1章
夢小説設定
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「2人は驚いたかもしれないけど、彼のあの傍若無人は通常運転なんだよ、気にしないで」
一応、とばかりにフォローを入れる野坂。……否、フォローではなく若干どころかかなり乏している気がしてならない鏡花。
(……野坂君って……彼みたいな人と馬合わなそうに見えるんだけどな…)
なんて初めて居合わせた鏡花が思う事じゃないのかもしれない。
あんまり近づきたくはなぁ…と躊躇う鏡花。触らぬ神に祟りなし。……神じゃなくて人間だけど、と永遠1人ボケツッコミルートに直行しようとしている。
「……そういえば、さ。人狼っていうゲームでも狼は1人じゃない。2人目の狼がいるんだよね。まだ潜んでる可能性はあるかもよ」
「の、野坂さん!?」「……人狼、が?」
野坂の突飛な発言に周囲がは?、と轟く。今の現状をゲームと例えるなんて…。そのユーモアな発想とこの場に及んでの発言力に鏡花は思わず呆気に取られたまま、立ち固まった。
「……この人数で人狼ゲームをやってるって事、ですか…」
鏡花も現中学生なだけあり、人狼プレー経験はそれなりにある。あれはただの疑心暗鬼になるだけのゲームだ。自身の役職によっては嘘を吐かなければならない時だってある。あのスリリングさがやめられない、と今流行りでもあるが、鏡花は苦手だった。
(……あんな、ゲーム持ち出してくるとか野坂君、何がしたいんだろう)
皆の視線がより一層、厳しくなり所構わず飛び交い始める。
それは誰かが尻尾を出さないか、襤褸を出さないか。と待ち侘びる狩人の“瞳”だった。
その瞳の矛先は結局、趙 金雲のおちゃらけた“解散ン〜”で一気に地へと落ちる。参戦いきなり、鏡花とアツヤは何処か高揚していた気持ちが冷めつつあった。
(……今日、悪夢見ちゃいそう……)
心の何処かで疼く恐怖心と警戒感。此処から逃げ出せない、という現実に鏡花は微かに窓から窺える灰一色に広がる大空を見ながら溜息を零した。
✿
(でも、あれ以来みんなあの話しなくなったんだよね…)
食後、自室でアセアセとジャージを羽織りながら1人でに思い出す。自分自身あまりその話題に触れたくなかったので好都合だったが、はっきり言ってしまうと胸糞悪くてする気すらなかった。
(でしゃばり、とか言われても嫌だったし……)
急いで行かないと場所取りしてくれている灰崎とヒロトからクレームが来そうで余計まごついてしまう。
緩く横へと長髪を銀ゴムで束ねた鏡花は小走りでフィールドへと向かう。道中坂野上が「鏡花さん、廊下は走っちゃ行けないんですよぉ!」と少し笑いながら注意を飛ばした。
「ごめん、坂野上君!!今回だけは目を瞑ってて!!」
……どっちが年上なのか分からない会話を交える鏡花と坂野上。早1週間、鏡花が思ったよりもはやく、周りは参戦メンバーである鏡花(そしてアツヤ)を迎え入れてくれた。
ほぼ全員のメンバーは名前で声を掛けてくれるし、話しかけもしてくれる。……そう、“ほぼ全員”。
「顔思い出しただけで腹立つ……」
グググッ、と1人でに左手で拳を形作る鏡花。青筋が立ちかねない勢いでその唯一、馴染む素ぶりを見せない者への勢いで怒りメーターが振り切れかける。
_____________水月 大河の事だ。
監督に「鏡花さんに起床係を手伝って欲しいんですよぉ、彼は宵っ張りの朝寝坊常習犯でしてねぇ〜」とやや言葉巧みに包められ、任命されてしまった鏡花。監督放棄も良いところだ。
(……ああ、もう本当何処のお坊っちゃんだ)
朝から気が重いのにげんなりしながら、鏡花はジャージのファスナーを閉めながらフィールドへと足を踏み入れたのだった。
一応、とばかりにフォローを入れる野坂。……否、フォローではなく若干どころかかなり乏している気がしてならない鏡花。
(……野坂君って……彼みたいな人と馬合わなそうに見えるんだけどな…)
なんて初めて居合わせた鏡花が思う事じゃないのかもしれない。
あんまり近づきたくはなぁ…と躊躇う鏡花。触らぬ神に祟りなし。……神じゃなくて人間だけど、と永遠1人ボケツッコミルートに直行しようとしている。
「……そういえば、さ。人狼っていうゲームでも狼は1人じゃない。2人目の狼がいるんだよね。まだ潜んでる可能性はあるかもよ」
「の、野坂さん!?」「……人狼、が?」
野坂の突飛な発言に周囲がは?、と轟く。今の現状をゲームと例えるなんて…。そのユーモアな発想とこの場に及んでの発言力に鏡花は思わず呆気に取られたまま、立ち固まった。
「……この人数で人狼ゲームをやってるって事、ですか…」
鏡花も現中学生なだけあり、人狼プレー経験はそれなりにある。あれはただの疑心暗鬼になるだけのゲームだ。自身の役職によっては嘘を吐かなければならない時だってある。あのスリリングさがやめられない、と今流行りでもあるが、鏡花は苦手だった。
(……あんな、ゲーム持ち出してくるとか野坂君、何がしたいんだろう)
皆の視線がより一層、厳しくなり所構わず飛び交い始める。
それは誰かが尻尾を出さないか、襤褸を出さないか。と待ち侘びる狩人の“瞳”だった。
その瞳の矛先は結局、趙 金雲のおちゃらけた“解散ン〜”で一気に地へと落ちる。参戦いきなり、鏡花とアツヤは何処か高揚していた気持ちが冷めつつあった。
(……今日、悪夢見ちゃいそう……)
心の何処かで疼く恐怖心と警戒感。此処から逃げ出せない、という現実に鏡花は微かに窓から窺える灰一色に広がる大空を見ながら溜息を零した。
✿
(でも、あれ以来みんなあの話しなくなったんだよね…)
食後、自室でアセアセとジャージを羽織りながら1人でに思い出す。自分自身あまりその話題に触れたくなかったので好都合だったが、はっきり言ってしまうと胸糞悪くてする気すらなかった。
(でしゃばり、とか言われても嫌だったし……)
急いで行かないと場所取りしてくれている灰崎とヒロトからクレームが来そうで余計まごついてしまう。
緩く横へと長髪を銀ゴムで束ねた鏡花は小走りでフィールドへと向かう。道中坂野上が「鏡花さん、廊下は走っちゃ行けないんですよぉ!」と少し笑いながら注意を飛ばした。
「ごめん、坂野上君!!今回だけは目を瞑ってて!!」
……どっちが年上なのか分からない会話を交える鏡花と坂野上。早1週間、鏡花が思ったよりもはやく、周りは参戦メンバーである鏡花(そしてアツヤ)を迎え入れてくれた。
ほぼ全員のメンバーは名前で声を掛けてくれるし、話しかけもしてくれる。……そう、“ほぼ全員”。
「顔思い出しただけで腹立つ……」
グググッ、と1人でに左手で拳を形作る鏡花。青筋が立ちかねない勢いでその唯一、馴染む素ぶりを見せない者への勢いで怒りメーターが振り切れかける。
_____________水月 大河の事だ。
監督に「鏡花さんに起床係を手伝って欲しいんですよぉ、彼は宵っ張りの朝寝坊常習犯でしてねぇ〜」とやや言葉巧みに包められ、任命されてしまった鏡花。監督放棄も良いところだ。
(……ああ、もう本当何処のお坊っちゃんだ)
朝から気が重いのにげんなりしながら、鏡花はジャージのファスナーを閉めながらフィールドへと足を踏み入れたのだった。