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暗がりのなか揺れるちいさな灯火が宍戸の頬を照らして、吹き消した瞬間来年も、再来年も、あんたの隣にいれたらいいのに。って、私がつい願いをかけてしまった。
誕生日のロウソクは、吹き消す時にお願いをかなえてくれる。って誰かが言ってなかった?
都合のいい解釈だとしても、思わず、すがってしまった自分が照れくさいんだけど。
「宍戸、おめでと」
「……へへ」
部屋の明かりをつけて振り返れば、「子供みてーだな」と恥ずかしげに言う宍戸は楽しそうに笑う。
小さく流れるBGMはカラオケボックスで見る特有のCMで、いつかテレビで聞いたヒットソングを知らないMCが大きな画面で紹介していた。
学校帰りに2人で買ったケーキ。無理やり宍戸を連行したからサプライズではなかったけれど、そわそわと居心地悪そうに自分のケーキが用意されるのを待つ宍戸も悪くなかった。
「……ねぇ、1回しか言わないけど。」
「あ?」
「産まれて、出会って、付き合ってくれてサンキュー」
ありがとう。の五文字は恥ずかしくて言えなくて、少し軽めに笑うのが精一杯だった。見開いた瞳は私を捉えて僅かに揺れて、にっ、と細まり笑顔に変わる。
「くっせーぞ」
「はー?二度と言ってやんない」
隣に腰かければ、じわじわと紅くなる宍戸の耳が目に入り、私にまでそれが伝染して行く。
プラスチックのフォークを手に取り、「特別に食べさせてあげよう」とかふざければ、いつもなら抜けた声をあげて照れるくせに。
「……じゃあそうしてもらおうか?」
予想外の強がりと、王様気取りが私の心に火をつける。
「宍戸のくせに、言うじゃん?」
わざと口に入らないほど大きめに取ったケーキを鼻につけてやれば、「ッ、バカ!」と焦る宍戸がまたおかしくて。
私に勝とうなんて、まだまだ早いのだ!なーんて。本当は負けっぱなしなんだけど。
私たち、似たもの同士の負けず嫌い。
来年も隣にいさせてくれよ。宍戸、おめでと。