1章
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「一星君、今度の試合のFWなんだけど」
先日、たまたまジェネラル組の作戦会議が耳に飛び込み、大河の足が止まる。
盗み聞き、と称される程の題材でもないし別に聞いてても良いだろう、と大河は興味半分退屈凌ぎ半分で聞き耳を立てる。
「鏡花さんとアツヤさん。2人の選手が加わった事で日本の戦略は十パターン以上に増えました。なお、データが大雑把にしか明記されていない鏡花さんはまだ何処の国も対策しきれてないでしょう。……しかし、今回はスペイン。刻印の選手がいないとは言え、クリーンな試合で使っていいのかって事ですよね」
「ああ、そうなんだよ。しかし、決勝リーグに駒を進めるにはスペインに負ける訳にはいかない。スペイン・アメリカと反旗を翻すチームが集結しているとは言えオリオンがどう動くか…」
(……聞き耳を立てる会話を間違った)
寝不足から引き出される頭痛に伴い、彼等が発するパターンやスタイルを聞いているだけで頭痛が増している気がしている。相変わらずの頭脳犯。
(ごっでびはそろそろ攻略完了されているだろうし、田舎FWは出した。豪炎寺さんは未だ復帰不可能。……となると俺かクマゴロシ、……後)
銀髪の少女が脳裏を過ぎる。その瞬間後には可能性を打ち消した。
彼女なら試合中に小言を言いかねない。絶対嫌だ、と彼は露骨に顔を顰めた。
……未だ、馴染めずいるのにツートップなんて出来るはずない。
「……僕、結構鏡花ちゃんと大河君、推してるんだよね」
__________突如、突拍子に野坂がとんでもない発言を発した。
話の脈略が皆無、という訳ではないが何かズレてる。流石の大河も唖然と立ち往生する。
(……皇帝さんは何を言い出した。え?俺?タイガって他にいたっけ、……いたわ、うん)
遂には自分でボケ始める程予想外だったらしい。大河はお前以外いないぞ。
「色相環で並べると白と黒だし。いつも衝突してるけど相性は良さそうだし」
「色相環はともかく、俺もその件は賛成ですね。大河君もアジア予選よりも溶け込めていますし、今までフルで試合に出場してないので_____________ 」
まさか一星まで賛同するとは思ってもいなかった。うん、これは訴訟案件。
スライドドアをこれまで込めた程のない力で取手に手をかける。ガッターンッ!と異常な音を立てて開け放ったドアの向こうで彼等は驚いた様な顔つきで大河を出迎えた。
「うわぁっ!!びっ、びっくりした、大河君!!?」
「やぁ、大河君。なんか狼狽してない?初めて見る顔してる」
「ジェネラル共、もしかしなくても俺をスペイン戦でフル出場させる気か」
(……流石にフルは無理。絶対出ねぇ)
大河が90分、試合にフル出場しないのは過去に出来た傷跡と体力の無さ、であった。
過去に出来たお腹を横断するかのように切り裂かれた傷跡が鈍い痛みを伴い、激しく体力を消耗する。そしてスタミナがフルで持たない、この2つからだった。
(仕方なくアジア予選でその話したのに忘れた訳ねーよな、こいつら)
「うーん、今回FWを誰と誰にしようか迷ってて。3人って手もあるけど、そうしたら突破された時に薄くなるし……」
「基本日本の布陣は2:5:3:1なんですよ。これがベストなんです。これを壊してしまっていいのでしょうか……」
何やらスマホの電卓機能で俊足で数値を打ち込む一星の頭脳を見てみたい、と思いつつ溜息を吐く。この風景を見慣れてしまったが、この2人が編み出す戦略法は中学生の域を超えているのではないか度々疑ってしまう。何しろ“アレスの天秤”システムを構築された皇帝と、日本全メンバーのステータスを完全暗記してた2人だ。
(……マジでこれ紙一重だな。ある意味異常者の集まり)
「……俺は多分あんたらの戦略通りにあの人とはツートップ無理だよ。打ち解けられてねぇ」
頭を掻き毟りながら正直に吐露すれば2人は唸りながら承諾した。
「これで5パターン消えましたね……」と此方側を見ながらしんみりと呟く一星に罪悪感らしきものがひしひし蓄積されていく。間接暴力やめろ。
「おそらく前半まで、か後半からか。ま、選手交代は限りあるから無理そうだったら起用しなくていいんじゃない。俺、たまにはベンチ民になりたい」
✿
「あれも見慣れたモンだよなぁ」
「んな、大河があれ要求してるだけなんだけど誰も何も言わなくなったよな」
灰崎とヒロトはそっと作戦会議している3人(のうち1人はクレーマーだが)を見て思わず頬を緩ませる。その後ろで訳の分からないアツヤと鏡花がはてなマークを派手に放出させていた事を彼等は知らない。
先日、たまたまジェネラル組の作戦会議が耳に飛び込み、大河の足が止まる。
盗み聞き、と称される程の題材でもないし別に聞いてても良いだろう、と大河は興味半分退屈凌ぎ半分で聞き耳を立てる。
「鏡花さんとアツヤさん。2人の選手が加わった事で日本の戦略は十パターン以上に増えました。なお、データが大雑把にしか明記されていない鏡花さんはまだ何処の国も対策しきれてないでしょう。……しかし、今回はスペイン。刻印の選手がいないとは言え、クリーンな試合で使っていいのかって事ですよね」
「ああ、そうなんだよ。しかし、決勝リーグに駒を進めるにはスペインに負ける訳にはいかない。スペイン・アメリカと反旗を翻すチームが集結しているとは言えオリオンがどう動くか…」
(……聞き耳を立てる会話を間違った)
寝不足から引き出される頭痛に伴い、彼等が発するパターンやスタイルを聞いているだけで頭痛が増している気がしている。相変わらずの頭脳犯。
(ごっでびはそろそろ攻略完了されているだろうし、田舎FWは出した。豪炎寺さんは未だ復帰不可能。……となると俺かクマゴロシ、……後)
銀髪の少女が脳裏を過ぎる。その瞬間後には可能性を打ち消した。
彼女なら試合中に小言を言いかねない。絶対嫌だ、と彼は露骨に顔を顰めた。
……未だ、馴染めずいるのにツートップなんて出来るはずない。
「……僕、結構鏡花ちゃんと大河君、推してるんだよね」
__________突如、突拍子に野坂がとんでもない発言を発した。
話の脈略が皆無、という訳ではないが何かズレてる。流石の大河も唖然と立ち往生する。
(……皇帝さんは何を言い出した。え?俺?タイガって他にいたっけ、……いたわ、うん)
遂には自分でボケ始める程予想外だったらしい。大河はお前以外いないぞ。
「色相環で並べると白と黒だし。いつも衝突してるけど相性は良さそうだし」
「色相環はともかく、俺もその件は賛成ですね。大河君もアジア予選よりも溶け込めていますし、今までフルで試合に出場してないので_____________ 」
まさか一星まで賛同するとは思ってもいなかった。うん、これは訴訟案件。
スライドドアをこれまで込めた程のない力で取手に手をかける。ガッターンッ!と異常な音を立てて開け放ったドアの向こうで彼等は驚いた様な顔つきで大河を出迎えた。
「うわぁっ!!びっ、びっくりした、大河君!!?」
「やぁ、大河君。なんか狼狽してない?初めて見る顔してる」
「ジェネラル共、もしかしなくても俺をスペイン戦でフル出場させる気か」
(……流石にフルは無理。絶対出ねぇ)
大河が90分、試合にフル出場しないのは過去に出来た傷跡と体力の無さ、であった。
過去に出来たお腹を横断するかのように切り裂かれた傷跡が鈍い痛みを伴い、激しく体力を消耗する。そしてスタミナがフルで持たない、この2つからだった。
(仕方なくアジア予選でその話したのに忘れた訳ねーよな、こいつら)
「うーん、今回FWを誰と誰にしようか迷ってて。3人って手もあるけど、そうしたら突破された時に薄くなるし……」
「基本日本の布陣は2:5:3:1なんですよ。これがベストなんです。これを壊してしまっていいのでしょうか……」
何やらスマホの電卓機能で俊足で数値を打ち込む一星の頭脳を見てみたい、と思いつつ溜息を吐く。この風景を見慣れてしまったが、この2人が編み出す戦略法は中学生の域を超えているのではないか度々疑ってしまう。何しろ“アレスの天秤”システムを構築された皇帝と、日本全メンバーのステータスを完全暗記してた2人だ。
(……マジでこれ紙一重だな。ある意味異常者の集まり)
「……俺は多分あんたらの戦略通りにあの人とはツートップ無理だよ。打ち解けられてねぇ」
頭を掻き毟りながら正直に吐露すれば2人は唸りながら承諾した。
「これで5パターン消えましたね……」と此方側を見ながらしんみりと呟く一星に罪悪感らしきものがひしひし蓄積されていく。間接暴力やめろ。
「おそらく前半まで、か後半からか。ま、選手交代は限りあるから無理そうだったら起用しなくていいんじゃない。俺、たまにはベンチ民になりたい」
✿
「あれも見慣れたモンだよなぁ」
「んな、大河があれ要求してるだけなんだけど誰も何も言わなくなったよな」
灰崎とヒロトはそっと作戦会議している3人(のうち1人はクレーマーだが)を見て思わず頬を緩ませる。その後ろで訳の分からないアツヤと鏡花がはてなマークを派手に放出させていた事を彼等は知らない。