少年擬心換装
起動。
フィールド、n-α12q小惑星表層。人型の飛行ユニットを展開。重力圏外に射出のち、オートモードとモニター目視による索敵。対象を複数補足。地上に待機する対空火器への通信を行い、思念回路を喚起する。システム、オールグリーン。「グロウ」は正常に起動し、ジーンの人型擬態飛行ユニットが手を翳すような動きに合わせ、周囲にランダムにノイズの走る同心円状のフラクタル構造障壁を形成した。
敵──「ネイジ」──に誘導パルス変調波を放出する。
ネイジが、ジーンのフラクタル構造障壁に飛びつき、有機的な印象のいくつもの蠢く脚を叩きつけた。ガリガリと、フラクタルのシールドが削られる。だがネイジが叩きつける度、その脚は摩耗していく。ジーンは瞬きもせず、思念回路からグロウ・ナーバスに精神干渉をし続け、絶えずフラクタルのシールドを補填し続ける。
敵全体の損傷率が40%を超えた時点で、思念回路を閉じ、グロウを停止する。
支えを失ったネイジは、損壊した外殻とボロボロの脚を縺れさせながら地上へと落ちていく。後は地上の対空火器が撃墜するだけだ。
自機グロウの損傷率は37%、決して少なくはない。
ジーンはモニター上の「作戦遂行済」とクリアされた対象物マーカーを確認し、閉眼してから、表示された「地上帰還」を選択した。
模擬戦闘装置のコックピットが開き、ジーンの調光ユニットが眩しさを捉える。
「お疲れ様でした。実技試験はこれで終了となります。合格発表は後ほどDホールにて行います。試験合格者は簡易身体検査を行いますので、アナウンスに従ってください」
労うような声色に調整された人工音声が告げる。
聴覚ユニットにまばらに受験者達の声が届く。
「実技試験で模擬戦闘なんて聞いてねえよ」
「いきなりロボットのパイロットになって敵を倒せなんてわけわかんねえよな」
「なんかゲームみたいだったよな。ああいうの入学したらやるのかな?」
「なんかの適性のテストじゃねえのか?なんで学校で宇宙人?と模擬戦闘するんだよ」
3人の少年達がああでもないこうでもないと言い合っている。気安い仲なのだろうか。
他の受験者たちも、概ね「実技試験」こと、ネイジと呼称された惑星外生命体との模擬戦闘に戸惑っているようだ。
ジーンはペンダントを握って瞑目し、開眼してその場を後にする。
フィールド、n-α12q小惑星表層。人型の飛行ユニットを展開。重力圏外に射出のち、オートモードとモニター目視による索敵。対象を複数補足。地上に待機する対空火器への通信を行い、思念回路を喚起する。システム、オールグリーン。「グロウ」は正常に起動し、ジーンの人型擬態飛行ユニットが手を翳すような動きに合わせ、周囲にランダムにノイズの走る同心円状のフラクタル構造障壁を形成した。
敵──「ネイジ」──に誘導パルス変調波を放出する。
ネイジが、ジーンのフラクタル構造障壁に飛びつき、有機的な印象のいくつもの蠢く脚を叩きつけた。ガリガリと、フラクタルのシールドが削られる。だがネイジが叩きつける度、その脚は摩耗していく。ジーンは瞬きもせず、思念回路からグロウ・ナーバスに精神干渉をし続け、絶えずフラクタルのシールドを補填し続ける。
敵全体の損傷率が40%を超えた時点で、思念回路を閉じ、グロウを停止する。
支えを失ったネイジは、損壊した外殻とボロボロの脚を縺れさせながら地上へと落ちていく。後は地上の対空火器が撃墜するだけだ。
自機グロウの損傷率は37%、決して少なくはない。
ジーンはモニター上の「作戦遂行済」とクリアされた対象物マーカーを確認し、閉眼してから、表示された「地上帰還」を選択した。
模擬戦闘装置のコックピットが開き、ジーンの調光ユニットが眩しさを捉える。
「お疲れ様でした。実技試験はこれで終了となります。合格発表は後ほどDホールにて行います。試験合格者は簡易身体検査を行いますので、アナウンスに従ってください」
労うような声色に調整された人工音声が告げる。
聴覚ユニットにまばらに受験者達の声が届く。
「実技試験で模擬戦闘なんて聞いてねえよ」
「いきなりロボットのパイロットになって敵を倒せなんてわけわかんねえよな」
「なんかゲームみたいだったよな。ああいうの入学したらやるのかな?」
「なんかの適性のテストじゃねえのか?なんで学校で宇宙人?と模擬戦闘するんだよ」
3人の少年達がああでもないこうでもないと言い合っている。気安い仲なのだろうか。
他の受験者たちも、概ね「実技試験」こと、ネイジと呼称された惑星外生命体との模擬戦闘に戸惑っているようだ。
ジーンはペンダントを握って瞑目し、開眼してその場を後にする。