勿忘草
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公園からの帰り道を並んで歩く。場地の隣を十年以上も歩いて来たけれど、今日からは違う。
同じ隣だけど、昨日とは違う関係性に擽ったいような感情が沸いてくる。
幼馴染という枠を越えて、ようやく恋人という関係になれた。だけど、その後はどうしたらいいのだろうか。
場地は私の彼氏なんだと思う反面、彼氏という名前に慣れなくて、不思議な感覚だ。
チラッと場地を見あげると、いつもと変わらない横顔なのに、妙にカッコよく見えてしまった。恋人になった途端に、恋フィルターでも掛かってしまったようで、いつも以上にドキドキするし、そわそわと落ち着かない気分になる。
いつもどうやって接していたかすら、分からなくなった。
並んで歩いていると、私の左手と場地の右手の甲同士がコツンとぶつかった。
今日は歩く時の距離がいつもより近い。無意識に二人の間の距離を縮めてしまっていたみたいだ。一瞬触れた手の甲から、伝わった場地の体温にもっと触れたくなって、指先にそっと触れてみる。すると、場地は私の手から指を引き抜いた。
いきなり、距離を詰めすぎて引かれてしまったのかと不安に思っていれば、場地の大きな手が私の手を乱暴に包み込んだ。驚いて彼の顔を見上げれば、フイっと顔を逸らされてしまった。
「手、繋ぎたかったの?」
「はぁ?オマエが遠慮がちにやってくるからだろーが」
「だって、なんか恥ずかしかったし」
「今更、何言ってんだよ」
「そう言う、場地だって顔赤いですけど?」
「オマエ、目悪いんじゃねーの」
「えぇ…私の目のせいにしないでよ」
いつもの言い合いなのに、お互い何処と無く歯切れが悪く、ぎこちない。気まずさから来るモノではなく、恥ずかしさから来るモノで不思議と嫌な感じはしない。
場地も落ち着かないといったような素振りを見せていて、チラチラと横目で私を見ていた。
「そう言えばよ、オマエ、最初の頃はオレのこと呼び捨てじゃなかったよなぁ」
「そう言えば。場地君って呼んでた気がする。でも、いつからか、場地に変わったよね」
「マイキーがそう呼んでたからだろ」
「あ、そうそう!」
マイキーとは道場で出会い、同い年という事もあって、すぐに打ち解けた私達。たまに道場に顔を出しに来る、真一郎君ともすぐに仲良くなった。
真一郎君は場地の事を、ケースケと呼んでいて、真一郎君がマイキーの前でケースケと呼んだら、マイキーは場地の下の名前を知らなかったようで「ケースケって誰?」と聞いた。場地が「オレだよ」と呆れたように言うと、マイキーは場地の顔をまじまじと見て、「うん、オマエはやっぱり、場地だな」と頷いた。
マイキーも一瞬、ケースケと呼ぼうとしたようだが、直ぐに場地の方がシックリと来たようだった。
そこから、私も場地と呼ぶようになった覚えがある。確か、場地と呼び捨てにするマイキーの方が距離が近い感じがして、羨ましくて私も呼び捨てを始めたような気がする。
「みんな、場地って呼ぶのに真一郎君だけはケースケって呼んでたよね」
「…オマエは?」
「えっ?」
場地の言う、オマエは?の意味が分からず、フリーズしてしまう。高速で脳を回転させて、その意味を考える。一つの答えを導き出せたが、私の中で拒否反応を起こしていた。
「え、ちょっと、無理」
「ンだよ、無理って」
「だって、圭介顔じゃないもん!」
「はぁ?テメェ、ソレただの悪口だろーが!」
「それに、恥ずかしいし…」
「オレはずっと、名前で呼んでんだろ」
「そうだけど、私は長年、場地呼びだし」
「微妙な距離感がイラつく」
場地は眉間に皺を寄せてつまんなそうな表情で私の顔を見つめた。そんな顔をされたって、いきなり呼び方を変えるのは照れくさいし、難しい。
鼓動が早くなるのが直ぐに分かった。たった、四文字を口にするだけなのに、胸が苦しいくらいに高鳴って上手くその四文字を発する事が出来ない。
「け、けいすけ…?」
「…おぉ」
「やっぱり、無理」
躊躇いがちに口にしてみるが、やはり無理なものは無理だった。顔に熱が集中して身体中も熱くなる。顔の熱を冷まそうと手で仰いでみるが、何一つ変わらなかった。
意識さえしなければ、呼べるのかもしれないが、どうしても意識してしまう。
そんな私の様子を見て、場地は諦めにも似た重い溜息をついた。
「今は場地でいーわ」
「ごめんね。いつかは、ちゃんと慣れるから」
「最後にもう一回」
「え、まだ呼ぶの?」
「慣れんじゃねーのかよ」
早く呼べと言わんばかりに、一切目を逸らす事無く正面から見下ろされている中、呼ぶなんてハードルが高すぎる。せめて、あっち向くとか色々工夫をしてもらいたい。想像してみたら、シュール過ぎて逆に呼べない気もした。
「そんな、見ないでほしいんだけど…?」
チラッと見上げてそう口にすれば、場地は口元を右手で隠して、顔を背けた。
見ないでと言ったから、背けてくれたと解釈した私は、深呼吸を二回ほど繰り返して、いざ呼ぼうと息を吸い込んだ瞬間に、クルっと顔をまた向けて来た。
また、不発に終わった私の勇気。
そろそろ、空気読んで貰えませんかね?と文句でも言ってやろうと思ったが、先に口を開いたのは場地だった。
「その顔やめろ」
「その顔ってどの顔?」
「無自覚とか、うぜぇ」
「え、そんなムカつく顔してた?」
「その顔、他のヤツの前ですんなよ。ぶん殴られるぞ」
「嘘、そんなに腹立つ顔してる?」
ぶん殴りたくなるほどの腹立つ顔を無意識に自分がしてたとは、思いもしなかった。地味にショックを受けていると、場地は私の頬を引っ張って来た。みょんと伸びる頬を離して貰おうと場地を睨み上げると、彼は「ブッサイクだな~」と愉快そうに笑った。
「ねぇ、ブッサイクでムカつく顔ってヤバくない?」
「ヤベーな」
「それは、悲しすぎる…」
「まぁ、そんな顔も良いって思うヤツも世の中にはいるんじゃねぇの?」
「そんな頭おかしいヤツ、いる?」
場地は目を伏せて重い溜息をついた。
いつもなら、私が溜息をつく方が多いのに今日ばかりは、場地の方が多い。いつもとは逆転している事におかしいと思いながら、溜息をつかれた理由を考えていると、横目で睨まれてしまった。
「でも、場地が私を好きって言ってくれたんだし、別にそんな頭おかしいヤツいなくてもいいか」
「別にオマエの顔は好きだなんて言ってねぇ」
「…そうでしたぁ」
確かに言ってくれてはいないけれど、そこは可愛いよ、くらい言ってくれも罰は当たらないでしょう。と思ってみたが、場地が可愛いとか言って来たらと考えたら恐怖を感じた。
少女漫画のヒーローのようにキラキラした瞳で爽やかな風に髪を靡かせて「可愛い」と言った場地を想像して、笑いそうになってしまった。死ぬほど、似合わない。
そんな想像をして笑っている事がバレたら怒られそうだったので、必死に隠そうと下を向くと、その動作が私が落ち込んでしまったのだと勘違いしたのか、少し罪悪感の篭もった声で「嘘だっつーの」と呟いた。
「明日香は可愛いよ」
「「は?」」
先程、脳内で想像して笑っていたのと同じセリフが聞こえて顔を上げると、場地も同じ様に驚いたような表情で固まっていた。
一瞬、場地が言ったかと思ったけど、場地と一緒に素っ頓狂な声をあげたので違うようだ。
そもそも、場地がそんな事を言うワケがないと分かっていながらも、一瞬ドキッとしてしまった。恐る恐るというような動きで、場地と一緒に声のする方へ顔を向けると、そこには、口元を手で抑えて笑いを堪えているマイキーが立っていた。
「マイキーがなんでここに…?」
「そんくらい言えよなー、場地。で、オマエらは手繋いで何やってんだよ?」
そんな事を聞いて来るマイキーの顔は全てを知っているようで、楽しそうに、意地悪そうに笑っていた。完全に面白がっている顔だった。
「これは、ケンチンと三ツ谷とパーにも報告だな」
マイキーはそう告げてから、身軽に踵を返した。瞬時に場地がマイキーを止めようと手を伸ばすが、その手は空を切った。彼は、脱兎のごとく走り去り、背中が遠くなって行く。
「オイ!マイキーィィィ!!待ちやがれっ!!」
場地が怒鳴り散らしながら追いかけようとしたので、私も慌てて一緒に駆け出そうとすると、場地はスっと右手を出した。その差し出された右手に左手を重ねると、場地はニッと笑って私の手を強く引っ張って、共に駆け出した。
手を繋いで走っていると、昔を思い出した。
小さい頃から、マイキーを追い掛ける度にこうやって、場地が手を引っ張って一緒に街中をクタクタになるまで駆け回った事。
いつも、場地は私の走るペースに合わせて走ってくれていた事。
追い付けなくても、掴んだ手を絶対に離さないでいてくれた事。
中学生になったら、走り回るなんて事はしなくなったけれど、またこうして場地と一緒に手を繋いで、昔のように街中を走り回れる事を嬉しく思った。嬉しくて口元がどうしても緩んでしまった。
目の前にある場地の背中を見つめると、彼も私と同じように笑っているような気がした。
同じ隣だけど、昨日とは違う関係性に擽ったいような感情が沸いてくる。
幼馴染という枠を越えて、ようやく恋人という関係になれた。だけど、その後はどうしたらいいのだろうか。
場地は私の彼氏なんだと思う反面、彼氏という名前に慣れなくて、不思議な感覚だ。
チラッと場地を見あげると、いつもと変わらない横顔なのに、妙にカッコよく見えてしまった。恋人になった途端に、恋フィルターでも掛かってしまったようで、いつも以上にドキドキするし、そわそわと落ち着かない気分になる。
いつもどうやって接していたかすら、分からなくなった。
並んで歩いていると、私の左手と場地の右手の甲同士がコツンとぶつかった。
今日は歩く時の距離がいつもより近い。無意識に二人の間の距離を縮めてしまっていたみたいだ。一瞬触れた手の甲から、伝わった場地の体温にもっと触れたくなって、指先にそっと触れてみる。すると、場地は私の手から指を引き抜いた。
いきなり、距離を詰めすぎて引かれてしまったのかと不安に思っていれば、場地の大きな手が私の手を乱暴に包み込んだ。驚いて彼の顔を見上げれば、フイっと顔を逸らされてしまった。
「手、繋ぎたかったの?」
「はぁ?オマエが遠慮がちにやってくるからだろーが」
「だって、なんか恥ずかしかったし」
「今更、何言ってんだよ」
「そう言う、場地だって顔赤いですけど?」
「オマエ、目悪いんじゃねーの」
「えぇ…私の目のせいにしないでよ」
いつもの言い合いなのに、お互い何処と無く歯切れが悪く、ぎこちない。気まずさから来るモノではなく、恥ずかしさから来るモノで不思議と嫌な感じはしない。
場地も落ち着かないといったような素振りを見せていて、チラチラと横目で私を見ていた。
「そう言えばよ、オマエ、最初の頃はオレのこと呼び捨てじゃなかったよなぁ」
「そう言えば。場地君って呼んでた気がする。でも、いつからか、場地に変わったよね」
「マイキーがそう呼んでたからだろ」
「あ、そうそう!」
マイキーとは道場で出会い、同い年という事もあって、すぐに打ち解けた私達。たまに道場に顔を出しに来る、真一郎君ともすぐに仲良くなった。
真一郎君は場地の事を、ケースケと呼んでいて、真一郎君がマイキーの前でケースケと呼んだら、マイキーは場地の下の名前を知らなかったようで「ケースケって誰?」と聞いた。場地が「オレだよ」と呆れたように言うと、マイキーは場地の顔をまじまじと見て、「うん、オマエはやっぱり、場地だな」と頷いた。
マイキーも一瞬、ケースケと呼ぼうとしたようだが、直ぐに場地の方がシックリと来たようだった。
そこから、私も場地と呼ぶようになった覚えがある。確か、場地と呼び捨てにするマイキーの方が距離が近い感じがして、羨ましくて私も呼び捨てを始めたような気がする。
「みんな、場地って呼ぶのに真一郎君だけはケースケって呼んでたよね」
「…オマエは?」
「えっ?」
場地の言う、オマエは?の意味が分からず、フリーズしてしまう。高速で脳を回転させて、その意味を考える。一つの答えを導き出せたが、私の中で拒否反応を起こしていた。
「え、ちょっと、無理」
「ンだよ、無理って」
「だって、圭介顔じゃないもん!」
「はぁ?テメェ、ソレただの悪口だろーが!」
「それに、恥ずかしいし…」
「オレはずっと、名前で呼んでんだろ」
「そうだけど、私は長年、場地呼びだし」
「微妙な距離感がイラつく」
場地は眉間に皺を寄せてつまんなそうな表情で私の顔を見つめた。そんな顔をされたって、いきなり呼び方を変えるのは照れくさいし、難しい。
鼓動が早くなるのが直ぐに分かった。たった、四文字を口にするだけなのに、胸が苦しいくらいに高鳴って上手くその四文字を発する事が出来ない。
「け、けいすけ…?」
「…おぉ」
「やっぱり、無理」
躊躇いがちに口にしてみるが、やはり無理なものは無理だった。顔に熱が集中して身体中も熱くなる。顔の熱を冷まそうと手で仰いでみるが、何一つ変わらなかった。
意識さえしなければ、呼べるのかもしれないが、どうしても意識してしまう。
そんな私の様子を見て、場地は諦めにも似た重い溜息をついた。
「今は場地でいーわ」
「ごめんね。いつかは、ちゃんと慣れるから」
「最後にもう一回」
「え、まだ呼ぶの?」
「慣れんじゃねーのかよ」
早く呼べと言わんばかりに、一切目を逸らす事無く正面から見下ろされている中、呼ぶなんてハードルが高すぎる。せめて、あっち向くとか色々工夫をしてもらいたい。想像してみたら、シュール過ぎて逆に呼べない気もした。
「そんな、見ないでほしいんだけど…?」
チラッと見上げてそう口にすれば、場地は口元を右手で隠して、顔を背けた。
見ないでと言ったから、背けてくれたと解釈した私は、深呼吸を二回ほど繰り返して、いざ呼ぼうと息を吸い込んだ瞬間に、クルっと顔をまた向けて来た。
また、不発に終わった私の勇気。
そろそろ、空気読んで貰えませんかね?と文句でも言ってやろうと思ったが、先に口を開いたのは場地だった。
「その顔やめろ」
「その顔ってどの顔?」
「無自覚とか、うぜぇ」
「え、そんなムカつく顔してた?」
「その顔、他のヤツの前ですんなよ。ぶん殴られるぞ」
「嘘、そんなに腹立つ顔してる?」
ぶん殴りたくなるほどの腹立つ顔を無意識に自分がしてたとは、思いもしなかった。地味にショックを受けていると、場地は私の頬を引っ張って来た。みょんと伸びる頬を離して貰おうと場地を睨み上げると、彼は「ブッサイクだな~」と愉快そうに笑った。
「ねぇ、ブッサイクでムカつく顔ってヤバくない?」
「ヤベーな」
「それは、悲しすぎる…」
「まぁ、そんな顔も良いって思うヤツも世の中にはいるんじゃねぇの?」
「そんな頭おかしいヤツ、いる?」
場地は目を伏せて重い溜息をついた。
いつもなら、私が溜息をつく方が多いのに今日ばかりは、場地の方が多い。いつもとは逆転している事におかしいと思いながら、溜息をつかれた理由を考えていると、横目で睨まれてしまった。
「でも、場地が私を好きって言ってくれたんだし、別にそんな頭おかしいヤツいなくてもいいか」
「別にオマエの顔は好きだなんて言ってねぇ」
「…そうでしたぁ」
確かに言ってくれてはいないけれど、そこは可愛いよ、くらい言ってくれも罰は当たらないでしょう。と思ってみたが、場地が可愛いとか言って来たらと考えたら恐怖を感じた。
少女漫画のヒーローのようにキラキラした瞳で爽やかな風に髪を靡かせて「可愛い」と言った場地を想像して、笑いそうになってしまった。死ぬほど、似合わない。
そんな想像をして笑っている事がバレたら怒られそうだったので、必死に隠そうと下を向くと、その動作が私が落ち込んでしまったのだと勘違いしたのか、少し罪悪感の篭もった声で「嘘だっつーの」と呟いた。
「明日香は可愛いよ」
「「は?」」
先程、脳内で想像して笑っていたのと同じセリフが聞こえて顔を上げると、場地も同じ様に驚いたような表情で固まっていた。
一瞬、場地が言ったかと思ったけど、場地と一緒に素っ頓狂な声をあげたので違うようだ。
そもそも、場地がそんな事を言うワケがないと分かっていながらも、一瞬ドキッとしてしまった。恐る恐るというような動きで、場地と一緒に声のする方へ顔を向けると、そこには、口元を手で抑えて笑いを堪えているマイキーが立っていた。
「マイキーがなんでここに…?」
「そんくらい言えよなー、場地。で、オマエらは手繋いで何やってんだよ?」
そんな事を聞いて来るマイキーの顔は全てを知っているようで、楽しそうに、意地悪そうに笑っていた。完全に面白がっている顔だった。
「これは、ケンチンと三ツ谷とパーにも報告だな」
マイキーはそう告げてから、身軽に踵を返した。瞬時に場地がマイキーを止めようと手を伸ばすが、その手は空を切った。彼は、脱兎のごとく走り去り、背中が遠くなって行く。
「オイ!マイキーィィィ!!待ちやがれっ!!」
場地が怒鳴り散らしながら追いかけようとしたので、私も慌てて一緒に駆け出そうとすると、場地はスっと右手を出した。その差し出された右手に左手を重ねると、場地はニッと笑って私の手を強く引っ張って、共に駆け出した。
手を繋いで走っていると、昔を思い出した。
小さい頃から、マイキーを追い掛ける度にこうやって、場地が手を引っ張って一緒に街中をクタクタになるまで駆け回った事。
いつも、場地は私の走るペースに合わせて走ってくれていた事。
追い付けなくても、掴んだ手を絶対に離さないでいてくれた事。
中学生になったら、走り回るなんて事はしなくなったけれど、またこうして場地と一緒に手を繋いで、昔のように街中を走り回れる事を嬉しく思った。嬉しくて口元がどうしても緩んでしまった。
目の前にある場地の背中を見つめると、彼も私と同じように笑っているような気がした。