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「ねぇ、今日はあいついないの?」
昼休み、彼に会うべく隣のクラスへ行くと、気だるそうに椅子に座る大きな背中を見つけた。駆け寄って、半ばタックルする勢いで後ろから抱きつき顔を覗くも、びくともしない巨体は首だけを動かしてこちらを振り向く。
「あいつって言うな……そろそろ仲良くやれよ。」
「ヤダ。だってはるちゃんのことバカ呼ばわりするんだもん。」
呆れたような声をあげ困ったように笑う彼に、頬を膨らませながら否定の言葉を伝えて正面に回り込む。
前から見れば、椅子が小さすぎるのかと錯覚するその片膝に跨いで、いつものように腰を下ろした。
「間違ってはねーよ。」
「頭の良さがすべてじゃないんだよ。」
部が悪そうに視線を泳がせるその頬を両手で包み込むと、じぃっと見つめてそれを伝える。勉強ができたらなんだっていうの。
確かにはるちゃんの成績はあまり良くはない。と同時に、それは私も同じで。彼と比べれば少しはマシかもしれないけれど、けれど、そんなことより彼は大切なことをもっとたくさん知っているんだから、そんなことはどうでもいいじゃないか。
そもそも林のやつ、はるちゃんにベッタリしすぎなんだよ。と心の悪態を表情に滲ませると、はるちゃんの指先が力を加減して額を突く。
「わーったよ。……顔に出てんぞ、愚痴が。」
「バレた。」
可愛こぶって舌をちろりと出せば、まんまとそれに乗せられた彼は仕方なさそうに私を引き寄せてキスをした。
「飯食いにいこーぜ」
立ち上がるタイミングでひょこりと膝から飛び降りながら、むっちりとした腕に抱きついて彼を見上げる。
林のやつがいないおかげで今日は二人っきりだ、と綻ぶ表情を引き締めることなく見つめていれば、大きな手のひらが私の頭をゆらりと撫でる。
しかし期待するも虚しく、教室を出ようとする彼の向こうから聞きなれた声。
「あ、ぱーちん。飯いこうぜ。」
「ゲ、林……」
「てめーも居たのかよ……」
ひょこりと顔を覗かせると、すらりとした細身と長身のあの男が立っていた。林だ。
教室の前で立ち止まったまま、かち合った視線を逸らさずに、お互い眉間に皺を寄せながらしばらく睨み合う。しかしそれを遮ったのは彼で。
「だーっ!お前ら!仲良くしろ!」
響いた声にはっとしながら、お前なんかにやるもんか。と彼の腕を引き寄せる。はるちゃんってたまにお母さんみたい。なんて思いながら、巨体の向こうの男に舌をだせば、今度は先程より強く額を突かれる。
「なまえ」
「ふーんだ」
悪びれる様子もなく言い放ってから、ランチには何を食べようかと考え始める。今日もまた、たくさん食べる彼から色んなものをひとくちずつ貰うことを楽しみにしながら。