番外編
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「ちょっ、待って…水月君強過ぎるんだけど……」
「……よっっわ……ババ抜きで12連敗する人初めて見た……」
「わかった、絶対透視能力あるでしょ。なにこのチート、不公平!!」
「1回病院行っとく?」
「……随分と気ィ緩んでんなてめぇら。ちょっと黙ってろ、試合前なの忘れたのか」
「運ゲー、水月アホほど強ぇぞ、諦めな」
「鏡花が破滅的なのかこいつがチートなのか不可解過ぎる」
ギャイギャイ騒ぎ声を上げる後列に座ってる2人に前列から溜息混じりの牽制が飛ぶ。
ある意味、密封空間ともいえるバスの場内、後方から数えて3番目。
何かとタッグを組む羽目になっ(てしまっ)た大門鏡花と水月大河。
見る者によっては相性最悪にも最高にも見れるその2人の手元に並ぶのは幾何学的な紋様が表に描かれたトランプカード。
試合直前、スタジアムへと移るバス内で時間潰しと鏡花が偶々持ち合わせていたカードでババ抜きを何気無く2人で始めた事が全ての引金だったと言えよう。
結果はお察しの通り、彼女の惨敗記録が更新され続けてるわけで。
いずれにせよ運に頼る他無いゲームだと言うのに、完膚なきまでに敗戦している状況である。
「……もう1回やらせて……勝てば、今日の試合この上なく無双出来る気がする」
「ええ……なにそれ、鮮烈なデビューを飾る為の祈願に勝負事賭けるってどうなの…」
勝って晴れやかな気持ちで試合に臨みたい、と気迫籠る顔つきで鏡花はカードをシャッフルする。そのカードが軽やかに切れる音に少々疲憊し始めながらも大河は一切手を抜くつもりはないらしい。両者、顔が割と不味かった。
(勝利するイメトレ、イメトレ……!!)
穴が空くくらい、百均のトランプカードを真剣に見詰め合う人達をメンバー達は今迄見たことが無かった。
このままいけばモチベーションやら全体の士気やら。良い方向へと今日の試合が転ぶであろうと声には出さず、彼等の一騎討ちを座席から静聴し始める。
「……あ、また揃った」
「…………」
「無言で睨むのほんと質が悪いからやめてくんない?」
「恨みがましい目線」
「声に出せば良いなんて言ってない」
「あ〜!!水月君今、2枚引きしようとしたでしょ!!」
「してない」
そう表面上ではだらけた会話が進行するものの、2人の手の平では超高速ババ抜きが繰り広げられている。少人数だからか次々と片割れを引き当て、お互いカードの残数は早くも5枚を切った。
鏡花が1枚。大河が2枚。
(今、ジョーカーは水月君。此処で私が数字カードを引いた時点で私の勝ち……)
(……基本、俺ジョーカー引かないから、センパイがここでジョーカーを引き抜いた時点で勝利が決まるようなもん……)
((手なんか抜かないに決まってる……‼︎))
「私はっ!!水月君を倒してっ!連敗記録を止めるっ!!」
「時折思うんだけど俺をなんだと思ってる??」
鏡花が彼の質問に答える事無く勢いよく顔を上げ高々と手をあげる。
そのままの前のめりの戦闘姿勢のまま、彼女の指は右のカードを弾いていた。舞い落ちるかのようにカードがバス底にゆらりと落下する。
「えっ、あ、つい力みすぎ、た……」
そう言いながら鏡花が慌てふためきながら床から拾い上げるのと。
「__________ あ」
大河が残った手持ちのカードに目を落とすのと。
「「……………」」
奇しくもそれは同タイミングで双者に明かされた。
「………ハッ、ハートの9!!やった、勝った、私の勝ち!!」
「……火事場の馬鹿力……」
「バス燃やさないで」
手持ち札を投げ出して窓枠に寄りかかる敗北者と、喜び勇んで思わず走行中に座席から立ち上がりかける勝者。些か、気に食わなさそうに大河が口元を軽く歪めた。
「ほんっっとセンパイ、土壇場強いよね……なんなの、その逆境順応性質」
「………え?なんて?」
思い切り阿保面を晒しながら鏡花が目を点にする。
褒められたのか貶されたのか、はたまた馬鹿にされたのか全く持って解らない。
「________ なんとも?」
そう皮肉を言い包めながら大河は薄い笑みを宿す。
少し癖っ毛の彼の頭に天使の輪が浮かんでおり、その表情が堕天使的であり、抗議しようとしていた鏡花は思わず感情の行き場を失った。
(しょ、勝負に勝って、闘いに負けた……)
_____________ まだまだ、2人の攻防戦は続く。
「……よっっわ……ババ抜きで12連敗する人初めて見た……」
「わかった、絶対透視能力あるでしょ。なにこのチート、不公平!!」
「1回病院行っとく?」
「……随分と気ィ緩んでんなてめぇら。ちょっと黙ってろ、試合前なの忘れたのか」
「運ゲー、水月アホほど強ぇぞ、諦めな」
「鏡花が破滅的なのかこいつがチートなのか不可解過ぎる」
ギャイギャイ騒ぎ声を上げる後列に座ってる2人に前列から溜息混じりの牽制が飛ぶ。
ある意味、密封空間ともいえるバスの場内、後方から数えて3番目。
何かとタッグを組む羽目になっ(てしまっ)た大門鏡花と水月大河。
見る者によっては相性最悪にも最高にも見れるその2人の手元に並ぶのは幾何学的な紋様が表に描かれたトランプカード。
試合直前、スタジアムへと移るバス内で時間潰しと鏡花が偶々持ち合わせていたカードでババ抜きを何気無く2人で始めた事が全ての引金だったと言えよう。
結果はお察しの通り、彼女の惨敗記録が更新され続けてるわけで。
いずれにせよ運に頼る他無いゲームだと言うのに、完膚なきまでに敗戦している状況である。
「……もう1回やらせて……勝てば、今日の試合この上なく無双出来る気がする」
「ええ……なにそれ、鮮烈なデビューを飾る為の祈願に勝負事賭けるってどうなの…」
勝って晴れやかな気持ちで試合に臨みたい、と気迫籠る顔つきで鏡花はカードをシャッフルする。そのカードが軽やかに切れる音に少々疲憊し始めながらも大河は一切手を抜くつもりはないらしい。両者、顔が割と不味かった。
(勝利するイメトレ、イメトレ……!!)
穴が空くくらい、百均のトランプカードを真剣に見詰め合う人達をメンバー達は今迄見たことが無かった。
このままいけばモチベーションやら全体の士気やら。良い方向へと今日の試合が転ぶであろうと声には出さず、彼等の一騎討ちを座席から静聴し始める。
「……あ、また揃った」
「…………」
「無言で睨むのほんと質が悪いからやめてくんない?」
「恨みがましい目線」
「声に出せば良いなんて言ってない」
「あ〜!!水月君今、2枚引きしようとしたでしょ!!」
「してない」
そう表面上ではだらけた会話が進行するものの、2人の手の平では超高速ババ抜きが繰り広げられている。少人数だからか次々と片割れを引き当て、お互いカードの残数は早くも5枚を切った。
鏡花が1枚。大河が2枚。
(今、ジョーカーは水月君。此処で私が数字カードを引いた時点で私の勝ち……)
(……基本、俺ジョーカー引かないから、センパイがここでジョーカーを引き抜いた時点で勝利が決まるようなもん……)
((手なんか抜かないに決まってる……‼︎))
「私はっ!!水月君を倒してっ!連敗記録を止めるっ!!」
「時折思うんだけど俺をなんだと思ってる??」
鏡花が彼の質問に答える事無く勢いよく顔を上げ高々と手をあげる。
そのままの前のめりの戦闘姿勢のまま、彼女の指は右のカードを弾いていた。舞い落ちるかのようにカードがバス底にゆらりと落下する。
「えっ、あ、つい力みすぎ、た……」
そう言いながら鏡花が慌てふためきながら床から拾い上げるのと。
「__________ あ」
大河が残った手持ちのカードに目を落とすのと。
「「……………」」
奇しくもそれは同タイミングで双者に明かされた。
「………ハッ、ハートの9!!やった、勝った、私の勝ち!!」
「……火事場の馬鹿力……」
「バス燃やさないで」
手持ち札を投げ出して窓枠に寄りかかる敗北者と、喜び勇んで思わず走行中に座席から立ち上がりかける勝者。些か、気に食わなさそうに大河が口元を軽く歪めた。
「ほんっっとセンパイ、土壇場強いよね……なんなの、その逆境順応性質」
「………え?なんて?」
思い切り阿保面を晒しながら鏡花が目を点にする。
褒められたのか貶されたのか、はたまた馬鹿にされたのか全く持って解らない。
「________ なんとも?」
そう皮肉を言い包めながら大河は薄い笑みを宿す。
少し癖っ毛の彼の頭に天使の輪が浮かんでおり、その表情が堕天使的であり、抗議しようとしていた鏡花は思わず感情の行き場を失った。
(しょ、勝負に勝って、闘いに負けた……)
_____________ まだまだ、2人の攻防戦は続く。