策士
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集会も終わり、駐車場で待つ明日香の元へ行こうと歩いていると、後ろから名前を呼ばれた。振り返らなくても声で誰かなんて分かってしまった為、そのまま前を向いたまま歩き続けながら、返事をした。
「ンだよ、三ツ谷ぁ」
「チラっとくらい振り返れよな」
「声で分かるっつーの」
三ツ谷は隣に並んで歩き出し、オレの顔を覗き込むようにして見てきて、ニッと笑った。
「今日、明日香来てたな」
「あぁ。エマが来るっつーから、誘った」
「へぇ、オマエがねぇ」
さっきから、ずっとニヤニヤとしているコイツが気味が悪い。何がそんなに面白ぇんだ。
「明日香とはどうなんだ?」
「あ?何が」
「何がって分かってんだろ?いつ告白すんだよ?」
「何でする前提で話進めてんだよ」
「しねぇの?」
まるで、自分を試して来るかのような挑発的な笑みを浮かべる三ツ谷を軽く睨み付けた。
コイツは昔から周りをよく見ているからか、察しが良すぎて、こういうお節介な所はあまり好きじゃない。何かとアイツとの事をいちいち聞いてくる。
だけど、本当に嫌な部分には触れて来る事はなく、絶妙な部分で触れて来る。一年前の時の事は、察しの良い三ツ谷なら、何かあった事は気付いているはずだ。だけど、その時も今も何も触れては来なかった。
オレも明日香も触れて欲しくない事だと言う事に勘づいているからだろう。
そういう所が昔から気に食わなかった。自分には出来ないような気遣いが平気で出来るし、自分にはないモノを持っている。それは、素直にスゲェと思うのと同時に羨ましくもあった。そんな事から、三ツ谷には何かとライバル視してしまう所も多々あった様な気がする。
「別に。くだらねぇ事言ってんじゃねぇよ」
「ふーん?じゃあさ、明日香の事はオレが貰っていい?」
「…は?」
突然の発言に思わず歩みを止め、顔をバッと見てしまった。
さっきと変わらない軽い口調で言ってはいるが笑みは消え、表情は真剣だった。
「…オレに聞いてどうすんだよ」
「そうだよなぁ。決めんのはオレでもオマエでもなく、明日香だもんな?」
「三ツ谷、オマエ…」
すぐに三ツ谷の言いたい事が分かってしまった。多分、明日香の為、幸せ、そんな事をグダグダ一人で考えて、未だに何も告げられない事に三ツ谷は気付いている。
「オマエはさ、考えるより先に行動に移す直感タイプだろ?だったら、グダグダ悩んでねーでサッサといけよ。オマエらしくねぇ」
本当にこういう所が腹立つくらいに凄ぇと思う。例え、三ツ谷がそう悩んでいたって自分にはそんな事、言えないし、言おうとも思わない。
未だに黙っているオレを見て、三ツ谷は小さく鼻で笑った。
「オマエがいつまでも、ぼんやりしてっと、マジで貰うかんな」
今度は軽い口調なんかじゃなく、本気が滲んでいる口調で言い放つ、三ツ谷に呆気に取られてしまった。その間にも三ツ谷は先に歩いて行ってしまったので、今度は自分が追いかけて、隣に並んだ。
コイツの本音は一体どっちなんだと考えながら階段を降りていると、オレらに気付いた明日香とエマが手を振って来るのが見えた。
三ツ谷は手をヒラヒラと振り返していたが、オレはそんなの余裕もなく、先程の三ツ谷の言葉がグルグルと頭の中を巡っていた。
「二人ともお疲れ様」
「あぁ。ありがとう」
会話に入って行く事が出来ず、三ツ谷と明日香の会話をぼんやりと眺めていると、向かい合って笑っている二人が妙に似合っているような気がして、胸から喉の辺りにかけてモヤモヤと気持ち悪い何かが上ってきた感じがした。
気が付けば、二人の間に割り込み、自分の手は明日香頭をガシッと掴んでいた。
きっと、これは焦りだ。マジで取られてしまうんじゃねぇかと、自分の傍から明日香が居なくなってしまうんじゃねぇかという、焦燥感に駆られ、咄嗟に口から出てしまった言葉は「コイツ…オレのだから」だった。
…オレは何を言っているんだ?
自分の言動に疑問に思った時には、もう既に遅かった。ニヤニヤとした顔で自分を見る三ツ谷の顔が視界に入ってしまった。
ウゼェ顔を見たくなくて、エマのギャーギャーとうるせぇ声にもイラついたので、その場から一刻も早く立ち去りたくて「帰る」と一言だけ残して踵を返した。
背後から聞こえる「効果あったな〜」という三ツ谷の声に更にイラッとして「早くしろ!」なんて大きな声を出してしまった。
クッッソ、これでもう後には引けねぇ。
三ツ谷だけじゃなく、他の誰にも渡したくはねぇとハッキリと分かったからには、引く気は一切無くなった。
後から必死に追い付いて、隣に並んだ明日香の顔を横目で盗み見ながら、どんな言葉で伝えようか考えた。
「ンだよ、三ツ谷ぁ」
「チラっとくらい振り返れよな」
「声で分かるっつーの」
三ツ谷は隣に並んで歩き出し、オレの顔を覗き込むようにして見てきて、ニッと笑った。
「今日、明日香来てたな」
「あぁ。エマが来るっつーから、誘った」
「へぇ、オマエがねぇ」
さっきから、ずっとニヤニヤとしているコイツが気味が悪い。何がそんなに面白ぇんだ。
「明日香とはどうなんだ?」
「あ?何が」
「何がって分かってんだろ?いつ告白すんだよ?」
「何でする前提で話進めてんだよ」
「しねぇの?」
まるで、自分を試して来るかのような挑発的な笑みを浮かべる三ツ谷を軽く睨み付けた。
コイツは昔から周りをよく見ているからか、察しが良すぎて、こういうお節介な所はあまり好きじゃない。何かとアイツとの事をいちいち聞いてくる。
だけど、本当に嫌な部分には触れて来る事はなく、絶妙な部分で触れて来る。一年前の時の事は、察しの良い三ツ谷なら、何かあった事は気付いているはずだ。だけど、その時も今も何も触れては来なかった。
オレも明日香も触れて欲しくない事だと言う事に勘づいているからだろう。
そういう所が昔から気に食わなかった。自分には出来ないような気遣いが平気で出来るし、自分にはないモノを持っている。それは、素直にスゲェと思うのと同時に羨ましくもあった。そんな事から、三ツ谷には何かとライバル視してしまう所も多々あった様な気がする。
「別に。くだらねぇ事言ってんじゃねぇよ」
「ふーん?じゃあさ、明日香の事はオレが貰っていい?」
「…は?」
突然の発言に思わず歩みを止め、顔をバッと見てしまった。
さっきと変わらない軽い口調で言ってはいるが笑みは消え、表情は真剣だった。
「…オレに聞いてどうすんだよ」
「そうだよなぁ。決めんのはオレでもオマエでもなく、明日香だもんな?」
「三ツ谷、オマエ…」
すぐに三ツ谷の言いたい事が分かってしまった。多分、明日香の為、幸せ、そんな事をグダグダ一人で考えて、未だに何も告げられない事に三ツ谷は気付いている。
「オマエはさ、考えるより先に行動に移す直感タイプだろ?だったら、グダグダ悩んでねーでサッサといけよ。オマエらしくねぇ」
本当にこういう所が腹立つくらいに凄ぇと思う。例え、三ツ谷がそう悩んでいたって自分にはそんな事、言えないし、言おうとも思わない。
未だに黙っているオレを見て、三ツ谷は小さく鼻で笑った。
「オマエがいつまでも、ぼんやりしてっと、マジで貰うかんな」
今度は軽い口調なんかじゃなく、本気が滲んでいる口調で言い放つ、三ツ谷に呆気に取られてしまった。その間にも三ツ谷は先に歩いて行ってしまったので、今度は自分が追いかけて、隣に並んだ。
コイツの本音は一体どっちなんだと考えながら階段を降りていると、オレらに気付いた明日香とエマが手を振って来るのが見えた。
三ツ谷は手をヒラヒラと振り返していたが、オレはそんなの余裕もなく、先程の三ツ谷の言葉がグルグルと頭の中を巡っていた。
「二人ともお疲れ様」
「あぁ。ありがとう」
会話に入って行く事が出来ず、三ツ谷と明日香の会話をぼんやりと眺めていると、向かい合って笑っている二人が妙に似合っているような気がして、胸から喉の辺りにかけてモヤモヤと気持ち悪い何かが上ってきた感じがした。
気が付けば、二人の間に割り込み、自分の手は明日香頭をガシッと掴んでいた。
きっと、これは焦りだ。マジで取られてしまうんじゃねぇかと、自分の傍から明日香が居なくなってしまうんじゃねぇかという、焦燥感に駆られ、咄嗟に口から出てしまった言葉は「コイツ…オレのだから」だった。
…オレは何を言っているんだ?
自分の言動に疑問に思った時には、もう既に遅かった。ニヤニヤとした顔で自分を見る三ツ谷の顔が視界に入ってしまった。
ウゼェ顔を見たくなくて、エマのギャーギャーとうるせぇ声にもイラついたので、その場から一刻も早く立ち去りたくて「帰る」と一言だけ残して踵を返した。
背後から聞こえる「効果あったな〜」という三ツ谷の声に更にイラッとして「早くしろ!」なんて大きな声を出してしまった。
クッッソ、これでもう後には引けねぇ。
三ツ谷だけじゃなく、他の誰にも渡したくはねぇとハッキリと分かったからには、引く気は一切無くなった。
後から必死に追い付いて、隣に並んだ明日香の顔を横目で盗み見ながら、どんな言葉で伝えようか考えた。
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