オレが恋を知る日
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マイキー達と学校が別になってから、毎日が退屈だ。気合いの入った奴が居れば話は別だが、それすら居ない。つまらねぇ日常に刺激的な何かが欲しいと思うが、何も無く毎日が過ぎていく。
学校なんて授業を受けるだけのクソつまんねぇ場所。机に座っているだけで眠みぃし、すぐに腹は減るしで授業なんてやってらんねぇ。
いつも授業をサボる時は保健室と決めていて、今日も2限目の始まる頃には眠くなってきて、保健室へと向かっていた。
午前中は保健室で爆睡をしていて、腹の虫が鳴った事で目を覚ました。時計を見ると丁度、昼休みに入った頃で、昼飯を食い損ねた。今から家に帰ってペヤングでも食うかと、ベッドから下りようとすると、ドアの開く音がした。
保健のセンコーでも来たのかとカーテンの隙間から覗いてみると、そこには女が1人、椅子に腰掛けていた。
見た事もねぇ、その女は暫くそこに座っていた。具合でも悪ぃのかと思ったが、そうではなく、怪我したとか具合悪いとか言って保健室にやって来る奴らの面倒をみていた。
昼休みにご苦労なこったと心の中で同情していたが、その女は、ソイツらに対して一切嫌な顔せず、笑顔を向け怪我の手当をしているのが見えた。最後には「もう怪我しないでね!」と声をかけていた。
そんな彼女の笑顔に釘付けになってしまい、ベッドから動けずに居た。
結局、放課後までガッツリ寝てしまい、廊下から聞こえる騒がしい声で目を覚ます。豪快に鳴った腹の音と寝ていた事で忘れていた空腹が一気に襲いかかる。空腹に若干イライラしながら、帰ろうとベッドから出て、学校を後にした。
家までの帰り道、寝起きのぼんやりとした頭で歩いていると、昼休みに保健室で見た女と困ってそうな雰囲気のバァさんが目の前に現れた。
素通りしようとしたが、自分の思いとは裏腹に足は止まり、2人の様子を伺ってしまう。2人の会話からすると、バァさんは道に迷って、その女に道を聞いていたようだった。すると、女はまたバァさんに笑顔を向け「私がそこまで案内しますよ」と言っているのが聞こえた。
道だけ教えりゃいいのに、一緒に行くとかお人好し過ぎねぇ?
バァさんの手を取り、歩幅を合わせゆっくり歩いて行くその後ろ姿を黙って見送った。
***
次の日、教室へ行くと、あろう事かその女は同じクラスに居た。クラスの連中なんて誰一人覚えていないから、気付かないのは仕方の無い事だが、衝撃を受けた。その女がこんなに近くにいた事に少しだけ嬉しさを感じた。この日からなんだか自然と目で追ってしまう自分がいた。
たまに、アイツが豪快に口を開けて大笑いしている、すんげぇ顔を見ると吹き出しそうになって懸命に堪えたり、授業中の姿を横目で見たりしていた。
難しそうな顔をして問題を解いていて、分かった瞬間に少し嬉しそうな顔をしたり、たまに爆睡している時もあって、1人で表情をコロコロ変えているソイツを見ているのが楽しかった。
自然と目で追ってしまう、このモヤモヤとした感情がなんなのか分からず、イライラする。このモヤモヤを晴らすべく、アイツに話し掛けようと何度か試みたが、アイツはいつも女数人と一緒に居て、チャンスがまだ巡って来ない。
どうすっかなぁ。と昼休みに考えながら廊下を歩いていると保健室に名前がいるのが見えた。そう言えば、昨日、絡んで来た奴らと喧嘩して腕を怪我したのを思い出した。別に放っておけば良いくらいの小せぇモンだが、話し掛けるきっかけにはなる。
勢いよく保健室のドアを開けると、驚いた顔をしてオレを見た後、名前は直ぐに目線を逸らした。
「センコーは?」
「職員会議です。何か先生に用事でもありましたか?」
「怪我診てもらおうと思ってよぉ」
「あ、私がやります。そこに座ってください」
椅子に座って腕を出すと、名前はテキパキと手当を始めた。その無駄のない素早い動きを目で追った。フと顔を上げて、顔を凝視していると視線を感じたのか、名前も顔を上げた。目が合った瞬間に勢いよく目を逸らされ、軽くイラッとする。
「オイ、何で目ぇ逸らすんだよ」
「さぁ…?何ででしょうか?」
「オレが聞いてんだよ」
「そうですよね…」
ハッキリとしねぇ答えにも、何故か敬語な事にもイライラが募る。敬語って事は、同じクラスだと認知されてねぇのか?なんだコイツ。と思ったが、つい最近まで、知らなかったオレが言えた立場じゃねぇなと思い、言葉を飲み込んだ。
視線を落とすと、そこには意味もなくミイラのようにグルグルに巻かれた自分の腕が視界に入った。
「それ、巻きすぎだろ。動きずれぇわ」
「あっ!すみません!ごめんなさい!」
慌てて、全力で謝ってくるコイツを見て吹き出して笑ってしまった。
「つーか、オマエ、オレの事知ってるか?」
「あ、はい。同じクラスの場地圭介君」
「何で敬語なんだよ」
「何となく、敬語の方が良いかと」
「はぁ?意味わかんねぇ。普通にしろよ」
「うん。できる限り、そうする」
「で?さっきからなんでこっち見ねぇの?」
「それは…」
さっきから煮え切らない返事ばっかだし、他の奴にはよく笑う癖にオレには笑わねぇのが気に食わねぇ。ずっと見てんのに全く視線が合わない事にムカついて名前のネクタイを掴み引っ張ってこっちを強引に向かせた。驚いたように大きく開かれた目と視線が合う。
「やっと目が合ったな」
すると、名前は一気に頬を赤く染めて、手をバタバタさせ始めた。自分の行動1つでこんなにも面白ぇ反応返ってくる事に笑いが出そうになる。
掴んでいたネクタイを奪い取り、固まっている名前を置いて、保健室を出て行こうとすると、ハッと我に返ったのか慌てて椅子から立ち上がった。
「え、待って!怪我の手当終わってない…!」
「ア?こんくらい放置でいーだろ」
「じゃあ、なんで来たの?」
「名前がここにいるの見えたから」
「え?それってどういう事…?」
「そのままの意味しかねーだろ」
自然と目で追ってしまうのも、からかいたくなるのも、自分にだけ笑顔を向けて欲しいと思うのも、答えは1つしかなかった。モヤモヤとしていた事が解り、一気に気持ちが晴れて行った。
「え?ちょっと、私のネクタイ返して…!」
手を伸ばして来る名前にネクタイを見せ付けるようにヒラヒラとさせながら「取りに来いよ」と言ってから、ドアを閉めた。
この後、どんなツラして取りに来るのかを想像すると、面白くなって来た。
「どうやって、オレのモンにすっかなぁ」
退屈な学校が刺激的な毎日になりそうだ。
学校なんて授業を受けるだけのクソつまんねぇ場所。机に座っているだけで眠みぃし、すぐに腹は減るしで授業なんてやってらんねぇ。
いつも授業をサボる時は保健室と決めていて、今日も2限目の始まる頃には眠くなってきて、保健室へと向かっていた。
午前中は保健室で爆睡をしていて、腹の虫が鳴った事で目を覚ました。時計を見ると丁度、昼休みに入った頃で、昼飯を食い損ねた。今から家に帰ってペヤングでも食うかと、ベッドから下りようとすると、ドアの開く音がした。
保健のセンコーでも来たのかとカーテンの隙間から覗いてみると、そこには女が1人、椅子に腰掛けていた。
見た事もねぇ、その女は暫くそこに座っていた。具合でも悪ぃのかと思ったが、そうではなく、怪我したとか具合悪いとか言って保健室にやって来る奴らの面倒をみていた。
昼休みにご苦労なこったと心の中で同情していたが、その女は、ソイツらに対して一切嫌な顔せず、笑顔を向け怪我の手当をしているのが見えた。最後には「もう怪我しないでね!」と声をかけていた。
そんな彼女の笑顔に釘付けになってしまい、ベッドから動けずに居た。
結局、放課後までガッツリ寝てしまい、廊下から聞こえる騒がしい声で目を覚ます。豪快に鳴った腹の音と寝ていた事で忘れていた空腹が一気に襲いかかる。空腹に若干イライラしながら、帰ろうとベッドから出て、学校を後にした。
家までの帰り道、寝起きのぼんやりとした頭で歩いていると、昼休みに保健室で見た女と困ってそうな雰囲気のバァさんが目の前に現れた。
素通りしようとしたが、自分の思いとは裏腹に足は止まり、2人の様子を伺ってしまう。2人の会話からすると、バァさんは道に迷って、その女に道を聞いていたようだった。すると、女はまたバァさんに笑顔を向け「私がそこまで案内しますよ」と言っているのが聞こえた。
道だけ教えりゃいいのに、一緒に行くとかお人好し過ぎねぇ?
バァさんの手を取り、歩幅を合わせゆっくり歩いて行くその後ろ姿を黙って見送った。
***
次の日、教室へ行くと、あろう事かその女は同じクラスに居た。クラスの連中なんて誰一人覚えていないから、気付かないのは仕方の無い事だが、衝撃を受けた。その女がこんなに近くにいた事に少しだけ嬉しさを感じた。この日からなんだか自然と目で追ってしまう自分がいた。
たまに、アイツが豪快に口を開けて大笑いしている、すんげぇ顔を見ると吹き出しそうになって懸命に堪えたり、授業中の姿を横目で見たりしていた。
難しそうな顔をして問題を解いていて、分かった瞬間に少し嬉しそうな顔をしたり、たまに爆睡している時もあって、1人で表情をコロコロ変えているソイツを見ているのが楽しかった。
自然と目で追ってしまう、このモヤモヤとした感情がなんなのか分からず、イライラする。このモヤモヤを晴らすべく、アイツに話し掛けようと何度か試みたが、アイツはいつも女数人と一緒に居て、チャンスがまだ巡って来ない。
どうすっかなぁ。と昼休みに考えながら廊下を歩いていると保健室に名前がいるのが見えた。そう言えば、昨日、絡んで来た奴らと喧嘩して腕を怪我したのを思い出した。別に放っておけば良いくらいの小せぇモンだが、話し掛けるきっかけにはなる。
勢いよく保健室のドアを開けると、驚いた顔をしてオレを見た後、名前は直ぐに目線を逸らした。
「センコーは?」
「職員会議です。何か先生に用事でもありましたか?」
「怪我診てもらおうと思ってよぉ」
「あ、私がやります。そこに座ってください」
椅子に座って腕を出すと、名前はテキパキと手当を始めた。その無駄のない素早い動きを目で追った。フと顔を上げて、顔を凝視していると視線を感じたのか、名前も顔を上げた。目が合った瞬間に勢いよく目を逸らされ、軽くイラッとする。
「オイ、何で目ぇ逸らすんだよ」
「さぁ…?何ででしょうか?」
「オレが聞いてんだよ」
「そうですよね…」
ハッキリとしねぇ答えにも、何故か敬語な事にもイライラが募る。敬語って事は、同じクラスだと認知されてねぇのか?なんだコイツ。と思ったが、つい最近まで、知らなかったオレが言えた立場じゃねぇなと思い、言葉を飲み込んだ。
視線を落とすと、そこには意味もなくミイラのようにグルグルに巻かれた自分の腕が視界に入った。
「それ、巻きすぎだろ。動きずれぇわ」
「あっ!すみません!ごめんなさい!」
慌てて、全力で謝ってくるコイツを見て吹き出して笑ってしまった。
「つーか、オマエ、オレの事知ってるか?」
「あ、はい。同じクラスの場地圭介君」
「何で敬語なんだよ」
「何となく、敬語の方が良いかと」
「はぁ?意味わかんねぇ。普通にしろよ」
「うん。できる限り、そうする」
「で?さっきからなんでこっち見ねぇの?」
「それは…」
さっきから煮え切らない返事ばっかだし、他の奴にはよく笑う癖にオレには笑わねぇのが気に食わねぇ。ずっと見てんのに全く視線が合わない事にムカついて名前のネクタイを掴み引っ張ってこっちを強引に向かせた。驚いたように大きく開かれた目と視線が合う。
「やっと目が合ったな」
すると、名前は一気に頬を赤く染めて、手をバタバタさせ始めた。自分の行動1つでこんなにも面白ぇ反応返ってくる事に笑いが出そうになる。
掴んでいたネクタイを奪い取り、固まっている名前を置いて、保健室を出て行こうとすると、ハッと我に返ったのか慌てて椅子から立ち上がった。
「え、待って!怪我の手当終わってない…!」
「ア?こんくらい放置でいーだろ」
「じゃあ、なんで来たの?」
「名前がここにいるの見えたから」
「え?それってどういう事…?」
「そのままの意味しかねーだろ」
自然と目で追ってしまうのも、からかいたくなるのも、自分にだけ笑顔を向けて欲しいと思うのも、答えは1つしかなかった。モヤモヤとしていた事が解り、一気に気持ちが晴れて行った。
「え?ちょっと、私のネクタイ返して…!」
手を伸ばして来る名前にネクタイを見せ付けるようにヒラヒラとさせながら「取りに来いよ」と言ってから、ドアを閉めた。
この後、どんなツラして取りに来るのかを想像すると、面白くなって来た。
「どうやって、オレのモンにすっかなぁ」
退屈な学校が刺激的な毎日になりそうだ。