番外編
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「センパイ、テンションクッソ低いですけど生きてます?それとも冬眠のスタンバイ?」
___________ カザニ。
いつもは談話室から見える街路樹の通り道も、すぐそばに敷かれている道路も今日は何も見えなかった。カザニだって幾らロシアの中で暖かい地域だろうと冬は冷える。
イナズマジャパンが拠点を置いているカザニスポーツセンターも白一色の世界に覆われていた。
シンシンと降り積もる雪は徐々に降雪量を増していき、もうそろそろかなりの高さまで積もりそう。雪掻き掃除として勿論彼女達選手も労働派遣されるのは、言うまでもないだろう。
しかし、そんな中トレードマークであるバンダナを巻いた円堂、彼を師弟の様に慕っている坂野上その他諸々がこんな寒い中、『雪合戦やろうぜ!』と外へ飛び出している人の叫び声が談話室にまで聞こえてきた。
マネージャーが後々洗濯大変だな……と彼女達を案じる大門 鏡花はふと、近づいてきた水月 大河に疑問符をつけて振り返った。
「……水月君って好きな季節とかある?」
いつもは“誰が冬眠ですって”とキレるはずの大門が乗ってこない。
いつもの覇気がない事と質問を添えられた事にやや困惑する水月。それから少し考え込んで口を開いた。
「……夏はしんどいから嫌いだけど“好き”って言われると…。センパイは?」
「……私、さ。冬が苦手なんだよね」
少し寂しげに笑う大門に水月は……は?と呟く。
合宿所から出る気がないのか厚着を着込んでる水月はセンパイ、北海道滞在ですよね?と問う。
「北の国に住んでる人間が言う台詞ですか、それ…」
「……あ、違うよ!?別に寒いのが嫌いってわけじゃなくて」
ややこしかったね、と呟いた大門はうーんと唸る。そしてやっと一言絞り出すかの様に声を出した。
「冬ってなんか怖くて…息苦しく感じるの」
水月は一瞬、大門の言葉に目を緩く見開いたが……ふーん、と話を聞いているのか微妙な声を上げる。
「雪って音も無く降るからいつも不安になるの。……この世で独りぼっち、みたいに錯覚したり。解ってる、それが本当じゃないってさ。……でも「……解らなくはない」……えっ?」
ふと大門の言葉を遮った水月は窓と向こうに見える銀世界を一瞥して呟く。
「……音も無い世界を恐れるセンパイの気持ち、分かるよって言ってんの」
言わせんなよ、めんどくさい……と溜息を吐く水月に大門の瞳がグラッと一瞬揺らぐ。
まさか水月が話を汲み取ってくれるとは思わなかったのか動揺しているのがバレバレだ。
「え、ほ、本当……、!?」
「………センパイ、ワザと言ってない?うっざ」
「ごめん、今のはワザとだった。嬉しく_________ 」
「おーーーい!!!鏡花、大河ーーぁ!!雪合戦やらねぇか!?お前らも体動かそうぜぇ!?」
「先輩、水月君、外に出ましょうよ!!全然寒くないですよ!?」
ドタドタと廊下を雫を大量に散らしながら談話室へと駆け込んだ円堂、坂野上が雪すらを溶かすかの様な笑みを2人へ見せる。
「円堂さんと坂野上君、雪ちゃんと払ってくださいよ!!?廊下が水浸しですって!……いっ、行くから!!ちゃんと掃除してくださいよ………………あっ」
2人から伝導する体温を肌に感じた大門と水月。
その後にビショビショになった廊下を見やって大門が口を開く。先程の悲恋げな態度は何処へ行ったのか子供を叱りつける母親の様なセリフを吐いた大門。
そんな大門は自ら口を滑らせた事に気付き頭を盛大に抱えた。
「……俺も行きたいけどちょっと風邪気味なんで遠慮しますね、円堂さん」
「そうか……じゃあ鏡花だけ借りるな!?」
「裏切り者ぉぉぉっ!!風邪気味なんて嘘っぱちでしょぉ!?水月君も来なさいよ!!?」
円堂に腕を掴まれズルズルと連行されていく大門を薄ら笑いを浮かべながら見送った水月。
「……だって雪合戦とか面倒くさいじゃん、だるいし」
そうボソリと呟いた彼はそう言ってイヤホンを付け直しながら瞼を閉じ……かける。
窓の方を見やると出入り口の所でどうやらチーム分けのグッパージャンケンをしている大門の姿が。先ほどの悲しげな笑顔はすっかり消え失せ、心からこの状況を楽しんでいる様な笑顔に大河な杞憂を覚える。ハァァ……と溜息を吐いた後。近くにあった長椅子にゴロリ、と寝転がった。
「先輩は独りじゃない……なんて俺が言うよりも、ああやって行動力のある人が示す方がよっぽど幸せに気づくはずから」
俺が言うのもめんどくせぇし、そう吐いた水月は今度こそ瞼を閉じた。
___________ 雪は音も無く凍りついた心を溶かす事だって出来るのだから。
___________ カザニ。
いつもは談話室から見える街路樹の通り道も、すぐそばに敷かれている道路も今日は何も見えなかった。カザニだって幾らロシアの中で暖かい地域だろうと冬は冷える。
イナズマジャパンが拠点を置いているカザニスポーツセンターも白一色の世界に覆われていた。
シンシンと降り積もる雪は徐々に降雪量を増していき、もうそろそろかなりの高さまで積もりそう。雪掻き掃除として勿論彼女達選手も労働派遣されるのは、言うまでもないだろう。
しかし、そんな中トレードマークであるバンダナを巻いた円堂、彼を師弟の様に慕っている坂野上その他諸々がこんな寒い中、『雪合戦やろうぜ!』と外へ飛び出している人の叫び声が談話室にまで聞こえてきた。
マネージャーが後々洗濯大変だな……と彼女達を案じる大門 鏡花はふと、近づいてきた水月 大河に疑問符をつけて振り返った。
「……水月君って好きな季節とかある?」
いつもは“誰が冬眠ですって”とキレるはずの大門が乗ってこない。
いつもの覇気がない事と質問を添えられた事にやや困惑する水月。それから少し考え込んで口を開いた。
「……夏はしんどいから嫌いだけど“好き”って言われると…。センパイは?」
「……私、さ。冬が苦手なんだよね」
少し寂しげに笑う大門に水月は……は?と呟く。
合宿所から出る気がないのか厚着を着込んでる水月はセンパイ、北海道滞在ですよね?と問う。
「北の国に住んでる人間が言う台詞ですか、それ…」
「……あ、違うよ!?別に寒いのが嫌いってわけじゃなくて」
ややこしかったね、と呟いた大門はうーんと唸る。そしてやっと一言絞り出すかの様に声を出した。
「冬ってなんか怖くて…息苦しく感じるの」
水月は一瞬、大門の言葉に目を緩く見開いたが……ふーん、と話を聞いているのか微妙な声を上げる。
「雪って音も無く降るからいつも不安になるの。……この世で独りぼっち、みたいに錯覚したり。解ってる、それが本当じゃないってさ。……でも「……解らなくはない」……えっ?」
ふと大門の言葉を遮った水月は窓と向こうに見える銀世界を一瞥して呟く。
「……音も無い世界を恐れるセンパイの気持ち、分かるよって言ってんの」
言わせんなよ、めんどくさい……と溜息を吐く水月に大門の瞳がグラッと一瞬揺らぐ。
まさか水月が話を汲み取ってくれるとは思わなかったのか動揺しているのがバレバレだ。
「え、ほ、本当……、!?」
「………センパイ、ワザと言ってない?うっざ」
「ごめん、今のはワザとだった。嬉しく_________ 」
「おーーーい!!!鏡花、大河ーーぁ!!雪合戦やらねぇか!?お前らも体動かそうぜぇ!?」
「先輩、水月君、外に出ましょうよ!!全然寒くないですよ!?」
ドタドタと廊下を雫を大量に散らしながら談話室へと駆け込んだ円堂、坂野上が雪すらを溶かすかの様な笑みを2人へ見せる。
「円堂さんと坂野上君、雪ちゃんと払ってくださいよ!!?廊下が水浸しですって!……いっ、行くから!!ちゃんと掃除してくださいよ………………あっ」
2人から伝導する体温を肌に感じた大門と水月。
その後にビショビショになった廊下を見やって大門が口を開く。先程の悲恋げな態度は何処へ行ったのか子供を叱りつける母親の様なセリフを吐いた大門。
そんな大門は自ら口を滑らせた事に気付き頭を盛大に抱えた。
「……俺も行きたいけどちょっと風邪気味なんで遠慮しますね、円堂さん」
「そうか……じゃあ鏡花だけ借りるな!?」
「裏切り者ぉぉぉっ!!風邪気味なんて嘘っぱちでしょぉ!?水月君も来なさいよ!!?」
円堂に腕を掴まれズルズルと連行されていく大門を薄ら笑いを浮かべながら見送った水月。
「……だって雪合戦とか面倒くさいじゃん、だるいし」
そうボソリと呟いた彼はそう言ってイヤホンを付け直しながら瞼を閉じ……かける。
窓の方を見やると出入り口の所でどうやらチーム分けのグッパージャンケンをしている大門の姿が。先ほどの悲しげな笑顔はすっかり消え失せ、心からこの状況を楽しんでいる様な笑顔に大河な杞憂を覚える。ハァァ……と溜息を吐いた後。近くにあった長椅子にゴロリ、と寝転がった。
「先輩は独りじゃない……なんて俺が言うよりも、ああやって行動力のある人が示す方がよっぽど幸せに気づくはずから」
俺が言うのもめんどくせぇし、そう吐いた水月は今度こそ瞼を閉じた。
___________ 雪は音も無く凍りついた心を溶かす事だって出来るのだから。