1章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【恋】
特定の相手のことを好きだと感じ、大切に思ったり、一緒にいたいと思う感情。
「……好きってなんですか、アルムのもみの木…」
ベッドに寝転びながらスマホ片手にWikipedia。
明らかに昼間のマネージャーとのトークを引き摺っている。
元々、色恋に敏感な性分ではないし、どちらかというと鈍感だ。誰が誰を好きだなんて聞いて初めて理解するぐらい鈍臭い。鏡花は諦めの溜息を吐いてスマホの電源を切った。
(FFI終わってから考えてみよっかな…)
あと数日でいよいよ本戦リーグが始まる。相手はあの強豪国・スペインなのだ。わずか数週間で敗退して帰国だなんてもってのほかだ。うつつを抜かしてはいられない。
(よし、この話は一旦封印にして……)
そう自分に鞭を振るい、起き上がった鏡花は何気なく目を遣ったその先に、
見てはいけないものを見た。
「ぎゃああああああああああああっ!!!!!」
✿
「大河君、鏡花さんの事どうしてそんなに毛嫌いしてるの?」
「……はぁ?別にしてねぇ」
昼休憩。談話室に1度戻ってきた大河に一星光が呆れた様に口火を切った。クマを揉み潰そうと目を擦っていた大河は素っ気なく返答する。
「してるから言ってるんだって。口煩いかもしれないけどさ、サッカーは仲間とのチームワークがあって初めて成り立つんだよ?」
「あっそ」
一星の小言は右から左なのか、肩透かしの様な態度を取り続ける大河。一向に心を開く素振りを見せない彼に一星は深い溜息を吐くほかない。
「ほんとう、大河君って変な人だよね。俺の事は妙に気にかけてたのに」
それはアジア予選での一悶着。一星がオリオンの使徒としてメンバー内に楯突いてた頃の一件だった。自らその話題を出してきた一星に少々目を瞬かせながら俯く大河。口を噤んでしまった彼を気にかける事もなく、一星は言葉を紡ぎ続ける。そんな一星の表情は過去の自分の事を嘆く事も自虐する事も無い。ひとつの事実としてただ綴っているだけだった。
「俺は大河君がいなければ、みんなと上手くやっていけてなかったかもしれないんだ。みんなに解離性同一性障害の事を知られる事もなく強制離脱させられたかもしれないし、天涯孤独だったかも知れない。オリオン財団を信じ続け、悪事に平気で手を染める薄汚い人間になったかもしれないんだ。だからやっぱり俺は「……んなわけねーだろ」
」
執念深げに力説する一星を断念したかの様に頭を掻く大河。
一星は大河の反応を予想済みだったのか「なんで?」と何故か面白可笑しく問う。
「……別に一星の為にやろうと思ったわけじゃない。たまたま結果としてそうなっただけだろ」
決して自分の手柄としない。決して鼻にかけない。
捻くれ屋で人一倍迷惑かける大河の、時に見せる謙遜する節があるのが憎めないんだな、と一星は思っていた。
そうやって遠慮するから嫌えないし日常の行為を許してしまうのだ。
「鏡花さんもアツヤさんも追加選手だからとは言え、仲間なんだから。俺たちに打ち解けてくれた大河君なら出来るでしょ?」
「……なんか上手く言いくるめられたみたいでムカつく」
「あーあ、だりぃ事言うなよ」と一星の頬を少々力を込めて摘み、談話室を後にした大河の背を目で追う一星。入れ違いで談話室に入ってきた野坂はすれ違った大河と一星の間で視線を交差させ、納得いった表情で頷いた。
「一星君、彼に何を吹き込んだんだい?」
「尊敬する野坂さんと言えど、これは内緒ですよ。俺と大河君との男の友情!ですから」
言わなくても察しのいい野坂さんの事だ、一目瞭然だろうと一星は笑いながら答えた。
「男の友情!って。一星君案外古い人間?」
「機械みたいに言わないでくださいよ!そんな真顔で問わないでください!」
特定の相手のことを好きだと感じ、大切に思ったり、一緒にいたいと思う感情。
「……好きってなんですか、アルムのもみの木…」
ベッドに寝転びながらスマホ片手にWikipedia。
明らかに昼間のマネージャーとのトークを引き摺っている。
元々、色恋に敏感な性分ではないし、どちらかというと鈍感だ。誰が誰を好きだなんて聞いて初めて理解するぐらい鈍臭い。鏡花は諦めの溜息を吐いてスマホの電源を切った。
(FFI終わってから考えてみよっかな…)
あと数日でいよいよ本戦リーグが始まる。相手はあの強豪国・スペインなのだ。わずか数週間で敗退して帰国だなんてもってのほかだ。うつつを抜かしてはいられない。
(よし、この話は一旦封印にして……)
そう自分に鞭を振るい、起き上がった鏡花は何気なく目を遣ったその先に、
見てはいけないものを見た。
「ぎゃああああああああああああっ!!!!!」
✿
「大河君、鏡花さんの事どうしてそんなに毛嫌いしてるの?」
「……はぁ?別にしてねぇ」
昼休憩。談話室に1度戻ってきた大河に一星光が呆れた様に口火を切った。クマを揉み潰そうと目を擦っていた大河は素っ気なく返答する。
「してるから言ってるんだって。口煩いかもしれないけどさ、サッカーは仲間とのチームワークがあって初めて成り立つんだよ?」
「あっそ」
一星の小言は右から左なのか、肩透かしの様な態度を取り続ける大河。一向に心を開く素振りを見せない彼に一星は深い溜息を吐くほかない。
「ほんとう、大河君って変な人だよね。俺の事は妙に気にかけてたのに」
それはアジア予選での一悶着。一星がオリオンの使徒としてメンバー内に楯突いてた頃の一件だった。自らその話題を出してきた一星に少々目を瞬かせながら俯く大河。口を噤んでしまった彼を気にかける事もなく、一星は言葉を紡ぎ続ける。そんな一星の表情は過去の自分の事を嘆く事も自虐する事も無い。ひとつの事実としてただ綴っているだけだった。
「俺は大河君がいなければ、みんなと上手くやっていけてなかったかもしれないんだ。みんなに解離性同一性障害の事を知られる事もなく強制離脱させられたかもしれないし、天涯孤独だったかも知れない。オリオン財団を信じ続け、悪事に平気で手を染める薄汚い人間になったかもしれないんだ。だからやっぱり俺は「……んなわけねーだろ」
」
執念深げに力説する一星を断念したかの様に頭を掻く大河。
一星は大河の反応を予想済みだったのか「なんで?」と何故か面白可笑しく問う。
「……別に一星の為にやろうと思ったわけじゃない。たまたま結果としてそうなっただけだろ」
決して自分の手柄としない。決して鼻にかけない。
捻くれ屋で人一倍迷惑かける大河の、時に見せる謙遜する節があるのが憎めないんだな、と一星は思っていた。
そうやって遠慮するから嫌えないし日常の行為を許してしまうのだ。
「鏡花さんもアツヤさんも追加選手だからとは言え、仲間なんだから。俺たちに打ち解けてくれた大河君なら出来るでしょ?」
「……なんか上手く言いくるめられたみたいでムカつく」
「あーあ、だりぃ事言うなよ」と一星の頬を少々力を込めて摘み、談話室を後にした大河の背を目で追う一星。入れ違いで談話室に入ってきた野坂はすれ違った大河と一星の間で視線を交差させ、納得いった表情で頷いた。
「一星君、彼に何を吹き込んだんだい?」
「尊敬する野坂さんと言えど、これは内緒ですよ。俺と大河君との男の友情!ですから」
言わなくても察しのいい野坂さんの事だ、一目瞭然だろうと一星は笑いながら答えた。
「男の友情!って。一星君案外古い人間?」
「機械みたいに言わないでくださいよ!そんな真顔で問わないでください!」