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ゆらりと進む航路。よく晴れた日差しは展望デッキに降り注ぎ、ガラス張りの室内を明るく照らす。
触れた体温で尻をじんわりと汗ばませながら、規則正しく上下に揺れる背中の上で、私もまたダンベルを片手にトレーニングに励む。
こいつの背中はこれでもかという程安定しているけれど、筋力などとは無縁に近い私からすれば、それですら体幹を鍛えるには充分なほどだった。
「……お前軽すぎんだよ、何の負荷にもならねぇ」
片手、そしてその先の指3本で身体を支えるゾロは、呆れたように私の下で声を上げる。それでも止まることのない腕立て伏せは続き、私も舌打ちをしながらダンベルを動かす手は止めない。
「じゃあフランキーでも乗せれば」
皮肉交じりにこたえながら、自分の腕にはやや重すぎるそれを握り直してトレーニングを続ける。
真横でいつもこうも身体を鍛える所を見せつけられては、この船の船員として不甲斐ないほどに無力な自分も何かしなくては、と焚き付けられる思いになる。
人並み外れた戦力の仲間たち。仲間と呼んでいいのか躊躇するほど、私の力はこの海で無に等しい。
「……アホか」
つまらなそうに言い捨てて、尚も彼は動きを止めようとはしない。もっと効率的な方法は他にありそうなのに、たまに気が向いたように「乗れよ」と私に命令してくるこの男が、認めたくはないが、好きなのだ。認めたくはないが。
揺れる度に触れ合う直の背中と私の太ももが、ガラスから差す日差しとお互いの熱でじりじりと温められていく。
座った彼の背中から、時折広大な海辺を眺めては、腕立て伏せをするゾロに代わり見張りの役をするも異変は特にない。
「はー、もうギブ」
「ダメだ」
音を上げてダンベルを下ろそうとするも、かけられた言葉にぴくりと反応してしまう。
お前と鍛え方が違うんですけど。私はか弱いので。
「ダメって……もう無理だって」
「……じゃあお前の負けだな。俺の言うこと聞けよ。」
楽し気に話す声に憎らしさを感じて、小さく背中を叩く。いつから勝負になってたんだか。
小さくため息をついて呆れながらも、そんな事を言われたのなら止めることなどできるはずもなく、私は上がらない腕を意地で動かしては、その男の背中の上でトレーニングを再開させた。
*
「ッアー!もうむり!まじむり!腕しぬ!」
「お前の負けだな。……そうだな、じゃあ風呂でも一緒に入ってもらうか。」
「っはーーー?!?!?!何日ぶりだよ!無理なんですけど!ひとりで入れ!」