その瞬間は突然に
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ごめんなさい、ごめんなさい
心の中で何度もみんなに謝った。
積極的に助けに行かず修理と隠密を優先して、もう一度吊られる猶予はあったのに鍵までくれたジェイクを見殺しにした。
ジェイクが生き絶え、もうすぐハッチが現れる。万が一閉められてもチャンスはある…とにかく今はバレないことが最優先。
でもサバイバーならわかるハズ
最後の一人になって有利なのはキラーだってこと。ましてや相手が隠密を得意とするゴーストフェイスなら尚更…
「ねぇ、今日のキミ変じゃない?」
返事をする前に走り出した
ハッチの音を聞き逃さないように耳を澄ませながら階段を降りて左に曲がる。
「残念、こっちでした」
すでに見つけていたゴスフェが嘲笑うかのように右側にあったハッチを閉じた。場所はわかったからあとは時間内に鍵を使うだけ。そこから離れてもらうためにまた走ると追いかけながらナイフを振りかざし、一撃喰らうのは仕方ないと思ったのが甘かった…
『なっ…!』
「フランクリンの悲劇の名前って映画からとったって知ってた?」
切られた痛みよりも鍵を落としてしまったことに同様し、運悪くそれはゴスフェの足元に転がった。
「さてどうする?早く拾わなきゃ消滅しちゃうよ?」
『お、お願い!それがないと出られないの!』
「ちょっと、笑わせないでよ。そんなお願いでそうですかって足を退けるわけないじゃん」
崩壊の時間もアイテム消失の時間も迫る…このままじゃ私は死んでしまう…それだけは絶対ダメなの!
『お願い!死にたくない!私は生きてここから出たいの!』
「…なにそれ?キミ、ホントにナマエ?」
『そんなことどうでもいいでしょ!それがダメならゲートから逃げるだけだもん』
「だから…それでそうですかって逃がすバカならキラー辞めたほうがいいよ」
ダメなの…お願いわかって…っ!
『どいてよ!お願いだから私を逃して!』
「キミはそんなんじゃないだろ!逃げるのが下手なくせに救助優先で、後ろに来てるのわかってるくせに修理がもう少しだからって手を離さないようなバカでしょ!」
『そんなの知らないよ!私は生き残るために自分のできることをしたの、それの何が悪いの!?』
「本気で言ってるの?」
『時間がないの。私は逃げることを諦めてないから』
「そっか」
※※※
この儀式が始まる直前、私の頭に直接声が流れ込んできて、それがエンティティだということは名前を聞かなくてもわかった。
「可哀想に…記憶を失ってさぞかし不便だろ?記憶を取り戻したくないかい?」
『でもそれはできないってケイトが…』
「そのハズだったが健気に頑張るオマエの姿を見てワタシも助けになりたいと思ったんだ」
『そのために私はあなたに何を支払うの?』
「選択肢を二つあげよう。一つは最後の一人になって脱出、もう一つはゴスフェにキミはもう要らないと思わせることができたら記憶を戻してあげるよ」
『なにそれ!?そんなこと思われたら記憶が戻ったって意味ないじゃない!』
「それはあくまで記憶のないナマエだろ?そのあと記憶が戻れば全て無かったことになる…ゴーストフェイスが愛しているのは記憶のあるナマエだからね」
今の私はゴーストフェイスに愛情はないはずなのに胸が抉られるような気分だった。別に記憶がなくてもみんなとはうまくいってるし儀式にも慣れてきたし、何の不自由もないはず…
「少しだけ思い出させてあげようか」
私が答える前に頭の中に声が流れる
それはとても優しくて声だけで愛情が伝わってくる…"今の私"は知らないゴーストフェイスの声。
「さて、答えは決まったね。チャンスは一度きりだ」
私が答える前に声は消え、みんなの集合場所にやってきた。そして最後にもう一度声が流れ込んできた。
「言い忘れていたが、オマエが失敗した場合のペナルティはゴーストフェイスの処分だからね」