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突き抜ける空は高く、今日は晴天。階段脇のハンドレールに寄りかかりながら、たまに嗜んでいた煙草を取り出せば、サッと脇に現れたのはサンジくんで。にこりと笑いながら差し出される火に、その先を燻らせた。
「なまえちゃん、どうぞ……」
カキン、と小気味いい音を鳴らし手元のそれを仕舞う姿を見届けて、ゆらりと揺れる煙の向こうに「ありがとう」と微笑めば、満足そうにもう一度笑って彼は背中を向ける。
彼ほどヘビースモーカーではないけれど、たまに街へ寄った時、煙草を持ち帰ることがある。久々の感覚に、僅かにくらりと脳を揺らしながら吐く息は、真夏なのに白かった。
一服を終えて甲板へと降りていくと、いつものように昼寝に勤しむ緑頭がそこにいた。傍らにはご丁寧に刀を三本立てかけており、隙あらば寝やがって。と横目で見ながら通り過ぎようとすると、唐突に声をかけられ足を止める。
「おい」
「……ん?」
振り向くと視線が重なり「なんだ寝てなかったの」とつい呟く。
依然と腕を組みあぐらをかいたまま、どこか不機嫌そうな声色に、面倒くささを感じて近付くことをやめた。
「お前、それやめろ」
「それ?」
「煙草だよ」
ケッ、とでも言いそうな顔つきで言いながら、私が近付いてこないせいか、のそのそと立ち上がり刀を定位置に収め始める。
眉間に寄せられた皺に、こりゃあそこそこ怒っていますね、なんて他人事な感想を浮かべていれば、隣に来るなり突然ポケットに押し込められた煙草の箱を奪い取られてしまう。
「あ、なにすんだよ」
「女がやるもんじゃねぇ」
取り返そうと手を伸ばすも、その手首は簡単に捕まえられ、またその力がバカである。痛いっつうの。
「何それ、男尊女卑っすか?」
「ちげぇよ!」
「じゃあ何。サンジくんも吸ってるよ」
「あのグルマユは知らねぇが、そもそもお前は体力がねぇ。なのに、こんなもん吸うから余計体力がつかねぇんだ。」
クドクドとお説教をされるも、確かに言われたことに反論はできない。非力であることには自覚もあるし、この船で一番戦闘力が低いのも私であろうことは明白だ。
返す言葉もなく口ごもっていれば、「わかったか」と釘を刺してその箱をゾロは握りつぶした。
「わーったよ!……つか、腕痛てーよ」
言い返せないかわりに、悪態をついて手首を引くと少し力が緩んだ。離してくれるわけではないのか、と視線を落としながら舌打ちして更に当てつけてやると、「言ったな?吸ったらわかるからな」ともう一度ゾロが釘を刺しに来る。
「……なんで」
「そりゃあ、キスすればわかる」
真顔で言い放つのがやたらと面白くて吹き出すと、解放された手で、笑うなと言わんばかりにおでこを小突かれた。
握りつぶした箱を己のポケットに仕舞い込み、トレーニングでもしに行くのか綱梯子の方へとゾロは歩いていった。
これから禁煙かあ、と、最後の一服をもっと噛み締めなかったことを後悔しながら、笑い飛ばしたはずなのに少しだけ照れた頬が暑かった。