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少年擬心換装

「ジーン・カルフォ、あなたの部屋はD-62、学園内でのNOはMD-516262です。共有部はMD516260、ロイド・プレストンと使用してください。セレモニーの時間15分前に放送がかかります。第二多目的エリアまでお越しください。それまでユーリズ学生寮規約と生活上の注意についてまとめたファイルに目を通してお待ちください」
合成音声がぷつりと消える。共有エリアの左右にドアがあり、それぞれのドアの前に個人の荷物が置かれていた。ジーンの部屋の前には2、3個のコンテナがある。対して相部屋の学生の個室の前には大量の荷物が置かれていた。部屋の主は不在のようだ。
ドアを開けると軽微の電波遮断ユニットが敷かれていた。簡易だが学生カードがカードキーになっており、施錠もできるようだ。
ジーンはコンテナを自室に運び入れて施錠し、特に大きなコンテナを開く。小型サーバーのような機械端末を机上に置き、ペンダントとして下げていたチップをセットし、起動。読み込ませる。
端末は立体視映像を投影し、チップから「感情」のデータを再構築しバックアップ、フィードを行う。つまり、
「あなたのハート、シータちゃんです!」
ジーンには内部での簡易的な感情処理ユニットに加え、外部感情処理ユニットが存在する。それが彼女(?)シータだ。
「まだ素敵な先輩とかには会ってないの?ルームメイトもいないのね…あんまりお仕事ないわねえ」
「これからセレモニーになる。目立つ行動は控えるつもりだが、人が沢山いればオーバーフローも起こりうる。なるべく不明なデータを解析して使えるようにフィードバックしておいてくれ」
「お願いします、シータさんは?」
「頼む、シータ」
「60点!」
立体投影の少女アバターはコロコロと表情を変える。シータによって情報量の多い他者の感情、あるいはジーンの思考パターンを整理し、紐付けさせ、圧縮させることでジーンの内部感情ユニットのアップデートが図られる。
展開したシータと同期し、スリープモードに移行する。
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