夏への扉
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「暑っつい…」
「うるせぇな。そう言ってると余計暑く感じるだろうが」
季節は真夏。セミがやかましく鳴く暑い夏の午後。灼熱の太陽が1番主張する時間だ。
アスファルトの照り返しが余計に暑く感じさせる。コンビニへ行こうと話になり、2人で歩いているが、既に後悔。なんたって暑すぎる。
こんなに暑いなら家にいてダラダラしてた方がマシだった。
「コンビニってこんなに遠かったっけ?」
「歩いて10分だろ」
「単車乗ってくれば良かったじゃん」
「この距離で楽しようとすんじゃねぇよ」
ケチだ。一虎はすっごくケチだ。そのくらいいいじゃんか。心の中で文句を言いながら黙々と歩き続ける。言ったら後で酷い目に合うのは分かっているので、あえて口に出さない。
この人は容赦せず倍で仕返しに来るからね…。
「ん?あれ、何?」
目の前に落ちている茶色い物体が見え、一虎の腕を掴み、足を止める。
「あ?セミの死骸じゃね?」
「ねぇ、アレ動かないよね?」
「多分」
「ちょ!多分じゃないよ!」
「暑っちぃんだから、さっさと行くぞ!」
スタスタと歩き出す一虎の腕にしがみ付いて、ビクビクしながらセミの死骸の横を通ろうとした時、足元でバタバタとセミが動き始めたのが視界に入る。
「うわっ!」
「ぎゃぁぁぁぁあ!」
私達は驚いて全力で逃げようとするが腕を組んでいて、思うように逃げられない。
「おい!早く走れよ!」
「これでも、全力だよ…!」
絶叫しながら全力で走って逃げる一虎に引っ張られながらも懸命に走る。セミが見えなくなる所まで走って、お互い脚を止めてお互いの顔を見合う。ジワジワと笑いが込み上げて来て、同じ事を思ったのか、一虎も同じタイミングで吹き出し笑い始めた。
「ねぇ、一虎も怖かったの?うわって言ってたよ?」
「オマエの叫び声、女じゃねーって」
2人してバカみたいに驚いて逃げ惑った事が可笑しくて、お腹抱えて笑ってしまう。
「一虎って虫とか平気で真顔で潰してそうな癖に」
「どんなイメージだよ」
「意外と虫が怖いんだ?可愛い所あるじゃん!」
「怖くねぇよ、苦手なだけ」
「可愛い〜!」
「可愛いとか喧嘩売ってんの?」
そんな事を言いながらも、口元は緩んでいて全然怖くない。いつも、こんな風なら怖くないのになぁ。一虎は顔は良いが、完全に見た目は不良だ。パンチパーマに柄シャツだし…。口も悪いし、喧嘩っ早い。彼女である私に対しても口が悪いのは変わらないし、機嫌が悪ければ平気でガン飛ばしてくる。まぁ、優しい所もある事は知っているから、そんな所も許せてしまうのだが。
「コンビニでアイス買おうぜ。走ったから余計に暑ぃ」
「そうしよっか」
全力で走ったおかげで、コンビニはもう目の前だ。コンビニに入り、アイスキャンディーを買って外に出て、歩いて来た道を戻り、途中にある公園のベンチに腰掛けてアイスを食べ始める。
「あー、生き返る」
「オッサンみたいだよ」
そう言いつつも、確かに生き返る気分だ。
黙々とアイスを食べていると、一虎がこちらをガン見している事に気付いた。
「どうかしたの?」
「別に」
何なんだ?と疑問に思っていると、突然視界が暗くなった。
「えっ、何?」
そう聞いた瞬間、唇に冷たくて柔らかい感触がして、驚いて手に持っていたアイスを落としてしまった。視界が明るくなり、一虎の手で目隠しされていた事にやっと思考が追いつき、理解する。
「今のって…」
「知らねぇ」
「アイス落としちゃったじゃん」
「オレのやるよ」
そう言って差し出してくれた一虎の食べかけのアイスを受け取り口に運ぶ。
「本当、あちぃな」
「そうだね」
「今度、海行こーぜ」
「いいね、行こうよ。夏だしね」
私の顔がさっきより熱いのは、きっと夏のせいだけじゃないハズ。これからもっと熱い夏が始まりそうだ。
「うるせぇな。そう言ってると余計暑く感じるだろうが」
季節は真夏。セミがやかましく鳴く暑い夏の午後。灼熱の太陽が1番主張する時間だ。
アスファルトの照り返しが余計に暑く感じさせる。コンビニへ行こうと話になり、2人で歩いているが、既に後悔。なんたって暑すぎる。
こんなに暑いなら家にいてダラダラしてた方がマシだった。
「コンビニってこんなに遠かったっけ?」
「歩いて10分だろ」
「単車乗ってくれば良かったじゃん」
「この距離で楽しようとすんじゃねぇよ」
ケチだ。一虎はすっごくケチだ。そのくらいいいじゃんか。心の中で文句を言いながら黙々と歩き続ける。言ったら後で酷い目に合うのは分かっているので、あえて口に出さない。
この人は容赦せず倍で仕返しに来るからね…。
「ん?あれ、何?」
目の前に落ちている茶色い物体が見え、一虎の腕を掴み、足を止める。
「あ?セミの死骸じゃね?」
「ねぇ、アレ動かないよね?」
「多分」
「ちょ!多分じゃないよ!」
「暑っちぃんだから、さっさと行くぞ!」
スタスタと歩き出す一虎の腕にしがみ付いて、ビクビクしながらセミの死骸の横を通ろうとした時、足元でバタバタとセミが動き始めたのが視界に入る。
「うわっ!」
「ぎゃぁぁぁぁあ!」
私達は驚いて全力で逃げようとするが腕を組んでいて、思うように逃げられない。
「おい!早く走れよ!」
「これでも、全力だよ…!」
絶叫しながら全力で走って逃げる一虎に引っ張られながらも懸命に走る。セミが見えなくなる所まで走って、お互い脚を止めてお互いの顔を見合う。ジワジワと笑いが込み上げて来て、同じ事を思ったのか、一虎も同じタイミングで吹き出し笑い始めた。
「ねぇ、一虎も怖かったの?うわって言ってたよ?」
「オマエの叫び声、女じゃねーって」
2人してバカみたいに驚いて逃げ惑った事が可笑しくて、お腹抱えて笑ってしまう。
「一虎って虫とか平気で真顔で潰してそうな癖に」
「どんなイメージだよ」
「意外と虫が怖いんだ?可愛い所あるじゃん!」
「怖くねぇよ、苦手なだけ」
「可愛い〜!」
「可愛いとか喧嘩売ってんの?」
そんな事を言いながらも、口元は緩んでいて全然怖くない。いつも、こんな風なら怖くないのになぁ。一虎は顔は良いが、完全に見た目は不良だ。パンチパーマに柄シャツだし…。口も悪いし、喧嘩っ早い。彼女である私に対しても口が悪いのは変わらないし、機嫌が悪ければ平気でガン飛ばしてくる。まぁ、優しい所もある事は知っているから、そんな所も許せてしまうのだが。
「コンビニでアイス買おうぜ。走ったから余計に暑ぃ」
「そうしよっか」
全力で走ったおかげで、コンビニはもう目の前だ。コンビニに入り、アイスキャンディーを買って外に出て、歩いて来た道を戻り、途中にある公園のベンチに腰掛けてアイスを食べ始める。
「あー、生き返る」
「オッサンみたいだよ」
そう言いつつも、確かに生き返る気分だ。
黙々とアイスを食べていると、一虎がこちらをガン見している事に気付いた。
「どうかしたの?」
「別に」
何なんだ?と疑問に思っていると、突然視界が暗くなった。
「えっ、何?」
そう聞いた瞬間、唇に冷たくて柔らかい感触がして、驚いて手に持っていたアイスを落としてしまった。視界が明るくなり、一虎の手で目隠しされていた事にやっと思考が追いつき、理解する。
「今のって…」
「知らねぇ」
「アイス落としちゃったじゃん」
「オレのやるよ」
そう言って差し出してくれた一虎の食べかけのアイスを受け取り口に運ぶ。
「本当、あちぃな」
「そうだね」
「今度、海行こーぜ」
「いいね、行こうよ。夏だしね」
私の顔がさっきより熱いのは、きっと夏のせいだけじゃないハズ。これからもっと熱い夏が始まりそうだ。