1章
夢小説設定
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朝食を皆と少し遅れを取りながら摂り終えれば、食休みを置いていよいよ練習が始まる。
「おい、鏡花!先に俺と灰崎で行ってっぞ」
「あっ、了解。いつもの西側のコート?」
「多分な。DF陣が先回りしてなけれ_____ 」
「おい、ヒロトはやくしねぇととられっぞ」
「嘘だろ、そ、そういう事でじゃあな!」
……バタバタと慌ただしく立ち去っていくヒロトと灰崎を手を振り見送りながら「…元気いいなぁ…」とババくさい事を1人呟く鏡花。
『可能性として1番高いのはここの誰かがイナズマジャパンの情報を外部に送ってるってことかな…』
ずっと耳にこびりついて消えないフィジカルトレーナー・折谷の一言にずっと鏡花は悩まされていた。……鏡花は少し眉間に皺を寄せる。
その一件は彼女とアツヤが丁度、メンバーと合流した日の事へと遡る。
✿
「これはキャンプの敷地内から誰かが外部に大量のデータを送信している形跡です」
パソコンの画面をメンバー一同に見せた折谷。一同を疑うような仕草は無かったが瞳には顔色を変えないか、と探りを入れる光が差す。
「嘘だろ、俺達が参戦した日に限ってそんな事って…」
「……私達に疑いをワザと向けるようにしたのかな」
アツヤと鏡花はそっと小声で会話を交わす。追加メンバーである2人を受け入れたくないメンバーがいるのだろうか……、とどんどん消極的な思考へとなってしまう。
「おい……、そこの2人が俺らの情報を漏洩してるんじゃねぇよな?」
案の定、真っ先に疑いの目をかけられた。ハッ、と視線を移せば疑い一色のヒロトがいる。その隣では不動 明王が口元を緩ませながら私達がどう出るか静観していた。
「んなわけねーだろ!?無茶ぶり言うなよ、俺らは今日!しかもたった今ここに来たんだから!」
アツヤが憎悪剥き出しにヒロトに突っかかった。「アツヤ、落ち着いて」と兄の吹雪 士郎に促される。
「…幾ら何でもそれはないですよ。アツヤの言う通り、たった今私達はこのキャンプに到着したんです。昨日までは日本にいたんですよ!?」
私もそう声をあげた。皆の間であちらこちらへと犯人を捜すかのように鋭い視線が飛び交う。
「……僕もそれはないと思う」
不意に野坂 悠馬が濁り始めた空気をガラリと変えた。皆の視線が一斉に彼へと向く。
「わざわざ自分達がやってくるタイミングで情報漏洩をバラすなんてアツヤ君と鏡花ちゃんにはデメリットしかない。違うかな?」
……あ、と数人が息を呑む音。鏡花も自分に猜疑の目が向けられている事も忘れマジマジと野坂を見つめた。
(……FFIで試合TVで観てたけど…圧倒的皇帝感…)
“戦術の皇帝”と言う異名まで持つ彼は色素の薄い灰色の瞳をぼーっと己を凝視していた鏡花へと移した。お互いの視線が磁石のS極・M極かのようにぶつかり合う。反射神経かのようにサッと目を逸らした鏡花に野坂が少し口元を緩めたような気もした。
「_____ でもよぉ、皇帝さん。この中にまだ裏切り者がいるって事は事実だろ?追加参戦した2人が違えんだったら既参戦の俺らの中にいるって事だ」
不動が鋭い意見を飛ばす。緩みかけたような空気がそんな不動の一言で再び凍り付いた。坂野上が不動の背後で慌々と視線を彷徨わせている。
「_____________ 何?この集合体」
そんな張り詰めた空気をぶち壊しにした人物がいた。イヤホンを繋いだスマホを片手に悠々と歩いてきた…長身痩躯の男子。
真黒な少しハネ気味の髪に淡黄色の切れ長の瞳。……歳は中3ぐらいだろうか。
(……び、美形……)
恋愛スキルがゼロな鏡花でも彼の端整な顔立ちには目を見張るばかりだった。しかし、そこでハタ…と気づく。
(試合に…出てるなら覚えてる筈なんだけどな、見慣れない)
「……よお、水月。お前いつもタイミング悪ぃ時に来るよな」
ヒロトが少し笑みを浮かべながら彼へと振り向いた。……水月…?
やはり、聞いたことすらなかったメンバーだ。FFIの代表メンバーLIVE映像中継を観ていなかったツケが回ってきたのかもしれない。
「……タイミング悪かったの?和気藹々としてた感じだったんだけど」
(……わっ、和気藹々?この人正気?楽しそうに見える?)
鏡花が水月に抱いた初印象は“空気が読めない能天気男子”だった。
「おい、鏡花!先に俺と灰崎で行ってっぞ」
「あっ、了解。いつもの西側のコート?」
「多分な。DF陣が先回りしてなけれ_____ 」
「おい、ヒロトはやくしねぇととられっぞ」
「嘘だろ、そ、そういう事でじゃあな!」
……バタバタと慌ただしく立ち去っていくヒロトと灰崎を手を振り見送りながら「…元気いいなぁ…」とババくさい事を1人呟く鏡花。
『可能性として1番高いのはここの誰かがイナズマジャパンの情報を外部に送ってるってことかな…』
ずっと耳にこびりついて消えないフィジカルトレーナー・折谷の一言にずっと鏡花は悩まされていた。……鏡花は少し眉間に皺を寄せる。
その一件は彼女とアツヤが丁度、メンバーと合流した日の事へと遡る。
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「これはキャンプの敷地内から誰かが外部に大量のデータを送信している形跡です」
パソコンの画面をメンバー一同に見せた折谷。一同を疑うような仕草は無かったが瞳には顔色を変えないか、と探りを入れる光が差す。
「嘘だろ、俺達が参戦した日に限ってそんな事って…」
「……私達に疑いをワザと向けるようにしたのかな」
アツヤと鏡花はそっと小声で会話を交わす。追加メンバーである2人を受け入れたくないメンバーがいるのだろうか……、とどんどん消極的な思考へとなってしまう。
「おい……、そこの2人が俺らの情報を漏洩してるんじゃねぇよな?」
案の定、真っ先に疑いの目をかけられた。ハッ、と視線を移せば疑い一色のヒロトがいる。その隣では不動 明王が口元を緩ませながら私達がどう出るか静観していた。
「んなわけねーだろ!?無茶ぶり言うなよ、俺らは今日!しかもたった今ここに来たんだから!」
アツヤが憎悪剥き出しにヒロトに突っかかった。「アツヤ、落ち着いて」と兄の吹雪 士郎に促される。
「…幾ら何でもそれはないですよ。アツヤの言う通り、たった今私達はこのキャンプに到着したんです。昨日までは日本にいたんですよ!?」
私もそう声をあげた。皆の間であちらこちらへと犯人を捜すかのように鋭い視線が飛び交う。
「……僕もそれはないと思う」
不意に野坂 悠馬が濁り始めた空気をガラリと変えた。皆の視線が一斉に彼へと向く。
「わざわざ自分達がやってくるタイミングで情報漏洩をバラすなんてアツヤ君と鏡花ちゃんにはデメリットしかない。違うかな?」
……あ、と数人が息を呑む音。鏡花も自分に猜疑の目が向けられている事も忘れマジマジと野坂を見つめた。
(……FFIで試合TVで観てたけど…圧倒的皇帝感…)
“戦術の皇帝”と言う異名まで持つ彼は色素の薄い灰色の瞳をぼーっと己を凝視していた鏡花へと移した。お互いの視線が磁石のS極・M極かのようにぶつかり合う。反射神経かのようにサッと目を逸らした鏡花に野坂が少し口元を緩めたような気もした。
「_____ でもよぉ、皇帝さん。この中にまだ裏切り者がいるって事は事実だろ?追加参戦した2人が違えんだったら既参戦の俺らの中にいるって事だ」
不動が鋭い意見を飛ばす。緩みかけたような空気がそんな不動の一言で再び凍り付いた。坂野上が不動の背後で慌々と視線を彷徨わせている。
「_____________ 何?この集合体」
そんな張り詰めた空気をぶち壊しにした人物がいた。イヤホンを繋いだスマホを片手に悠々と歩いてきた…長身痩躯の男子。
真黒な少しハネ気味の髪に淡黄色の切れ長の瞳。……歳は中3ぐらいだろうか。
(……び、美形……)
恋愛スキルがゼロな鏡花でも彼の端整な顔立ちには目を見張るばかりだった。しかし、そこでハタ…と気づく。
(試合に…出てるなら覚えてる筈なんだけどな、見慣れない)
「……よお、水月。お前いつもタイミング悪ぃ時に来るよな」
ヒロトが少し笑みを浮かべながら彼へと振り向いた。……水月…?
やはり、聞いたことすらなかったメンバーだ。FFIの代表メンバーLIVE映像中継を観ていなかったツケが回ってきたのかもしれない。
「……タイミング悪かったの?和気藹々としてた感じだったんだけど」
(……わっ、和気藹々?この人正気?楽しそうに見える?)
鏡花が水月に抱いた初印象は“空気が読めない能天気男子”だった。