真Ⅴ
「大人しくしていてくれ」
そう言われて咄嗟に馬鹿野郎、までは言葉に出来た。ほとんど吐息のような、小さな声で。
馬鹿野郎、頭でっかちめ、将来ハゲるぞ。
そんな言葉が頭の中にあったのに、舌は動かなかった
『少年、彼は』
固まった俺の頭に半身が語りかける。
『君の友人だった』
だった。
刹那、俺の身体は硬直から解かれた。やおら足元の小石を拾い上げ、消えていった友人だった男の影の跡に投げつける。
いつかの体育であいつと特訓してた、スライダーのフォームで。
小石は輝く砂礫に音を吸われて、友人の影にも届かず転がって行った。
そう言われて咄嗟に馬鹿野郎、までは言葉に出来た。ほとんど吐息のような、小さな声で。
馬鹿野郎、頭でっかちめ、将来ハゲるぞ。
そんな言葉が頭の中にあったのに、舌は動かなかった
『少年、彼は』
固まった俺の頭に半身が語りかける。
『君の友人だった』
だった。
刹那、俺の身体は硬直から解かれた。やおら足元の小石を拾い上げ、消えていった友人だった男の影の跡に投げつける。
いつかの体育であいつと特訓してた、スライダーのフォームで。
小石は輝く砂礫に音を吸われて、友人の影にも届かず転がって行った。