君と紡ぐ物語
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世はまさに大海賊時代。力無きもの達は虐げられる世の中。
それは海賊だけに収まらず、権力を持つ者。天竜人や世界政府によっても同じ事だった。
世界政府は超広域に影響力を持つ国際組織であり、170カ国以上が加盟国となっている。
トップには世界最高権力でもある五老星を初めとし、天竜人、その下に世界政府に属する武力を掌握する世界政府総師がいて、その下に海軍等の軍事組織や公安組織がつく。
一見、世界の秩序を守るべく存在しているかのようだが、神と呼ばれる天竜人は人間や魚人、生けるもの全てをゴミやおもちゃのように扱い、平気で私利私欲の為に奴隷とする。
奴隷扱いを受けた人々は人間以下の烙印を押され、例え解放されたとしても、その事実と記憶が苦しめ虐げ続けられていた。
天竜人は800年前に世界政府を設立したのち、現在のマリージョアに住むようになった19人の王族の末裔たちである為、天竜人には誰も逆らえず、海軍すらも味方につけ好き勝手をしている。
そんな不条理な世界を、そんな世界を作り出す天竜人を倒すべく、立ち上がったのは革命家、ドラゴン率いる革命軍。
世界を本来あるべき姿にただそうと世界中にその思想を広め、悪政や圧政を行う国々にクーデターを起こしたり、ゆくゆくは天竜人に宣戦布告をしてその座から引きずり降ろす事が革命軍の目的だ。
革命軍は世間的には反政府組織として扱われているが簡単な話、人々は自由であるべきだと唱え、人々の自由の為に戦っている。そんな革命軍の情報管制官として所属しているのが私だ。
元々、私は戦争孤児で廃れた街に居た所を革命軍に保護され、そのまま革命軍に志願して所属したのが始まりだった。
最初は現場に出て戦って市民を守りたいだとか思い、格闘訓練も毎日励んでいたのだが、人には向き不向きというものがある。
私には格闘は向いていなかったようで、魚人空手師範のハックに魚人空手も教わったのだが、多少は使えるものの才能は開花せず。
一方、1つ歳上でほぼ同期のコアラさんはメキメキと頭角を表しその実力を伸ばし、今では私とは天と地の差が生まれてしまった。
逆に私に向いていたのは身体を動かす事よりも頭を使う方で情報管制官の仕事で戦闘は向いていなかったが、こういった別の形で革命軍の役に立てる事を嬉しく思う。
私が革命軍に入ったのは13歳の時。コアラさんとはほぼ同期と言うのは、私が彼女の数ヶ月後に入隊したからだ。歳も近かった為に何かと私の面倒をみてくれてのがコアラさんだった。
革命軍には同年代があまり居なく、居るとしたらNo.2の参謀総長、サボが同年代。
彼は私と同年齢だが、革命軍としては先輩であり、今では上司に当たる人物になる。
昔はコアラさんとサボさんとは歳が近かったということもあり、雑用を共にしたり、他愛もない話をよくしていたが、今ではあまりしなくなった。
2人はどんどんと実力を伸ばしていき、任務にもたくさん出るようになり、今では幹部とNo.2にまで登り詰めている。今の私とほぼ関わりがないのは、そういう事だ。
幹部と平隊員では比にならないくらいに幹部たちは忙しく、潜入などで本部のバルティゴに滞在している方が少ない。
話すとしても情報管制官で掴んだ情報を伝達するくらいだ。
仕事中にプライベートな話をするはずも無く、忙しい2人は情報を聞いたら直ぐに部屋を飛び出して行ってしまうのが常だった。
本当なら私も二人と一緒に潜入だったり、現地に行くことを志願していたから、置いてけぼりになっているような気もして寂しくもある。
だけど、そんな事を言っていられないくらいに管制官の仕事だって山ほどあるし、世界情勢も悪くなる一方だ。
個人的感情の劣等感なんか押し殺して仕事に徹しなければならない。
「この戦況解析ってどこまで進んでる?」
「それならドラゴンさんに確認してもらってあるので、後は幹部に伝達するだけです」
「そうか。じゃあ、今行ってきてくれないか。サボの所に」
「分かりました」
情報管制官の中で指揮をとっているのが今、私に話しかけてきたテリー・ギルテオだ。
カンガルーのような被り物をしているのが特徴的な人で初めて情報管制官として配属された時はギルテオさんの強面にビビってしまっていた。だけど、そのファンシーな被り物のおかげで幾分か緩和されて恐る恐る話しかければ、普通に話しやすい人だったのを覚えている。
情報管制官としてのノウハウを全て叩き込んでくれたのもギルテオさんだ。今では、ギルテオさんの右腕として活動できるようにはなり、自分で言うのもなんだが、だいぶ成長したと思う。
「では、行ってきます」
管制室に声をかけてから外に出て、参謀総長の部屋へと歩を進めた。
正直なところ、行きたくないと言うのが本音だ。少し前だったら何も思わなかったのだが、今日に限っては昔の事を少しだけ思い出してしまった為、感傷に浸っているのでせめて明日にして欲しいと心の中では思っていた。
まぁ、要件人間の参謀総長のことだから、いつも要件だけを話して終わりになるので今回もそうなるだろう。だから、別に変に身構えなくてもいいのだけれど。
目の前に参謀総長の部屋が見えたのでドアの前で立ち止まり、数回ノックをしてみるものの中からは反応が一切ない。
部屋には居ないのかと思い、資料室で情報を漁っているのかとか、外で格闘訓練をしているのかと色々と思い付く限りの場所に足を運んでもどこにも居らず、途方に暮れる。
今は任務に当たっているという情報はないし、本部のどこかに居るはずなのだがどこにいるのだろうと頭を悩ませていると背後から声をかけられた。
振り向けば、そこにはコアラが満面の笑みで手をブンブンと振っている。
「久しぶりだね、ナマエちゃん!何か探してたみたいだけど、どうしたの?」
「お久しぶりです。今、総長を探してまして。解析を終えた資料を渡して来て欲しいってギルテオさんから頼まれているんです」
「サボ君?今日は休みだから部屋にいると思うよ」
「そうなんですか?先ほど、部屋まで行ってノックしたのですが、反応はありませんでした」
「寝てるんじゃないかな。サボ君、昨日まで四徹してたから」
四徹となればそれは泥のように眠っているはずだ。そんな人を相手に起きて顔を出せとか資料を受け取って読めとか鬼畜な事は出来ない。
そっと寝かしておいてあげたい。
「では、起こしてしまったら申し訳ないのでまた改めます。…あ、それか今、コアラさんに渡してもいいですか?この国への侵攻は総長たちのチームでの予定だと伺っていますので」
「そうだけど。やっぱり、それはナマエちゃんからサボ君に渡してあげて欲しいな」
「そうですよね。自分の仕事なのに上官に押し付けるような真似をしてしまい、申し訳ありませんでした。自分で行きます」
丁寧に腰を45度に曲げて頭を下げれば、コアラさんは慌てて頭を上げるように言って来る。
「そういう意味で言ったんじゃない」と言っているが、他に理由なんてあるのか。
顔を上げて、ジッとコアラさんの顔を見つめていると彼女は少し困ったように笑った。
「今、かなり疲れていると思うから、ナマエちゃんが行った方が喜ぶと思うの」
「疲れているなら余計に控えた方がいいのでは」
「まぁまぁ。行けば分かるって!」
コアラさんにグイグイと背中を押されて総長の部屋がある方へ数歩、前へ出る。
ちょっぴり強引な所とか昔と変わらないなと思っていると、コアラさんは背後から人懐っこい笑みを覗かせた。
「今度、休みが被ったらランチにでも行こうよ」
「コアラさんと休みが被る時、ありますかね」
「あー!もう!さっきからナマエちゃんのその呼び方やだー!」
「呼び方…?」
「昔はずっとコアラちゃんって呼んでくれてたのにー!」
ぷくっと頬を膨らませて拗ねた表情を作るコアラさんは同性の私からみてもとても可愛い。
こんなに女性らしくて可愛いのに戦闘は強いし、しっかりしてて面倒見もいい。非の打ち所がなく、むしろ悪い所なんてあるのか?と思うほどだ。
「いえ、もうコアラさんは上官なので」
昔は一緒にリンゴやじゃがいもの皮剥きなどの雑用もしていたなと懐かしさに浸っていると彼女の温かい指先が私の両頬をムニッと摘む。
突然の出来事に目を軽く見開くと眉を顰めたコアラさんが「寂しいじゃん!」と言った。
「では、仕事以外の時でしたら」
「本当はずっとがいいけど。ナマエちゃんの立場もあるし、無理強いは出来ないもんね。…うん、それでいいか!」
満足そうにニコッと笑ったコアラさんは再度、私の背中を押し「またね!」と軽い足取りでその場を立ち去った。
その後ろ姿を見送った後、もう一度総長の部屋まで出向き、ドアを三回ノックする。
だけど、やはり先程と同じで反応はない。
仕方ないので、デスクの上にメモを残して資料を置いておこうと決めて中の様子を伺うように静かにドアを開く。
中はもう昼だというのに薄暗くてもの静かだった。物音を立てないように忍足で中に入り、壁際にあるデスクに向かう。
途中でベッドにこんもりとした膨らみが視界に入り、総長がそこに居ることが分かった。
視界に入れてしまうと、余計に起こしてはならないと緊張感が走る。
ゆっくりと歩き、デスクにたどり着くとシャツの胸ポケットからボールペンとスカートのポケットから付箋を取り出して簡潔に要件だけを記載する。
書き終わった付箋を資料に貼り付けてソッとデスクに置いたのと同時にゴソゴソと毛布が擦れる音が聞こえ、ビクッと肩が震えた。
「…誰だ?」
寝起き特有の掠れたような声が背後から聞こえ恐る恐る振り返れば、眠たそうにとろんとさせた総長の瞳と起こしてしまった事への申し訳なさで揺れた私の瞳がぶつかる。
私の顔を見た総長は驚いたように微かに目を見開き、私の名前を呟いた。
「総長、お休みの所すみません。ギルテオさんに頼まれた資料を届けに来たのですが反応がなかったので。コアラさんに渡そうと思ったのですが、直接渡して欲しいと言われてしまったので失礼ながら入らせて頂きました。デスクの上に資料を置きましたのでお手隙の際に確認をお願いします。では、要件は済みましたので直ちに退出致します」
捲し立てるように早口で言い訳めいた事を含めながら一気に話す。私の勢いに驚いたような表情のまま固まってしまった総長に頭を下げて部屋を出ていこうとすると、我に返ったように「ちょっと、待て」と引き止められてしまった。
上官の部屋に不法侵入者のような行動をしてしまった事を咎められると思い、もう一度深々と頭を下げて「勝手に入って申し訳ありませんでした」と告げる。
「いや、それは別に気にしてねェよ」
「では、他に何か頼みたい仕事でもありますか。急ぎの案件でしたら早急に取り掛からせて頂きますが」
右手を額に当てて「待て待て待て」と首を横に振りながらそう呟いた総長の次に続く言葉を黙って待っていると、顔を上げて「おれが言いたいのは仕事の話じゃない」と言う。
他に何がある?と考えてみると先ほどコアラさんが言っていた四徹明けという事を思いだす。
少し寝たらお腹でも空いたのだろうか。
「何か必要なものでもありますか。欲しいものがあれば食堂に行って貰って来ます」
「だから、そうじゃねェって。少しは人の話を聞け」
要件人間の総長には言われたくないセリフNo.1だという失礼な発言は心の中で留めておく。
「では、なんでしょう」と黙って総長の顔をジッと見つめる。だけど、総長もまた黙ったまま私の顔をジッと見つめた。
異様な空間がこの部屋を包み込む。
そろそろ管制室に戻りたい。仕事も溜まっている。そんな感情が心を占め始めた。
「総長、どうしましたか?要がなければ、私は仕事に戻りたいのですが」
「まず、その呼び方と話し方やめてくれねェか?」
「なにを言っているんですか」
「まさか、おれの名前を知らないとかないよな?」
少しだけ傷付いたように眉を下げる総長の顔を見て、怪訝に眉を顰めてしまう。
革命軍に入りたての頃は一緒に雑用をしていたのに知らないとかのか?と聞かれるなんて、私はどれだけ薄情な女だと思われているんだろう。いくらなんでも心外だ。
「流石に知っていますよ」
「じゃあ、なんで名前で呼んでくれねェんだ」
「では、サボさんと呼べばいいですか」
今日はコアラさんといい、サボさんといい何故そんな事を言って来るのだろう。今までそう呼んでも気に留めることなんて一度もなかったというのに。
だけど、サボさんはそれすら不満なようでムスッとした表情を崩さない。
「前はサボって呼び捨てだったろ」
「昔と今では違います。今の貴方は私の上司です」
「おれ、今はプライベートなんだけど」
だからなんだ、と大声で言いたくなってしまうが上司に向かってそんな言葉遣いしていい訳ない。
いち社会人としての常識であり、組織に所属している以上、それは徹底するべきだ。
例えば、プライベートだからといって総司令の事をドラゴンなんて呼ぶわけがない。そんな事をしたらあらゆる方面から刺されるか、最悪の場合首が飛んでしまうくらいのレベルだと私は思っている。
「私は仕事中です」
「頑なだな」
「サボさんこそ、急にどうしましたか。今までそんな事気にしていませんでしたよね」
「前から気になってはいたさ」
「そうですか。では、私は仕事に戻りますね」
話を打ち切り、そそくさと管制室に戻って仕事を片付けようと踵を返すが、再度「だから、待てって」と引き止められる。
まだ、何かあるのか。
「つまり、プライベートであればいいって事だな?」
だからなんだ、と二度目のその言葉が脳裏を過ぎる。コアラさんの時のように仕事以外の時ではサボと呼ぶと約束すれば、解放されるのかと考え、コアラさんの時同様の答えを口にしようとすると、サボさんはぶっ飛んだ発言を口にした。自分の耳を疑うほどに。
「今から、お前を口説いてもいいか」
「…はァ?」
思わず、素が出てしまうほどに呆気に取られてしまう。徹夜のしすぎで頭ぶっ壊れたか。
今すぐ寝た方がいい。どう考えてもまともじゃない。呼び捨てされたいが為に部下を口説いていいわけないだろう。
「随分、お疲れのようですね。もう一回寝たらどうでしょう。私はここで失礼致します」
変なことに巻き込まれる前にさっさと撤退しようとするががっしりと肩を掴まれてしまい、逃げることは出来ない。目を細めてサボさんを見るが、彼は自分が変な事を言った自覚はないようで「別に疲れてはいない」とすら言っている。
じゃあ、なんだ。…今日は、厄日か?
「ナマエの話を要約すれば、恋人になれば昔のように親しく接してくれる、という話だろ?」
「飛躍しすぎてて驚愕です。誰もそんなこと言った覚えはないのですが」
プライベート=恋人という発想がもう人とずれている。プライベートでも友人という選択肢だってあるだろう。
「別に恋人でなくても友人という形もありますが」
「それだけじゃ、おれが満足しねェ」
「知りませんよ、そんなこと」
呆れたように小さくため息を吐けば、サボさんはまたムッとしたような表情を浮かべた。それはまるで昔の姿と同じように見えて妙に居心地が悪くなってしまう。
サボさんは私の両肩に手を置いて、意を決したような眼差しを正面から向けて来た。
あまりにも真剣な表情に戸惑いが滲み出てしまう。
「昔から好きだった、って言っても信じてはくれないか?」
「…は?誰が誰を?」
また素が出てしまった。そんな突拍子もない事を言われるとは誰が予想しただろうか。
サボさんは自分と私を交互に指を差しながら「おれがナマエを」と言うので「お気を確かに」とバッサリと切り捨てれば、サボさんは少しだけ寂しそうに笑った。
そんな顔をされたら罪悪感が生まれ、チクリと胸が痛む。
サボさんは肩に置いていた手を滑らせて私の頬を両手で挟み、コツリと額と額をくっ付けた。
至近距離で合う視線に戸惑っていれば、彼はその大きな目を伏せる。
「どうしたら、信じてくれるんだ」
少しだけ震えたような声で絞り出された言葉に本気で言っていることを知る。「本気で言ってます…?」と返せば、「冗談でこんなこと言うような男に見えてんのか?」と不服そうに唇を尖らせた。
「だって、私にはなにも取り柄なんてないです。片やサボさんは革命軍の参謀総長ですし。好きになっていただく要素が見当たらないです」
「仕事に真面目なところ」
「はい?」
「何事にも一生懸命な所。保護した子供を気にかけてたり、休みの日にお菓子作ってあげてたりして凄い優しい所。あとは、笑った顔は昔から好きだったし。あとはたまに口悪くなる所も好きだし…「もういいです!!拷問ですか!?」」
急に始まった私の好きな所と称した拷問のようなメンタル攻撃。別に自己肯定感が低いわけではないが、はい、そうですかと受け入れられるほどに褒められ慣れてもいないし、自己肯定感も高くもない。
言葉を被せて止めた事が気に食わなかったようで、くっ付けていた額を少しだけ離してまたゴツんと音を立てながら、額を戻した。地味に喰らった頭突きはジンジンと痛んでいく。
「なんだよ、まだ終わってねェ。それに、お前が聞きたいって言ったんだろ」
「一言も言ってませんよ!」
「まァ、ナマエがおれの事をそういう風に見てないのは昔から知ってる」
「そうですね。ご期待に添えず、申し訳ありません」
サボさんの言う通り、昔も今もそういった目で見たことや淡い恋心を抱いた事は一度もない。
最初は破天荒な人だな、という印象でそのあとは今と同じ、遠い存在というべきか。上に立つのに相応しい実力を持った人であり、尊敬に値する人だった。
そして、私に恋愛感情を抱いてそんな風に見ていると感じた事は一度もないと記憶している。
「このままじゃ、ナマエとの距離は開く一方だし。だから、いっそこのまま口説いてやろうと思ってな」
「馬鹿なの!?」
上司と部下という立場を忘れて、本音がポロリ。しまったと思っても部下に馬鹿扱いされた上司は嬉しそうに笑うだけ。
「ははっ、そういうとこも好き」
そう告げるのと同時に額に落とされる柔らかい感触。それを理解した瞬間にバッと離れて顔を見るとサボさんは悪戯っ子のような笑みを浮かべていた。
「それはセクハラです。ドラゴンさんに言いつけますよ」
「それは困るな」
ピシャリと言い放っても人の話なんて何も聞いてはいない自由奔放ぶりを発揮して、口では困ると言っていても何も気には留めてはいない様子の革命軍、参謀総長を見て驚愕してしてしまう。
「これからお前を落とすつもりで本気で行くから、よろしく」
とんでもない宣戦布告を受け、試合開始のゴングを勝手に打ち鳴らされてしまった。
それは海賊だけに収まらず、権力を持つ者。天竜人や世界政府によっても同じ事だった。
世界政府は超広域に影響力を持つ国際組織であり、170カ国以上が加盟国となっている。
トップには世界最高権力でもある五老星を初めとし、天竜人、その下に世界政府に属する武力を掌握する世界政府総師がいて、その下に海軍等の軍事組織や公安組織がつく。
一見、世界の秩序を守るべく存在しているかのようだが、神と呼ばれる天竜人は人間や魚人、生けるもの全てをゴミやおもちゃのように扱い、平気で私利私欲の為に奴隷とする。
奴隷扱いを受けた人々は人間以下の烙印を押され、例え解放されたとしても、その事実と記憶が苦しめ虐げ続けられていた。
天竜人は800年前に世界政府を設立したのち、現在のマリージョアに住むようになった19人の王族の末裔たちである為、天竜人には誰も逆らえず、海軍すらも味方につけ好き勝手をしている。
そんな不条理な世界を、そんな世界を作り出す天竜人を倒すべく、立ち上がったのは革命家、ドラゴン率いる革命軍。
世界を本来あるべき姿にただそうと世界中にその思想を広め、悪政や圧政を行う国々にクーデターを起こしたり、ゆくゆくは天竜人に宣戦布告をしてその座から引きずり降ろす事が革命軍の目的だ。
革命軍は世間的には反政府組織として扱われているが簡単な話、人々は自由であるべきだと唱え、人々の自由の為に戦っている。そんな革命軍の情報管制官として所属しているのが私だ。
元々、私は戦争孤児で廃れた街に居た所を革命軍に保護され、そのまま革命軍に志願して所属したのが始まりだった。
最初は現場に出て戦って市民を守りたいだとか思い、格闘訓練も毎日励んでいたのだが、人には向き不向きというものがある。
私には格闘は向いていなかったようで、魚人空手師範のハックに魚人空手も教わったのだが、多少は使えるものの才能は開花せず。
一方、1つ歳上でほぼ同期のコアラさんはメキメキと頭角を表しその実力を伸ばし、今では私とは天と地の差が生まれてしまった。
逆に私に向いていたのは身体を動かす事よりも頭を使う方で情報管制官の仕事で戦闘は向いていなかったが、こういった別の形で革命軍の役に立てる事を嬉しく思う。
私が革命軍に入ったのは13歳の時。コアラさんとはほぼ同期と言うのは、私が彼女の数ヶ月後に入隊したからだ。歳も近かった為に何かと私の面倒をみてくれてのがコアラさんだった。
革命軍には同年代があまり居なく、居るとしたらNo.2の参謀総長、サボが同年代。
彼は私と同年齢だが、革命軍としては先輩であり、今では上司に当たる人物になる。
昔はコアラさんとサボさんとは歳が近かったということもあり、雑用を共にしたり、他愛もない話をよくしていたが、今ではあまりしなくなった。
2人はどんどんと実力を伸ばしていき、任務にもたくさん出るようになり、今では幹部とNo.2にまで登り詰めている。今の私とほぼ関わりがないのは、そういう事だ。
幹部と平隊員では比にならないくらいに幹部たちは忙しく、潜入などで本部のバルティゴに滞在している方が少ない。
話すとしても情報管制官で掴んだ情報を伝達するくらいだ。
仕事中にプライベートな話をするはずも無く、忙しい2人は情報を聞いたら直ぐに部屋を飛び出して行ってしまうのが常だった。
本当なら私も二人と一緒に潜入だったり、現地に行くことを志願していたから、置いてけぼりになっているような気もして寂しくもある。
だけど、そんな事を言っていられないくらいに管制官の仕事だって山ほどあるし、世界情勢も悪くなる一方だ。
個人的感情の劣等感なんか押し殺して仕事に徹しなければならない。
「この戦況解析ってどこまで進んでる?」
「それならドラゴンさんに確認してもらってあるので、後は幹部に伝達するだけです」
「そうか。じゃあ、今行ってきてくれないか。サボの所に」
「分かりました」
情報管制官の中で指揮をとっているのが今、私に話しかけてきたテリー・ギルテオだ。
カンガルーのような被り物をしているのが特徴的な人で初めて情報管制官として配属された時はギルテオさんの強面にビビってしまっていた。だけど、そのファンシーな被り物のおかげで幾分か緩和されて恐る恐る話しかければ、普通に話しやすい人だったのを覚えている。
情報管制官としてのノウハウを全て叩き込んでくれたのもギルテオさんだ。今では、ギルテオさんの右腕として活動できるようにはなり、自分で言うのもなんだが、だいぶ成長したと思う。
「では、行ってきます」
管制室に声をかけてから外に出て、参謀総長の部屋へと歩を進めた。
正直なところ、行きたくないと言うのが本音だ。少し前だったら何も思わなかったのだが、今日に限っては昔の事を少しだけ思い出してしまった為、感傷に浸っているのでせめて明日にして欲しいと心の中では思っていた。
まぁ、要件人間の参謀総長のことだから、いつも要件だけを話して終わりになるので今回もそうなるだろう。だから、別に変に身構えなくてもいいのだけれど。
目の前に参謀総長の部屋が見えたのでドアの前で立ち止まり、数回ノックをしてみるものの中からは反応が一切ない。
部屋には居ないのかと思い、資料室で情報を漁っているのかとか、外で格闘訓練をしているのかと色々と思い付く限りの場所に足を運んでもどこにも居らず、途方に暮れる。
今は任務に当たっているという情報はないし、本部のどこかに居るはずなのだがどこにいるのだろうと頭を悩ませていると背後から声をかけられた。
振り向けば、そこにはコアラが満面の笑みで手をブンブンと振っている。
「久しぶりだね、ナマエちゃん!何か探してたみたいだけど、どうしたの?」
「お久しぶりです。今、総長を探してまして。解析を終えた資料を渡して来て欲しいってギルテオさんから頼まれているんです」
「サボ君?今日は休みだから部屋にいると思うよ」
「そうなんですか?先ほど、部屋まで行ってノックしたのですが、反応はありませんでした」
「寝てるんじゃないかな。サボ君、昨日まで四徹してたから」
四徹となればそれは泥のように眠っているはずだ。そんな人を相手に起きて顔を出せとか資料を受け取って読めとか鬼畜な事は出来ない。
そっと寝かしておいてあげたい。
「では、起こしてしまったら申し訳ないのでまた改めます。…あ、それか今、コアラさんに渡してもいいですか?この国への侵攻は総長たちのチームでの予定だと伺っていますので」
「そうだけど。やっぱり、それはナマエちゃんからサボ君に渡してあげて欲しいな」
「そうですよね。自分の仕事なのに上官に押し付けるような真似をしてしまい、申し訳ありませんでした。自分で行きます」
丁寧に腰を45度に曲げて頭を下げれば、コアラさんは慌てて頭を上げるように言って来る。
「そういう意味で言ったんじゃない」と言っているが、他に理由なんてあるのか。
顔を上げて、ジッとコアラさんの顔を見つめていると彼女は少し困ったように笑った。
「今、かなり疲れていると思うから、ナマエちゃんが行った方が喜ぶと思うの」
「疲れているなら余計に控えた方がいいのでは」
「まぁまぁ。行けば分かるって!」
コアラさんにグイグイと背中を押されて総長の部屋がある方へ数歩、前へ出る。
ちょっぴり強引な所とか昔と変わらないなと思っていると、コアラさんは背後から人懐っこい笑みを覗かせた。
「今度、休みが被ったらランチにでも行こうよ」
「コアラさんと休みが被る時、ありますかね」
「あー!もう!さっきからナマエちゃんのその呼び方やだー!」
「呼び方…?」
「昔はずっとコアラちゃんって呼んでくれてたのにー!」
ぷくっと頬を膨らませて拗ねた表情を作るコアラさんは同性の私からみてもとても可愛い。
こんなに女性らしくて可愛いのに戦闘は強いし、しっかりしてて面倒見もいい。非の打ち所がなく、むしろ悪い所なんてあるのか?と思うほどだ。
「いえ、もうコアラさんは上官なので」
昔は一緒にリンゴやじゃがいもの皮剥きなどの雑用もしていたなと懐かしさに浸っていると彼女の温かい指先が私の両頬をムニッと摘む。
突然の出来事に目を軽く見開くと眉を顰めたコアラさんが「寂しいじゃん!」と言った。
「では、仕事以外の時でしたら」
「本当はずっとがいいけど。ナマエちゃんの立場もあるし、無理強いは出来ないもんね。…うん、それでいいか!」
満足そうにニコッと笑ったコアラさんは再度、私の背中を押し「またね!」と軽い足取りでその場を立ち去った。
その後ろ姿を見送った後、もう一度総長の部屋まで出向き、ドアを三回ノックする。
だけど、やはり先程と同じで反応はない。
仕方ないので、デスクの上にメモを残して資料を置いておこうと決めて中の様子を伺うように静かにドアを開く。
中はもう昼だというのに薄暗くてもの静かだった。物音を立てないように忍足で中に入り、壁際にあるデスクに向かう。
途中でベッドにこんもりとした膨らみが視界に入り、総長がそこに居ることが分かった。
視界に入れてしまうと、余計に起こしてはならないと緊張感が走る。
ゆっくりと歩き、デスクにたどり着くとシャツの胸ポケットからボールペンとスカートのポケットから付箋を取り出して簡潔に要件だけを記載する。
書き終わった付箋を資料に貼り付けてソッとデスクに置いたのと同時にゴソゴソと毛布が擦れる音が聞こえ、ビクッと肩が震えた。
「…誰だ?」
寝起き特有の掠れたような声が背後から聞こえ恐る恐る振り返れば、眠たそうにとろんとさせた総長の瞳と起こしてしまった事への申し訳なさで揺れた私の瞳がぶつかる。
私の顔を見た総長は驚いたように微かに目を見開き、私の名前を呟いた。
「総長、お休みの所すみません。ギルテオさんに頼まれた資料を届けに来たのですが反応がなかったので。コアラさんに渡そうと思ったのですが、直接渡して欲しいと言われてしまったので失礼ながら入らせて頂きました。デスクの上に資料を置きましたのでお手隙の際に確認をお願いします。では、要件は済みましたので直ちに退出致します」
捲し立てるように早口で言い訳めいた事を含めながら一気に話す。私の勢いに驚いたような表情のまま固まってしまった総長に頭を下げて部屋を出ていこうとすると、我に返ったように「ちょっと、待て」と引き止められてしまった。
上官の部屋に不法侵入者のような行動をしてしまった事を咎められると思い、もう一度深々と頭を下げて「勝手に入って申し訳ありませんでした」と告げる。
「いや、それは別に気にしてねェよ」
「では、他に何か頼みたい仕事でもありますか。急ぎの案件でしたら早急に取り掛からせて頂きますが」
右手を額に当てて「待て待て待て」と首を横に振りながらそう呟いた総長の次に続く言葉を黙って待っていると、顔を上げて「おれが言いたいのは仕事の話じゃない」と言う。
他に何がある?と考えてみると先ほどコアラさんが言っていた四徹明けという事を思いだす。
少し寝たらお腹でも空いたのだろうか。
「何か必要なものでもありますか。欲しいものがあれば食堂に行って貰って来ます」
「だから、そうじゃねェって。少しは人の話を聞け」
要件人間の総長には言われたくないセリフNo.1だという失礼な発言は心の中で留めておく。
「では、なんでしょう」と黙って総長の顔をジッと見つめる。だけど、総長もまた黙ったまま私の顔をジッと見つめた。
異様な空間がこの部屋を包み込む。
そろそろ管制室に戻りたい。仕事も溜まっている。そんな感情が心を占め始めた。
「総長、どうしましたか?要がなければ、私は仕事に戻りたいのですが」
「まず、その呼び方と話し方やめてくれねェか?」
「なにを言っているんですか」
「まさか、おれの名前を知らないとかないよな?」
少しだけ傷付いたように眉を下げる総長の顔を見て、怪訝に眉を顰めてしまう。
革命軍に入りたての頃は一緒に雑用をしていたのに知らないとかのか?と聞かれるなんて、私はどれだけ薄情な女だと思われているんだろう。いくらなんでも心外だ。
「流石に知っていますよ」
「じゃあ、なんで名前で呼んでくれねェんだ」
「では、サボさんと呼べばいいですか」
今日はコアラさんといい、サボさんといい何故そんな事を言って来るのだろう。今までそう呼んでも気に留めることなんて一度もなかったというのに。
だけど、サボさんはそれすら不満なようでムスッとした表情を崩さない。
「前はサボって呼び捨てだったろ」
「昔と今では違います。今の貴方は私の上司です」
「おれ、今はプライベートなんだけど」
だからなんだ、と大声で言いたくなってしまうが上司に向かってそんな言葉遣いしていい訳ない。
いち社会人としての常識であり、組織に所属している以上、それは徹底するべきだ。
例えば、プライベートだからといって総司令の事をドラゴンなんて呼ぶわけがない。そんな事をしたらあらゆる方面から刺されるか、最悪の場合首が飛んでしまうくらいのレベルだと私は思っている。
「私は仕事中です」
「頑なだな」
「サボさんこそ、急にどうしましたか。今までそんな事気にしていませんでしたよね」
「前から気になってはいたさ」
「そうですか。では、私は仕事に戻りますね」
話を打ち切り、そそくさと管制室に戻って仕事を片付けようと踵を返すが、再度「だから、待てって」と引き止められる。
まだ、何かあるのか。
「つまり、プライベートであればいいって事だな?」
だからなんだ、と二度目のその言葉が脳裏を過ぎる。コアラさんの時のように仕事以外の時ではサボと呼ぶと約束すれば、解放されるのかと考え、コアラさんの時同様の答えを口にしようとすると、サボさんはぶっ飛んだ発言を口にした。自分の耳を疑うほどに。
「今から、お前を口説いてもいいか」
「…はァ?」
思わず、素が出てしまうほどに呆気に取られてしまう。徹夜のしすぎで頭ぶっ壊れたか。
今すぐ寝た方がいい。どう考えてもまともじゃない。呼び捨てされたいが為に部下を口説いていいわけないだろう。
「随分、お疲れのようですね。もう一回寝たらどうでしょう。私はここで失礼致します」
変なことに巻き込まれる前にさっさと撤退しようとするががっしりと肩を掴まれてしまい、逃げることは出来ない。目を細めてサボさんを見るが、彼は自分が変な事を言った自覚はないようで「別に疲れてはいない」とすら言っている。
じゃあ、なんだ。…今日は、厄日か?
「ナマエの話を要約すれば、恋人になれば昔のように親しく接してくれる、という話だろ?」
「飛躍しすぎてて驚愕です。誰もそんなこと言った覚えはないのですが」
プライベート=恋人という発想がもう人とずれている。プライベートでも友人という選択肢だってあるだろう。
「別に恋人でなくても友人という形もありますが」
「それだけじゃ、おれが満足しねェ」
「知りませんよ、そんなこと」
呆れたように小さくため息を吐けば、サボさんはまたムッとしたような表情を浮かべた。それはまるで昔の姿と同じように見えて妙に居心地が悪くなってしまう。
サボさんは私の両肩に手を置いて、意を決したような眼差しを正面から向けて来た。
あまりにも真剣な表情に戸惑いが滲み出てしまう。
「昔から好きだった、って言っても信じてはくれないか?」
「…は?誰が誰を?」
また素が出てしまった。そんな突拍子もない事を言われるとは誰が予想しただろうか。
サボさんは自分と私を交互に指を差しながら「おれがナマエを」と言うので「お気を確かに」とバッサリと切り捨てれば、サボさんは少しだけ寂しそうに笑った。
そんな顔をされたら罪悪感が生まれ、チクリと胸が痛む。
サボさんは肩に置いていた手を滑らせて私の頬を両手で挟み、コツリと額と額をくっ付けた。
至近距離で合う視線に戸惑っていれば、彼はその大きな目を伏せる。
「どうしたら、信じてくれるんだ」
少しだけ震えたような声で絞り出された言葉に本気で言っていることを知る。「本気で言ってます…?」と返せば、「冗談でこんなこと言うような男に見えてんのか?」と不服そうに唇を尖らせた。
「だって、私にはなにも取り柄なんてないです。片やサボさんは革命軍の参謀総長ですし。好きになっていただく要素が見当たらないです」
「仕事に真面目なところ」
「はい?」
「何事にも一生懸命な所。保護した子供を気にかけてたり、休みの日にお菓子作ってあげてたりして凄い優しい所。あとは、笑った顔は昔から好きだったし。あとはたまに口悪くなる所も好きだし…「もういいです!!拷問ですか!?」」
急に始まった私の好きな所と称した拷問のようなメンタル攻撃。別に自己肯定感が低いわけではないが、はい、そうですかと受け入れられるほどに褒められ慣れてもいないし、自己肯定感も高くもない。
言葉を被せて止めた事が気に食わなかったようで、くっ付けていた額を少しだけ離してまたゴツんと音を立てながら、額を戻した。地味に喰らった頭突きはジンジンと痛んでいく。
「なんだよ、まだ終わってねェ。それに、お前が聞きたいって言ったんだろ」
「一言も言ってませんよ!」
「まァ、ナマエがおれの事をそういう風に見てないのは昔から知ってる」
「そうですね。ご期待に添えず、申し訳ありません」
サボさんの言う通り、昔も今もそういった目で見たことや淡い恋心を抱いた事は一度もない。
最初は破天荒な人だな、という印象でそのあとは今と同じ、遠い存在というべきか。上に立つのに相応しい実力を持った人であり、尊敬に値する人だった。
そして、私に恋愛感情を抱いてそんな風に見ていると感じた事は一度もないと記憶している。
「このままじゃ、ナマエとの距離は開く一方だし。だから、いっそこのまま口説いてやろうと思ってな」
「馬鹿なの!?」
上司と部下という立場を忘れて、本音がポロリ。しまったと思っても部下に馬鹿扱いされた上司は嬉しそうに笑うだけ。
「ははっ、そういうとこも好き」
そう告げるのと同時に額に落とされる柔らかい感触。それを理解した瞬間にバッと離れて顔を見るとサボさんは悪戯っ子のような笑みを浮かべていた。
「それはセクハラです。ドラゴンさんに言いつけますよ」
「それは困るな」
ピシャリと言い放っても人の話なんて何も聞いてはいない自由奔放ぶりを発揮して、口では困ると言っていても何も気には留めてはいない様子の革命軍、参謀総長を見て驚愕してしてしまう。
「これからお前を落とすつもりで本気で行くから、よろしく」
とんでもない宣戦布告を受け、試合開始のゴングを勝手に打ち鳴らされてしまった。
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