その瞬間は突然に
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あれから何度か儀式に参加し脱出できずに殺され続け、初めの頃に泣いていたのが嘘のように慣れてしまった。
「あっ、ナマエ見つけた☆」
『うわ、トリスタだ!』
「あんなに怯えてたのにすっかりサバイバーらしくなっちゃって。でもそれくらい逃げ回ってくれたほうが僕も楽しいよ!」
キラーはたくさんいるはずなのに最近はトリスタ率が高いこともあり前より仲良くなったと思う。と言っても執拗に追いかけ回されて殴られて吊るされるんだけど。
「アハッ、ナイフ避けるのうまくなったね」
『後ろ向いて走れるようになったからね!』
「そんなお利口なナマエにご褒美だよ☆」
なるべく直線にならないように障害物を利用しながら逃げていると何故か変な方向にナイフが飛んで行った。チャンスと思い次の場所まで走ろうとするとさっきのナイフが跳ね返って体を掠める。
驚く私に満足そうに笑い声をあげながら投げるスピードが速くなり、もう少しで倒れそうだったがタイミングよくナイフがなくなり足を引きずりながら建物に逃げ込むことができた。
今回は工具箱をもってきていたので治療ができず息を殺してバレないことを祈る。近くを探しているのか心音がなかなか消えなかったが、次第に小さくなりほっと息をついて誰かに回復してもらおうと外に出た。
「はい残念☆」
驚く間もなく体に衝撃が走った
『ゲホッ…なん…で…っ!』
「狡猾ってパークだよ。じっとしてるとキラーの心音が消えるらしいけどホントみたいだね」
横たわる私を満足そうに見つめ血塗れの手で頬を撫でられる。抵抗したくても体が痛すぎて息をするのがやっとだ。
「痛い?苦しい?憎い?それぜーんぶ僕が与えた感情だよ」
『そんな…楽しそうに…ゲホッ、言われても…』
「ナマエの目にも頭にも僕しかいない。すごくゾクゾクする♡」
傷だらけの腕を握られ悲鳴をあげるとうっとりした顔で今度は優しく頬や髪を撫でる。それを何度か繰り返され私の意識が遠のきそうになると、少し寂しそうな顔をする。これだけ人をいたぶりながらもコロコロ変わる表情はトリスタらしくて可愛いとすら思ってしまう。
「もう死んじゃうの?寂しいよ」
『これだけ血が出て…生きてるのが…不思議で…しょ…』
「回復してもらってまた殴ろうか?」
『たぶん次殴られたら…そのまま死ぬ…』
「それは一番つまんないからダメ」
『…ワガ…ママだなぁ…』
「ナマエ」
意識が飛ぶ寸前、名前を呼ばれてなんとか目を開けるとトリスタの綺麗な顔が目の前にあって唇に温かいものが触れた。
「かわいい♡また遊ぼうね」
トリックスターの名に相応しい人
最後の柔らかい笑顔も予想外で死の寸前まで驚かされてばかりだった。