1章
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「え、水月って蜚蠊殺せるんだ、天職じゃねぇか」
「あってたまるか」
蜚蠊騒動から数日後。優勝候補に挙げられている強豪国・スペインとの大一番を明日に控えたポジション毎練習。先日の細やかな事件を耳に入れたヒロトは真顔で大河に発案する。
クリーンサービス業者を頭の隅に思い描いてしまった鏡花は軽く吹きながら、走り込みでクタクタになって戻ってきたアツヤにタオルを手渡した。
「さんきゅ」
「ん、……あの2人仲良いよね」
「あー、ヒロトと水月?波長は確かに似てるとこあっからな」
「うーん、同意」
なんてカラカラ笑い合ってると、双方から非難の声が飛んでくる。
「はぁっ!?心外だな、ゴッドストライカー様とこんなニートを同類にすんなんて!!」
「うわぁ……センパイ達、人を見る目なさすぎ」
_____ だいぶ、ううん、かなり似ている気がする。
ふふ、と口の端を緩くあげながら笑えば大層嫌そうな目で見られた。
ふ、と少しでも気を抜いてしまえばに明日のスペイン戦への一抹な不安がぐるぐる渦巻く。
世界レベルの公式試合経験なぞ、鏡花はあるわけない。
それに引き換え、同時期に参戦したアツヤは確かに海外戦は初であるけれど、大規模な大会には幾度か出場経験はある。そう思うだけでドッドッ嫌な心拍数に変わっていくのが否めない。
(明日はベンチスタートが良いって思ってる自分が情けない……ほんと、嫌になる)
首筋に手を当てながら短く息を吐いた。
異国の地、で暮らし始めて早1週間。慣れてきているように思っていたが思いの外精神的にも肉体的にも疲労が蓄積されているらしい。
今日ははやく寝ようか、と思いながら宿舎に戻り掛けた矢先にボールに躓いて転び掛ける。
(うっ……集中力があからさまに散漫してるっ…!)
ボールを定位置に戻しながら誰かに見られたかと慌てて後方を振り返る。
変な音は立ててないし、運が良ければ誰も……と都合の良い解釈が浮かんだ時。
鏡花の表情筋がぱきりと引き攣る。バッチリ目があってしまい思わず脱力しかける。
(……最っっ悪だ……)
「ふっ……くくく……」
声に出さないようにしてくれているのか、肩を震わせて私の間抜けぶりに爆笑している大河を2、3度張っ倒したい。なんでよりによって1番見られたくない彼 に見られるんだ……!
「〜〜っ、水月君の馬鹿!!」
八つ当たり如く、暴言を吐き捨てながら鏡花は頬を赧める。
ものともせずにひらひら手を振って大河は追い出すかのような仕草をした。
その成熟されたとても1つ歳下の所作とは到底思えずに訳もない敗北感に駆られる。
(あーもう、ちっとも先輩らしくない……)
顳顬に手を抑えながら何度目か解らない溜息を空中に吐き出す。
きっとFFl終了までこのピリリとした緊張感と気苦労は潰えないのだろう。
_____ 今度こそ、皆の迷惑にならないように。皆の役に立つように。
何度心の中で復唱したかも解らない呪詛を繰り返しながら、鏡花は今度は歩いて宿舎に一歩踏み出した。
「あってたまるか」
蜚蠊騒動から数日後。優勝候補に挙げられている強豪国・スペインとの大一番を明日に控えたポジション毎練習。先日の細やかな事件を耳に入れたヒロトは真顔で大河に発案する。
クリーンサービス業者を頭の隅に思い描いてしまった鏡花は軽く吹きながら、走り込みでクタクタになって戻ってきたアツヤにタオルを手渡した。
「さんきゅ」
「ん、……あの2人仲良いよね」
「あー、ヒロトと水月?波長は確かに似てるとこあっからな」
「うーん、同意」
なんてカラカラ笑い合ってると、双方から非難の声が飛んでくる。
「はぁっ!?心外だな、ゴッドストライカー様とこんなニートを同類にすんなんて!!」
「うわぁ……センパイ達、人を見る目なさすぎ」
_____ だいぶ、ううん、かなり似ている気がする。
ふふ、と口の端を緩くあげながら笑えば大層嫌そうな目で見られた。
ふ、と少しでも気を抜いてしまえばに明日のスペイン戦への一抹な不安がぐるぐる渦巻く。
世界レベルの公式試合経験なぞ、鏡花はあるわけない。
それに引き換え、同時期に参戦したアツヤは確かに海外戦は初であるけれど、大規模な大会には幾度か出場経験はある。そう思うだけでドッドッ嫌な心拍数に変わっていくのが否めない。
(明日はベンチスタートが良いって思ってる自分が情けない……ほんと、嫌になる)
首筋に手を当てながら短く息を吐いた。
異国の地、で暮らし始めて早1週間。慣れてきているように思っていたが思いの外精神的にも肉体的にも疲労が蓄積されているらしい。
今日ははやく寝ようか、と思いながら宿舎に戻り掛けた矢先にボールに躓いて転び掛ける。
(うっ……集中力があからさまに散漫してるっ…!)
ボールを定位置に戻しながら誰かに見られたかと慌てて後方を振り返る。
変な音は立ててないし、運が良ければ誰も……と都合の良い解釈が浮かんだ時。
鏡花の表情筋がぱきりと引き攣る。バッチリ目があってしまい思わず脱力しかける。
(……最っっ悪だ……)
「ふっ……くくく……」
声に出さないようにしてくれているのか、肩を震わせて私の間抜けぶりに爆笑している大河を2、3度張っ倒したい。なんでよりによって1番見られたくない
「〜〜っ、水月君の馬鹿!!」
八つ当たり如く、暴言を吐き捨てながら鏡花は頬を赧める。
ものともせずにひらひら手を振って大河は追い出すかのような仕草をした。
その成熟されたとても1つ歳下の所作とは到底思えずに訳もない敗北感に駆られる。
(あーもう、ちっとも先輩らしくない……)
顳顬に手を抑えながら何度目か解らない溜息を空中に吐き出す。
きっとFFl終了までこのピリリとした緊張感と気苦労は潰えないのだろう。
_____ 今度こそ、皆の迷惑にならないように。皆の役に立つように。
何度心の中で復唱したかも解らない呪詛を繰り返しながら、鏡花は今度は歩いて宿舎に一歩踏み出した。