その瞬間は突然に
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あのあと何も言わずゴーストフェイスは部屋を出て行った。腕からは血が流れジンジンと痛むのにそれ以上に彼の悲痛な声が耳から離れなかった。
「あらおはよう。今パンケーキを焼いてるんだけどナマエも…」
『ケイト…記憶が無くなる前の私とゴスフェの関係を教えて…』
「ちょっと、急にどうしたの?もしかして儀式でアイツに何か言われた!?」
まだ何もわからないのに勝手に涙が溢れる。これがゴスフェに対する罪悪感なのか逃れたいという哀願なのかすらわからない。そんな自分勝手な私をケイトは抱きしめ、背中をさすりながら申し訳なさそうな顔をした。
「ごめんなさい、私の口からは言えない…ううん、言うのは簡単なんだけどあなたたちの関係はそんな軽いものじゃないの」
みんなの反応やゴスフェが部屋にいたことを考えるとなんとなく想像はつくが、キラーとサバイバーが恋愛関係になる構図は想像できない。ましてや相手はあのゴーストフェイス…私の片想いの可能性もあるけど、だとしたらなんであんなに悲しそうな声だったのか…。
「私から言えることはもっとアイツをよく見てみたら?ってことかしら。まぁ、相当捻くれてるから思い通りにはならないと思うけど」
『もしも私がゴスフェを好きだったんたとしたらどこに惚れたんだろ?』
「ふふっ、私も最初同じこと聞いたわ」
私のせいで少し焦げてしまったパンケーキをお皿に乗せコーヒーまで淹れてくれ、食欲はなかったはずなのに甘い香りに思わずお腹が鳴った。
「あれから森には行ったの?」
『うん、そしたらトリスタに会った…』
さっきまでのドタバタで忘れていたのにトリスタとのキスを思い出してしまい、頭がパンクしそうだった。そしてふと、万が一にも私とゴスフェが恋人同士ならキスとかしていたのか…と考えるがまったく想像できなかった。
「ナマエったら赤くなったり青くなったり大忙しね」
『だって私とゴスフェが仲良いなんて想像できないんだもん。ねぇ…私とトリスタって仲良かった?』
「どうかしら?あなたから出るのはゴスフェの話ばっかりだったからわからないわ」
簡単には言えないと言っていた割に隠そうとしないケイトが面白くて笑ってしまった。
「あんなサイコパスの応援したくないけど、私って美人なうえに優しいから仕方ないのよ」
『ゴスフェと話してみる。嫌がられるかもしれないけど話さなきゃダメな気がするし』
「私たちですら突然あなたを失ったようで悲しかったからゴスフェの喪失感はすごかったと思うわ」
『うーん、そんな感じはしなかったけどなぁ』
「言ったでしょ捻くれてるって。もしかしたら部屋で大泣きしてたかもよ?」
冗談のように笑ったがゴスフェがナマエを大事にしていたことを知っているケイトは内心同情していた。もしこのまま記憶が戻らなければゴスフェだけが一生あの頃に取り残されたままになると。
「はぁ…やっぱり私は甘いわね」
『どうかしたの?』
「何もないわ。お皿は片付けておくから記憶のカケラを探しに行ってらっしゃい」
『ありがとう。記憶はないけどいつもケイトに助けられてた気がする』
「そうね、今度新しい衣装買ってもらわなきゃ」
ふふっと笑いケイトは「ゴスフェって押しに弱いみたいだから頑張って」と言って背中を押した。