を詰め込んだのが東卍だった。いつだって、胸張って前だけを見て走り抜けたあの日々は紛れもなく、オレらの青春だった。
しかし、宝石のようなあの日々は輝きだけを胸に残して、終わりを告げた。
10/31に場地と二度と会えなくなった。
オレは、場地が大好きだった。特別仲が良いって訳じゃなかった。いつも喧嘩していたし、その度にボコボコにしてやるけど、何度も立ち向かって来る根性を素直にカッケェと思っていた。そんな場地と肩を並べて闘える事が嬉しかった。楽しかった。
だけど、それも二度と叶わなくなった。
何度後悔して来ただろうか。いつもくだらないモノに名前付けて、宝物と呼んでいた。今となっては、それが何よりも大切であの日のままに生きていけたら…そう感じる事が増えた。
過去に戻れたら、どこをやり直そうか。そんな事ばかり考えてしまう。間違いだらけだった人生を一度、まっさらにしたかった。だけど、まっさらになんてなりやしなかった。
真っ白にしたかっただけなのに、黒く、そして深く沈んで行く気がした。もう、何も分からない。深く深く沈んで、そのまま息が止まれば良いなんて思うんだ。
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いつもはこんな風に目を覚ます。だけど、今日は違った。今日は場地が笑ってた。手にはあの日のお守りを持って幸せそうに笑っていた。
その笑顔を見て「ありふれた大人になんてなりたくねぇ。オレらはオレらのままで居ようぜ」と場地が言っていたのを思い出した。
そんな事を思い出したら何故だか、場地が「まだ大丈夫」って背中を押してくれたような気がした。
まだ、やり直せるだろうか。
やり直せるなら、今度こそ自分のままで生きたい。
朝日が昇り、薄暗い自室をカーテンの隙間から光が差し込んできた。その光があの日へ導いてくれている気がした。そんなはずもないが、それすら救いのように思えてしまう。
その暖かな光に包まれながら、再度目を閉じた。