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domain of azure sky

 丸まったシーツの中から、姉さん、と呟く声がした。常夜灯の照らす彼の頰が濡れている。僕も彼も両親を悪魔に殺されているのは一緒だ。だけど彼にはまだ、姉がいる。拠り所がある。
会わせてあげなければ。
 躊躇いながら涙の雫を指先で拭うと、少し乱れていた彼の呼吸が穏やかになっていった。

 自分はケンジのように不器用ながらも人好きのする優しさがあるわけでも無いし、キヨハルのように思慮深く相手を慈しむ訳でもない。それなりに誠実に生きているつもりだけど、そんなものここでは毒にも薬にもならないと思う。
 僕はアキラに少しだけ上手く生き延びる方法を教えて、後は反面教師にでもなればいい。
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