このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

その他(not夢)



用心深いRAMの側近であり、外見が幹部以外に割れていない、白いロングヘアでオッドアイの幹部がいる。
その幹部は、敵対組織をいとも軽々と制圧する事ができた。あまりの身体能力の高さに男かと思ったが、女らしかった。変装の際は地味目の女でいることが多かったが、それも本来の派手な見た目を隠すためであろう。
彼女はキュラソー、生まれながらに異常に記憶力が良い女で、ラムの右腕とまで呼ばれる幹部だ。

そんなRAMの側近、キュラソーと任務に向かうのは最近幹部になった若い男、コードネームをピンガという。
髪はコーンロウに編み上げており、邪魔にならないように一つにまとめている。野心溢れるからこそこの若さで幹部となっているが、基本的にのし上がる為の任務はどんどんこなす淡々とした器用さを持ち、RAMに気に入られようとしている様子でほぼRAMの言いなりとも言える状態だ。

そんなRAMに近い幹部の2人が任務に同時に赴く事は珍しく、RAMの手足として別の任務を振られることが多い為に今回の任務の重大さが窺えた。
どうやらRAMが念の為にと目を光らせてた、──以前キュラソーを使い壊滅状態に追い込んだ敵対勢力の残党が徒党を組み始め、このまま放っておくと厄介になるので潜り込み内部から壊す必要があるとの事だった。


キュラソーもピンガも変装を得意としており、キュラソーはその身一つで恐ろしく強く、ボクシング等のプロにすら引けを取らない、そして何より、一眼見ただけで記憶してしまう程の異常な記憶力を持つ。コレをRAMは重宝している。
またピンガは肉弾戦ではキュラソーほど相手を圧倒できるわけではないが、格闘技の動きはマスターしているし、力で勝てずとも押し留める事や、地形を使った撃退などの頭を使った対処は得意であり、また、体格で勝てなければ毒物等を用いる冷静さもある。そして何よりハッキングの精度と速度が速い。

つまり内部から情報を巻き上げ、壊滅させるにはうってつけの人選であった。


「キュラソー………恥じらいってモンがねえのか」
「そんな事気にしてる場合かしら、そろそろ来るわよ」
「いいならいいけどよ」


ここが女子更衣室とはいえ、ピンガは男である。真横のロッカーを使用し、横で当たり前という顔をして服を脱ぎ着するキュラソーをジロジロ見ることはしないが、仕事とはいえそれでいいのかと、ピンガは今は長い前髪に隠された眉を顰める。
今回の潜入にはどちらも女の姿の方が都合が良いという事でまるで2人の姿は姉妹のようだ。もちろんド派手な髪でいるわけにもいかず、キュラソーはストンと落ちるようなストレートロングの茶髪を、ピンガはふわふわとしたミディアムの髪を軽く一本に結んだ茶髪を被る。

迂闊にも組織から派遣されたスパイを、ちょうど人が足りてないと、あの組織に復讐したいのか、我々は同志だと嬉々として招き入れた敵対組織の残党たちと過ごして1週間、武器の密売ルートや、組織をよく思っておらずこんな場所に手を貸した馬鹿な会社、また、これからの計画殆どを手に入れ、後は今日、この杜撰な管理をしているこの勢力のボスとやらに会い、それでしまいだ。

お互い、装備を整え、キュラソーのロッカーの内部に遠隔爆弾、ピンガのロッカーの内部には火薬袋とガソリンの入ったペットボトルを入れ、鍵をかけた。
そこで、コツコツと足音が近づいてくる。
この勢力のボスの場所に案内してくれる老人だ、この男は秘書的存在らしく、有能な者ならば誰でも歓迎と言った様子で全くこちらを警戒する様子がない。よく今までやってこれたものだ、と若輩者ながらピンガは鼻で笑う。

「こちらです、ボスにあなた方の有用性は十分に伝えてます。あぁ、あなた方に下される指令が羨ましくて仕方ありません」
「そんなに評価してもらえるなんて、嬉しいですわ」
「案内頂いてありがとうございます、あの組織を壊滅させる為に、頑張りましょうね」

老人はようやくこの日が来たのだと、あの作戦を任せられる程の人材がこのタイミングで入ってくれて本当に運命だと、嬉しそうに目尻に涙を浮かべた。それほどに組織を恨んで、壊滅を心から願う姿は側から見たら孫でも可愛がるそれだ。

ボスとやらがいる部屋にキュラソーとピンガが踏み入る。
怪しまれない程度に警戒をしたが、罠もなければ、なんと拍子抜けする事か!監視カメラらしきものが一つも見当たらなかった。
確かにこの組織に入って即、ピンガはハッキングを仕掛け、防犯カメラの場所等全てを確認した。ハッキングに気づく様子もなく、ボスの部屋らしきものも無かったため、本当に全てハッキングしてるのか?とキュラソーにつつかれたが本当にそれしか無かったのだ。念には念を入れよう、ボスだけは別扱いかもしれないという想定もしていたが…本当に欠陥だらけの、徒党を組みきれてない穴だらけな組織だったのだと改めてガッカリした。
しかしどこから監視されてるかもしれない、被った女の皮を破るにはまだ早い。


高級な海外製の椅子に座り、こちらを見つめる彼らの言うところのボスに、キュラソーには見覚えがあった。以前壊滅させた敵対勢力では参謀をしていた男だ。
あの頃は髪の手入れも行き届いており、やけに小綺麗にしていたが、今は髪は伸ばしっぱなしでパッと見では同一人物と気づけないほどだ。それに、着ている背広とネクタイ、それは間違いなくキュラソーが絶命させたあの勢力のボスが着ていたものだった。
なんだ、私情が殆どなのかとキュラソーは今から潰す組織への興味が急激に薄れる感覚を覚えた。


「君達、若いし女性なのに随分役に立ってくれているみたいじゃないか、ありがとう」
「とんでもありません」
「私はこの組織のトップに立っている…」
「仁平、でしょう」
「!?な、なぜそれを………まさかッ!!!」

仁平は立ち上がり、懐から掴み出した拳銃をこちらに構え、我々に伝える為に用意したであろう情報の詰まった、傍にあったノートPCをすぐに抱え、後ずさった。
PC確保してからでよかったろ、とピンガは相手の名前を言い当てたキュラソーを睨みつつ、忍ばせておいたUSBをポケット越しに確認する。キュラソーがここでゆっくり確認する暇が無くなったならデータ移行をする為に持ってきておいたのだ。

キュラソーはそんなピンガには目もくれず、相手に向かって飛び出した。仁平は驚きながらも2度発砲した、キュラソーは2発とも避け、仁平の顔に拳を叩き込む。
1発はピンガの足元に着弾しており「おいおい、俺に当たったらどうすんだこの女!」と思う暇もなく、容赦無く顔を潰したキュラソーを見てドン引きするが、発砲したと言うことは音を聞きつけて他のヤツらが駆けつけてくるとすぐ思考を切り替え、今入ってきた扉の方を向けば、案の定複数の足音を耳が捉えた。

「おいキュラソー!」
「わかってる、離脱するわよ」

言いながらキュラソーは相手から奪い取っていた銃で倒れた仁平の脳天と胸を残弾の全て使い撃ち抜いた。片手には無傷のノートPCを納めている。
完全に息の根が止まった事を確認しすると、窓に駆け寄り外の様子を確認する。問題ないと判断したキュラソーが3階の高さだというのに躊躇いなく窓ガラスを割り、飛び出す。どうやら勢いを殺せそうなポール等があったみたいだ。
状況を確認したピンガはキュラソーに続き、割れた窓からジャンプした。同じようにポールを使い地面に降り立つ。

騒がしい建物の裏口は昨日撒いておいたセメントが昨晩の雨により固められ殆ど動かず、正面口は電子制御にしたのが仇となりハッキングで動作不可にしている。仁平は今日は組織を潰すための一歩目だと「同志」を全員アジトに集めている。故に都合が良かった。

誰1人外に出た様子がない事を確認したピンガは、片手でスマホを操作し、先程設置した爆弾の起爆コードを入れた。
キュラソーは既に用意した車の運転席に座っており、ピンガも助手席に駆け込む。

おい、開けろ!ともう死体しか残っちゃいない部屋の扉越しにする声が、巨大な爆発音と揺れの後、悲鳴に変わった。


「おー、思ったよりでけぇ爆発」
「あの火薬、RAMが研究員に作らせたものらしいわよ」
「通りでえげつないワケか…」

言いながらピンガはPCにトラップや、データ消去のプログラムが組まれてないかを確認する。USBを差し込んでデータが消えるような罠がないとも限らない。それであればデータを取る前にキュラソーに見せたほうがいい。
荒々しくアジトからとにかく早く離れる運転をしていたキュラソーは、追っ手の車がない事を確信すると街中に近づくにつれ法的速度に落とす。

「つーか、お前なんであんな早い段階で暴いた?殺す前に尋問する予定だったろ」
「完全に今回のは私恨だったわ。前に潰した時にヤツを見た、その頃と外見は少し変わってたけど間違いなくくだらない理由。ヤツのお気持ちなんて聞いたところでRAMに報告できないわ」
「流石はRAMの右腕様だな」

ピンガが知り得ない情報で確信を持てたのであれば、それまでである。しかし知らない事で勝手に任務をゴリ押したりしないで欲しいものだ、キュラソーほどの身体能力が誰にでもあるならいいが、そうではないのだから。

「PCは問題なさそうだな、一応戻ったらザッと見といてくれ。それからUSBには移動させる」
「もう終わったの?」
「運転変わってやるからその間に見てもいいぜ」
「ピンガは便利だとラムに言っておくわ」
「そりゃドーモ」



そうして唇の厚い、茶髪の美人な姉妹がお喋りをしながらオープンカーを走らせる姿は街で人々に目撃されたが、微笑ましく思われるばかりで怪しまれることは全く無く、日常のワンシーンの記憶へと溶け込み、やがて人々の印象的な記憶からも消えてった。



















あとがきというかうめき声↓



RAM
自分は寿司屋やっててもそりゃこんなに便利な部下がいたら余裕すよねえ!?という感じ。キュラソー、マジで便利だっただろうな…ピンガも…(どっちも原作キャラじゃないけど…今後どうするんやRAM…)

キュラソー
黒鉄見た後に悪夢見たらめちゃくちゃピンガと見比べるところありすぎというか黒鉄自体がかなり漆黒と純黒知った上で見ると死ぬ作りになっててびっくりしちゃったな…。
キュラソーがショートカットだった頃めちゃくちゃ可愛くないですか?久々に見たら気が狂った。有能…。キュラソーも茶髪短髪女変装だったな…(死)

ピンガ
何回も見ると蘭姉ちゃんに負けてるけど地理とかでガッツリ床に手ついて蹴り上げるところとか頭良!になり…気持ちがめちゃくちゃになっちゃったよ…。キュラソーは変装して警察に侵入したのに素顔でユーロポール入っちゃうのおもろすぎん?キールも何やってんだ!って思ったろ流石に。
キュラソーと任務に行くところがみてえ!!!の産物です。
1/2ページ
スキ