その瞬間は突然に
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『あっ…死んでたんだ…』
殺された感触はしっかり残っているのにどこか他人事のような感覚。指先にまで血が通うのを感じ起きあがろうとするとふいに儀式の最後を思い出した。
『私…えっ、あれって夢?それにしてはリアル…』
「キミってそんなに独り言多いタイプだったんだ?」
突然覆い被さる黒い影に驚きすぎて声が出なかった。しかし影は叫ぶと思ったのか口を手で抑えられ、革手袋の匂いで彼が誰だか気付いた。
『生き返ったばっかりなんですから驚かさないでくださいよ!』
「くくっ、ウケる。でも僕だって声かけようとしたらキミが一人で喋りだすから怖かったんだよ?」
ベッドに腰掛け今回は血のついていないナイフをくるくる回し始めた。物騒な遊びだと思いながらも頭の中はトリスタのことを考えていた。
『いや、その…色々ありまして』
「なんか顔赤くない?」
『えっ、嘘!?』
「まるで恋でもしてるみたいだねー」
『こ、恋じゃないです!そりゃあの笑顔は予想外だったけど…別にそれだけで…』
「は?まさかホントに…」
『そんなことよりゴスフェさんはどうしてここにいるんですか?』
「そんなことねぇ……そりゃ僕がここに来るのは暇つぶし以外ないでしょ」
ゴーストフェイスはヤバいってみんなに散々警告されてたのに儀式じゃないことに油断していた。強い殺気に体が震え、さっきと同じように馬乗りになり首にナイフがあてられる。
『あ、なん…で…怒って…ます?』
「震えてるじゃん、そんなに怖い?この感じ久々だなぁ」
声はとても軽いのに怒りが伝わってくる。首のナイフより押さえつける腕の力に顔を歪めると何が面白いのか今度は笑い始めた。
「現実世界にいたときもこうやって殺したヤツがいてさぁ。死ぬ直前までなんでって質問してきてすごい面白かった…理由なんてないのにね?」
なんの話をしているのかわからないが何を答えても間違いな気がした。それに彼も答えは求めていないと言うようにナイフを押し付ける。
「キミのことだってどうでもよかったんだ。それをキミが…」
『──っあ゙ぁ!』
突然の痛みに喉を切られたのかと思ったがよく見ると腕で、切れ味が良すぎて血が流れるまで数秒間があった。しかしすぐに血が溢れ止血したくてもゴスフェがお腹の上から動く気配はない。
『イヤっ!お願いします…あ゙ぁっ!』
儀式のときはどれだけ酷い目にあっても終われば元通りと覚悟できたが今は違う。切られた部分を捕まれ痛みと恐怖で泣いて懇願した。
『いやぁ!何で…っ、私が何したの!?』
「さっきの話聞いてなかったわけ?理由なんてないから」
『ひど…い…っ…ぐっ!』
「ちょっと切っただけで大袈裟だなぁ。でもさ…少しくらい痛み感じるのもいいんじゃない?」
まただ…突然暗くなる声
今の私はゴーストフェイスをまったく知らないけど、そのせいで彼を怒らせてるの?
「何?この状況で考え事とか余裕じゃん。ならもう少し痛めつけてもいいよね?」
冷たい声でナイフを振り上げ思わず目を瞑ると頬をかすめベッドに突き刺さった。
「なんで…思い出さないんだよ…」