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ちょうど見上げた展望デッキから姿を現したのはゾロだった。やっぱりそこにいたのね。と凡そ間違うはずのない予想をぴたりと当てるも、別に嬉しいわけではない。慣れた手つきでするすると綱梯子を降りてくる背中を視線の先に捉えると、先程の背徳心から思わず目を逸らし、私は逃げるようにそこを立ち去った。
トイレの個室に入り込んで、小さくため息をつく。無駄に緊張する心を落ち着かせようと胸に手を当て、どうせバレはしないのだから、もっといつも通りに振る舞わなければ。と、目を瞑って自分に言い聞かせる。
考えてみれば、たかたが煙草を吸ったくらいでなんだというのだ。つい口車に乗ってしまったところはあるけれど、そもそも私が緑の言うことを聞く必要があるのか。誰に言う訳でも無く心の中で言い訳を並べながら、平常心を取り戻そうと深呼吸をした。
そして、手元の軽いドアノブをゆっくりとひねり開いた時だった。開いた扉の先には、仁王立ちする男が。
「……ヒ、」
無駄にこういう時ばかり勘がいいのはどういうことなんだろう。逃げたはずが目の前へ現れたその姿に、逆に追い込まれてしまったような感覚が込み上げる。無意識に零れた悲鳴で一瞬で動揺を取り戻し硬直してしまう私はなんて情けないのだろうか。
無言で歩み寄ってくる姿につい後ずさりをすれば、いつのまにか影を落とす程に近付いた胸板を押し付けられ、言葉も出ないまま狭い個室へと私は押し戻されていく。
「なにすん、」
「吸っただろ」
がちゃり。ドアの施錠音で我に返ると、慌てて声を荒らげ目の前の男に食いかかる。しかしそれは遮られ、私は小さく唇を噛んだ。次の発音すら許されないほどの威圧でじとりと睨みつけられれば、背中がじんわりと汗をかいてくるのがわかった。
「……なんで」
がしりと掴まれた右手を宙に挙げられると、気まずさから落とした視線を追うようにゾロが私の瞳を覗き込んだ。
「胸糞悪ぃ臭いがすんだよ。」
低い声は不機嫌そうに個室に響き、不意に金髪の彼が脳裏をかすめた。ただの喫煙ではなく、彼のものをもらってしまったことが更なる地雷だったということに今更気が付いて、舌打ちしたくなるのを奥歯を噛み締めて堪える。そして、何か言い訳をしようかと視線を合わせれば、また発する隙も与えないまま、ゾロはがぶり、と私の唇に唐突に食らいついてくる。
「、んっ!」
驚きから目を見開いて、あまりの近さに瞼を瞑った。深く眉間に皺を寄せながら執拗に咥内を舐めたくる舌は、じっとりと、まるでなにかを掻き出すかのように暴れ回る。
「ふ、ぅ……んっ……」
途切れる思考の中、苦しさからなだめようと舌を這わせるも、それすら無駄な抵抗で、ぐじゅ、と唾液を絡ませた音が狭い個室で微かに漏れる。
「は、……っ……」
普段から優しい口付けなどとは縁遠い男であるものの、いつになく乱暴なそれに反骨心が湧いてくる。握られた手首の自由が効かない代わりに、肩で強引に胸板を押し返すと、するりと身を引いてゾロはこちらを睨みつけた。
怒りと、それ以外のなにかを言いたげに表情ににじませながら、それを口にすることはない。
いい加減に離してくれないものかと掴まれた手首を引き返すと再び腕を引かれ、ちぅ、と音を鳴らし口付けを落とす。その姿は、まるで独占欲の塊のようで、向けられた強い感情に腹の奥が焼けるような感覚を覚えた。
「……ついてんだよ、ここにも。匂いが。」
指先にキスを落としてから、またその唇は私を食べる。生暖かい舌先が、ざらりと指の谷間を這ってびくりと腰が揺れる。
まだ手を洗っていないのに、なんて思い出すもそれは遅く、途端に羞恥心へと変わっていく。
もう一度手首を引き戻そうとしてみるも、がっちりと掴まれたままで逃げることを許されず、それなのに目を離せない口淫に段々と光悦とした表情すら浮かべてしまうのを止められなかった。
「……なんて顔しやがる」
しかしそれも束の間に、力の抜けた肩を掴まれると、突然無理足元に押し込められる。
狭い洋式便座の前に座らされると、それだけで簡単に身動きをとることが出来なくなってしまう。
「そんなにしゃぶりてえなら、俺のでもしゃぶっとけ」
いつの間にか半分ほど形を成したパンツをずり下ろして、目の前にさらけ出される彼自身に生唾を飲んだ。
ここ数日、風呂に入っていないことは明白だった。鼻をつくような雄の匂いに脳をくらつかせていれば、強引に押し込まれてくる男根を抵抗することも出来ずに咥内で受け入れていく。
「んっ、……ぶ、ぅぐ……」
こんなに強引にされても歯を立てないように気をつけてしまうのは何故だろう。咥内からキツく香るゾロ自身に、下半身を甘く痺れさせた。
ゆっくり動き出す腰にまだ準備すら出来ていない喉が浅く犯されていく。大きく影を落とす姿、その瞳を見上げると、息遣い荒く、まるで私を支配でもしたかのようににたりと笑う。
「今日は、許してやらねえ」
吐き出すゾロはひどく欲情していた。
とうに許してもらうことなど諦めていたけれど、この男の独占欲を駆り立てることができるのなら、もう一度サンジくんからタバコをもらってもいいかもしれない。と反省もせず涙を浮かべながら考えた。